独り言  11月16日 | はなのブログ

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               快楽と独楽   16

        嫉妬について少し言わせてください。この忌ま

       わしい感情の学究的考察は、フロイトなり、ユン

       グなり、岸田秀なりの本を読めばたやすく答が

       手にはいる。しかし、読んだからといってこの感

       情から自由になれるわけでもない。この感情は

       人間特有のものではなく、動物を飼っている人

       はよくご存じであろうが、犬猫も嫉妬をする。こ

       れはどの辺の生物にまでこの感情があるかは、

       その方面の知識がない。まさかゴキブリにこん

       な高級な感情があるとは仄聞にして聞かぬが、

       あれであんがいやきもちやきかもしれない。

        こんな男がいた。男は恋をしたらしいのだ。

       やるじゃないか。ぼくはおおいにほめてやった。

       いつかはやる男だと思っていた。はたせるか

       な男は乙女と付き合いだしたのだ。ぼくは遠く

       から男の様子を見守り、いまかいまかと吉報

       を待っていたのだ。ところが悲劇は突然やって

       きた。男に告げ口する奴がいて、女が妻子持

       ちの上司と付き合っている、と耳打ちしたんだ。

       女が二股かけてやがったんだ。ショツクと嫉妬

       苦しむ男を酒にさそい、ぼくは激励してやった。

        「なんだそんなことでめそめそするな。さあ、グ

       ッとのめ、そんなことでくよくよするな。おふるで

       もよく洗ってつかえばおなじじゃないかーー」

       と、言うとなぜか男は号泣をはじめた。

        こまったやつだ。ぼくなんていっも古本だ。