流転と啓示 25
レオン・ワルラス。スイス・ローザンヌ大学に研究
の場を得たフランス人の経済学者である。
その主著「純粋経済学要論」において展開した一
般均衡理論こそ、ワルラスの最大にして最高の業
績である。
経済均衡の一般的条件を確立する事に依って、経
済を、科学する道筋を拓いたのである。ワルラスは、
現代の経済理論を支える柱石とも言うべき数理経済
学の、言わば始祖なのである。
経済に限らず、あらゆる社会現象は複雑な相互連
関の関係にある。日本の平成不況も、中東の政治情
勢も、原因と結果を直線的な一方通行の関係で説明
する事は不可能だ。経済の本質は、正にこの相互連
関にある。
19世紀まで、科学たるもの原因と結果は常に直線
的な一方通行の関係にあるべきで、相互に影響を与
え合うスパイラルな関係ーーつまり循環論等学説とし
て認める訳にはいかない、と考えられていたのである。
多くの経済学者を悩ませた相互連関ーー一つの経済
現象は、他の総ての経済現象に依存するという実態を、
ワルラスは一般均衡理論に依って解明し、それまで科学
として認められていなかった循環論的説明にも救いの手
を差し伸べた。 つづく