流転と啓示 22
中世ヨーロッパでは、利子を取って金を貸すのは
犯罪とされていた。
隣人愛よりも利子・利潤を優先させる行為は罪深
き貪欲であり、キリストの教えに反するとしてカトリッ
ク教会が禁止していたのである。
そこにプロテスタントが登場した。プロテスタント教
会は規律に対して非常に厳しい。この禁欲的プロテ
スタンティズムの中でも、飛びぬけて厳格なのがカル
ヴァン派。ところが、このカルヴィニズムこそが利潤
追求の正当化、そして資本主義の精神の誕生の道
を拓いたのである。
つまり、隣人たちが本当に必要としている物を生産
し、適正な価格で市場に供給する事に依って得た利
潤は、貪欲の罪どころか、隣人愛を実践した事の証
明である、との解釈を示したのである。労働は、この
隣人愛を実践するための行為、即ち自らの救済の手
段であり、その結果として利潤を獲得する。利潤の最
大化を追求する事は、寧ろ倫理的義務であり、義務
を遂行するためためにも目的合理的に行動し、利潤
の最大化に努めなければならない。資本主義は、生
産力と資金を背景に営利を追求してきた商業活動の
延長線上に生まれた訳ではない。寧ろ、営利を追求
する人々を徹底的に敵視したプロテスタンティズム、
特にカルヴィニズムの反営利的倫理観の中にこそ近
代資本主義の原動力となる資本主義の精神は誕生
し、育まれたのだ。 つづく