鰻と犬 12
おはようごぜいます、お代官様。おらァ権田村のは
な吉ともうしますだ。見てのとうりのむさ苦しい水のみ
百姓でごぜいますだ。お見受け道理の無教養もので、
言葉の使い方も知らない田舎者ですが、どうか失礼お
ばお許しくださいませ。
本日おねげえにあがったのは、ほかでもない年貢の
ことであります。ご存じのように今年は地震と津波、お
まけに原発事故に依りまして、ほとんどお米がとれま
せん。このままではおらの家族は野垂れ死になってし
まいますだ。おねげえでございます、お代官様。どうぞ
今年は年貢をお許しくださいませ。とても年貢を払える
状態でごぜえません。おらの家族は毎日水と草をたべ
ておりますだ。ペットの犬の五郎や猫のトラもすでに食
ってしまいましただ。娘のお花も女郎に売るつもりでご
ぜいます。家族全員いきるにままならぬ状態でごぜえ
ますだ。
お代官様、このとうりおねげえ申し上げます。おらた
ちの家族をたすけてけろ。このままでは全員餓死して
しまいますだ。おらの家族をたすけてけろ。けろ、けろ
けろ、けろけろけろ。無慈悲な、お代官様ァァァ。