独り言  4月15日 | はなのブログ

はなのブログ

ブログの説明を入力します。


おとこがひとり、コートのえりをたて、ねこぜぎみにあるいている。

 今日は、ひとり娘の10歳になるカルミの誕生日なのだ。

 会社のかえりに、娘がほしがっていた人形と本も買ったし、ケーキは妻が買っているはずだ。

 電車の駅をでて、家まで徒歩で20分ほどかかる。

 結婚したては、賃貸マンシヨンだったが、子供が生まれてしばらくして、ローンで建売住宅を買った。妻へのプレゼントのつもりだった。

 おとこの両親はすでに亡くなっているが、自分の子供のころを、歩きながら思い出した。

 おとこばかりの三人兄弟の二番目で、よくけんかをして、両親にしかられた。

 だが、誕生祝いをしてもらった記憶がない。

 むりもない、いまから思えばまずしかったのだから。

 おとうさんは、ついに自分の家をもてなかった。

 そのかわり、こどもたち三人をきっちり教育してくれたのだ。

 いまからおもえば、もっと親孝行しとけばよかった。

 親孝行した記憶がまったくがないのだ。

 おとこは、あるきながらすこし辛くなってきた。

 めが涙でうるんで、ちかずく自分の家がかすんでみえる

 コートのそでで涙をぬぐい、おとこは扉を開け、

 「ただいま」

 と、元気なこえでいった。