白河夜船 7
悪人正機説
権力者やお金持ちのように、ありあまる権力と金
持って、好き勝手なことをやりながら、自分で自分
を正しい人間だと思っているような連中よりも、社
会の底辺にあって、生きるためには法をも破らな
いと生きてゆけないような、いわゆる悪人たちの
ほうが、先に阿弥陀如来に救われるのである。
悪いことと知りながら、生きるためにやむなく悪
いことをやっている人。つまり自分の力に絶望し
ている人を「悪人」と言ったんです。それに対して、
悪いことをやっておりながら、主観的には自分は
正しいことをやっているんだと思っている人。つま
り自分を過信している人を「善人」と言ったので
す。
以上はぼくの手帳から書きとったものであるが、
どうも親鸞の本意とは異なるような気がする。
「悪人」の意味を生きるためやむなく法を破る
うんぬんーとあるがぼくは違うと思う。人間存在
そのものが悪と親鸞はとらえていると思う。