快楽と独楽 11
人間は生きる中で、いろんな悪い、不安な、恥ず
かしい、あるいは屈辱的な経験をせざるを得ない
が、そうした経験は自我の物語にとって好ましくな
く、できれば、そのようなことは起こらなかったと思
いたい種類のものである。
そこで人間は現実の経験を隠蔽し、偽りの自我
の物語をつくることになる。この偽りの物語でうま
くやってゆければ好都合であるが、偽りの物語に
もとづいて行動すれば、それが偽りであることを知
っている人たちとの関係、それが偽りであることを
知っている自分の別の面との関係、現実との関係
が障害され、当人は精神的に病むことになる。こ
のメカニズムは、個人の場合も、民族や国家など
の集団の場合もおなじである。個人も集団も何ら
かの不都合な経験を隠蔽しているから、多かれ
少なかれ病んでいる。
世界とは狂った個人、狂った民族、狂った国家
がつくってき、つくりつづけているものである。した
がって、世界の歴史は合理的現象としてでなく、
病的現象として理解する必要がある。 以上は
岸田秀氏の史的唯幻論の抜粋だが、こんな論文
を書いてみたいな、書けるだろうか?