鰻と犬 1
ぼくは変な癖があって、わが茅屋では読書ができ
ないのであります。何故かはわかりません。フロイト
ならどう分析するかわかりませんが、無意識のなか
に秘密があるにちがいありません。で、もって先ほ
どまで車の中で高橋洋一の本を読んでいたのです
が、なんと車中に蚊の野郎が数匹いたようで、痒く
てかゆくてたまらず30分ばかり我慢して活字を脳
髄で咀嚼していましたが、しんぼうたまらず車から
飛び出してしまいました。やれやれおかげで頭のて
っぺんから足の指先まで、かゆみの塊になってしま
いました。
たしか、椎名誠の本でシベリヤの蚊のものすごさ
を書いていましたが、ぼくのこのような経験なんて
比じゃありませんよね。数匹の蚊でさえたまらない
のに、数万匹の蚊に襲われることを想像すれば、発
狂することまちがいありません。
あまのじゃくのぼくは、車に入る時、かすかに蚊の
気配を感じたにもかかわらず、あえて車中の読書に
挑戦したのは、あながち読書いうよりも小さな冒険を
心の裏側でもとめていたのかもしれません。それは
ぼくじしんでさえ確信がもてない深層心理ですが、そ
うとでも解釈をしなくては合理的な説明に成り立たな
いないからです。時として人間はこのようなバカなこ
とをしでかす動物です。悪しからずじょ。