空想と潮騒 5
昨夜、長崎の古賀さんから電話があった。どうと
いうこともないのだけれど、なんとなくさみしい気分
になってかけてきたのであろう。
「もしもし古賀です。どげんしとんねーー」
いつもの古賀さんだ。
「あっかねー。みなさん元気にしょっと?ぼくは元
気ばい」
「本送ったけどついたかね?面白いばってん、読
むとよか」
古賀さんは、東京の瀬田の下宿で隣の部屋の人
でした。年はぼくより一つ上でした。頭がよくぼくに
いろんなことを教えてくれました。思想は九州人ら
しく右翼で三島由紀夫と一緒に自衛隊の体験入隊
をした人です。
「どげんしょっと。勉強しとるかね。おれはさっぱり
ばい。向学心がなくなったばい」
と、いってますが、古賀さんそんな人ではありませ
ん。古賀さんは侍です。日本の、いや世界のことを
思い日夜勉学にはげんでいるはずです。ぼくは古
賀さんのような友人をもって幸福です。古賀さんが
ぼくのことを友人と思って幸福かどうかはわかりま
せん。そんなことはどうでもいいです。
「世はなべてこともなっし。ハッハッハッハッ」
極楽とんぼの古賀さんは笑って電話をきった。