図1.左:HA-MX10-B、右:K240 studio
【使用環境】
NW-A16に直挿し。特に生活音の聴こえない環境で使用。
【デザイン】
AKGらしいデザインですね。2本のワイヤーにセルフアジャスト機構のヘッドバンド、真ん丸な大きめなイヤーパッド。最近は某パクリが得意な国が酷似デザインのヘッドホンを売っていますが、知っている人ならAKGのヘッドホンだと一発で分かるデザインです。一般の人からしてみれば、メカっぽい印象を受けるかもしれません。
イヤーパッドが大きめです。そのため、他のヘッドホンと並べてみると少々ゴツく感じます。ただ、ヘッドホン全体のサイズ自体は、他社のヘッドホンと変わりありません。
ケーブルは、ストレートタイプが1本付属し、やや柔らかめです。普通に使うことを考えると、これくらいの硬さが丁度良いです。
【音質】
音質傾向は、やや低音寄りのカマボコ。中音域が綺麗に聴こえ、余裕のある聴きやすい音を鳴らします。低音も並みか並み以上の量と質があります。一方、高音域が他の帯域より控えめで、伸びに欠ける印象があります。あと、各帯域の中でも波があるように感じる時があります。
解像度は、並みです。中音域の解像度は高いものの、制動性に欠ける低音と他の帯域に隠れがちな高音の解像度は高いとは言えません。
音の分離具合や定位感は、非常に良いです。どのような音がどこで鳴っているかを把握しやすいと思いました。
音場の広さは、やや広め。広すぎると聴こえが悪いので、これくらいが丁度良い広さだと思います。
【フィット感】
良好です。全体的に軽く、セルフアジャスト機構がヘッドホンを丁度良い位置で固定してくれます。イヤーパッドが大きめで耳全体を覆う形で装着することになり、イヤーパッドの装着感が良いので、違和感なくヘッドホンを使用することができます。左右の締め付けが強くなく、イヤーパッドも反発が強すぎないため、眼鏡を付けた状態でも快適に使用できます。
ただし、顔が小さい、縦に長い人は装着感が良いと感じないかもしれません。
【タッチノイズ】
ヘッドホンであり、ケーブルが硬くないので、タッチノイズは皆無です。
【外音遮断性】
公称としてはセミオープン型ですが、並みの開放型よりも遮音性が低いです。周りの音が丸聴こえです。
【音漏れ防止】
これも開放型並みに音漏れがあります。
【携帯性】
普通のヘッドホンなので、携帯性は低いです。特に、イヤーパッドが大きめなので、持ち運ぶなら専用のキャリングケース必須です。
【総評】
メーカーはモニターヘッドホンとして売っているようですが、個人的にはリスニング向きでありモニター用途には向かないと考えています。音の把握には向いているので、定位や全体のバランスを確認する用途には使えるかもしれません。
リスニング用途では、非常に余裕のある音を鳴らすので、落ち着きのある音楽をゆったりと聴くことに向いています。JPOPやアニソンのような刺さりやすい高音を含む音楽でもゆったりとした鳴らし方をするので、このヘッドホンを中心に使用するようになると、他のヘッドホンで聴いた時に刺激的に聴こえるかもしれません。
1万円以下なら、コストパフォーマンスが高いと思います。聴き疲れし難い音質傾向に装着時の違和感の少なさも相まって、ゆったりとリスニングすることに向いています。リスニング用途では非常にオススメなヘッドホンです。
【備考】 ※比較機、エージング具合など
・比較機:HP-CN40A、MDR-EX800st、HA-MX10-B
・エージング:ホワイトノイズを用いて12時間程度。
・リケーブル対応機種。同シリーズのK240 mk2はケーブルが2本付属している。このヘッドホンは1本のみ付属。