たまちゃん 3
月日の経過は川の流れに喩えられますが、いやはや
驚愕のいたりであります。何がと言えば、このパソコン
であります。
思い返せば、たしか昨年の12月の某日だったと思い
ます。ぼくがお世話になっているさる会社にたびたび時
間潰しといってはなんですが、お邪魔をしていたのであ
りますが、その節、そこのご子息がなにやら訝しきマシ
ーンを机上であやつぅていたのを拝見したのであります。
それがおよそパソコンとはいかほど無知なぼくでも理解
をできたのですが、さてそのマシーンがいかような労働
をなさしむるのかは、はなはだ無頓着であり、また理解
に苦しむかぎりなのでありましたが、好奇心にかられ背
後から、ご子息の手さばきおば拝見さしていただきまし
たところ、譬えがはなはだ出世話になりますが、高校生
の折り、初めて成人映画を観たときの驚きと感動を合
わせて味わいました。
見れば、ご子息の指ずかいでキイボードをたたけば、
三島由紀夫もヒットラーも出てくるではありませんか、そ
のさまを見ながらぼくはこんなことを考えた。こんなこと
が可能ならば、ひょっとすると初恋のあの人の名をたた
けば彼女が現れるかもしれない。買おう。畑を一枚売っ
てでもこのマシーンを買うべきだと、思い定めたのであり
ます。