雪だるま 3
空は、有でもなければ無でもない。有と無を超え
て、統合したところにある。すべて存在するものは、
本当は仮にそう考えておくだけであって、実体は一
刹那に実在して、一刹那に消えるとした。要するに、
あっという間に現れ、あっという間に消えるのが存在
というものの真の姿と考えた。さらに、時間という概
念にもさまざまなとらえ方がある。現代で常識的認
識されているのはニュートンの時間概念で、そこに
客観的に存在すると考えられている。ところが仏教
では、客観的な時間があるのではなく、時間は向こ
うから来て向こうへ去っていく、と考えている。主観
としてとらえる。自然現象や社会現象がみな外界に
実在しているととらえるのは大きな誤りであるという
思想である。
科学の発達によって面白いことがわかってきた。
分子生物学によると、人間の身体は六ヵ月経つと
完全に細胞が入れ替わってしまうという。物質とし
てみた場合、実際にも全く別物になっている。
激流の譬えがある。激流に手を入れると、その
手には激しい水の流れを感じるだろう。しかし、い
ま手に触れている水と、一秒後に触れた水はおな
じでない。それを、持続して水に触れていると自覚
するのは、同じ水と錯覚しているにすぎない。仮に
同じ水があるとしているだけなのだ。存在とはそう
いうもので、実体があるのではないと仏教では説い
ているのだ。お分かりかな、おのうのがた。