祇園と干し柿 18
今日は、高校時代の友人岡久君のところへ野菜や花
を持って行った。ぼくの友人には珍しく出世をした奴で、
さる大学を出た後、Hグループの関連会社に就職し、の
ちに重役にまでのぼりつめ、先ごろ退社し、その徳島支
店の嘱託になり、悠々自適でゴルフ三昧の生活を送って
いる奴なのだ。
栴檀はふたばよりかんばし、の言葉道理、高校生のころ
より大人の風格があり、くわえて人を束ねる力も兼ね備え
ていたので、Hグループのえらいさんの目に留まったので
あろう。
ぼくはなにも出世した奴に媚び諂って交際しているわけ
ではなく、父が病気になった折り、輸血のことで大変にお
世話になったのだ。そんなこともあって時々食事をして、話
をしたり、年賀のやり取りをしていたのでが、今年の三月退
職をして東京から帰ってきたのである。
新居も建てたし、奥さんも心中はさぞお喜びのことと思わ
れるのだが、あとは子供二人に、お嫁さんがきて、孫の顔
をみるのが楽しみらしいのだが、こればかりは思うようには
ならぬ。やきもきしているうちがいいのであって、いざ実現
をしてみたら、思わぬことも多々あるかもしれぬ。一家々の
家々それぞれに、違った幸福と不幸があるのだから。