宮城谷さんの「草原の風」話を読んだ。後漢の光武帝の話だ。
昆陽の戦いで数万の兵で100万の大軍を破った彼は、幽州、冀州(河北 旧満州のすぐ南)へ平定のため派遣される。
最初は順調だった。各地の豪族を味方につけ、味方を増やしていった。
ところが、エリア南方の邯鄲に新しく漢の王族と称する男が皇帝を自称し、自分の正当性を唱えた。さらに彼は光武帝に莫大な賞金を懸けたため、豪族たちは動揺しそちらに味方するものが増えた。光武帝は、わずかな兵とともに南の端、信都郡に逃げ込む。そのときは、兵もわずかで寒さと飢餓で疲労困憊していたという。
しかし、その後徐々に勢力を拡大し、数十万の兵を擁するようになる。それまで訪問した先で、略奪を許さず、治安を回復し人心を安定させてきた実績が、彼の支持者を増やし、草の根の人々がそのような統治者を求めて動き出したのである。
やるべきことをきちんとしていくことがすべての信用の基礎となる。当然のことだが目先の利益に振り回されやすい人が多いことも事実だ。