私にとっては試練だった。
それは、近所付き合いと自治会。
結婚する前は都会で一人暮らし。
自治会なんて話すらない生活だった。
隣の部屋に住んでいる方の顔も名前も憶えていない。
結婚してからはマンション暮らし。
多少近所付き合いと自治会はあったが、特に干渉されることなく
スマートに生活が出来ていた。
けれど、今回は違う。
田舎の古い一軒家に 子供と二人。
ゴミ捨て場を使うには自治会に入らないといけない。
住み始めると同時に地区の班長宅へ挨拶へ行く。
すると、班長さんから『〇〇日に一緒にご近所まわりをしましょう』と。
私は急いで箱入りタオルを大量に購入し、”御挨拶”の熨斗をプリントして準備した。
その後、班長さんに連れられご近所へ挨拶まわり。
班長さんがとても親切で丁寧で、1軒1軒紹介をしてくれる。
『この人は母子家庭なの。子供と二人暮らしだから、何かあったら助けてあげて。』
それ、全員に言うの?
私、この人たちのこと知らないのに。
地方によってなのだろうか。私の意識がおかしいのか。
ひとり親というと、相手の表情が変わる気がする。
つづく