独り言   9月14日 | はなのブログ

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              へろへろ論考   10

       だが、あの事にかけては絶妙な手並みをみせ。

      そのため女を買っているのではなくて、最高に調

      教された馬に乗っているような気になるのです。

      事がすむと、日本女は袖から懐紙をとりだし『坊

      や』をつかみ、意外なことに拭いてくれます。紙が

      腹にこそばく当たるのです。そうして、こうしたこと

      すべてをコケティッシュに、笑いながらーーー」と書

      き送っている。

       アムール河畔でのたった一夜の契り。だが「ぼく

      はアムールに惚れこんでいる」と書かれている。

       当時、シベリア沿海州には、日本人からゆきさ

      んが多くいたことは記録にもみえている。そのな

      かの一人が、チェーホフに優しさ暖かさというイ

      メージを抱かせ、その想いがふくらみ、ついに名

      作『桜の園』を生ましめた。「庭は一面真っ白だ。

      --月光に白く光るんだ」(ガーエフ)「すばらし

      いお庭、白い花が沢山」(ラネーフスカヤ)、こう

      した日本の桜の純白の美しさを教えたのは、実

      に、その言葉少なな日本女であった、とぼくは

      信じている。

       それにしてもその女は、自分が話したことか

      ら『桜の園』が生まれたことを知らずに、一生を

      をおくったのであろう、哀切だなあー。