ヘロヘロ論考 6
ファドをごぞんじであろうか。そう、ポルトガルの
歌謡曲である。
ぼくがファドを知ったのは平岡正明氏の歌謡論
を読んだからである。以前からぼくは、平岡氏の
本の愛読者で、彼が進めるものは何でも験して
みるのだった。裏切られたことは絶無である。
手に入れたレコードはアマリア、ロドリゲスのL
Pだった。家に帰りレコードに針をおとすと、JBL
のスピーカーから、なんともはや哀切極まりない
歌声がぼくの部屋に響き、異議なしの声が頭の
なかで聞こえた。
アマリアの唄には哀切ばかりでなく、叙情、悲
哀、くわえて海のにおいがするのだ。言葉はわか
らないが、おそらくは男女間のままならぬ趣をせっ
せっと、歌うというよりも、叫ぶといわせてもらいた
い程である。異文化に反応したぼくの感性が好き
だ。 ぼくの手帳より
61、ベルグソン1859~1941、1月4日享年82歳
「人は、可笑しいから笑うのではない。笑うから可
笑しいのだ」