こんにちは。
芥川賞作家の西村賢太さんが急逝されて
驚きました。


54歳。まだお若いのに、突然具合が悪く
なりそのまま亡くなったとのこと。


前回ブログで「作家の値打ち」という本を
取り上げた際に、ぼくはあまり小説を読
まないと書きました。


その本を読まないぼくが珍しく、一時期
夢中で読んだのが、西村賢太さんです。


第144回芥川賞受賞作の「苦役列車」にハマ
って、同じ主人公の続編を立て続けに何冊も
読みました。


苦役列車の主人公、19歳の北町貫多は、
作者である西村賢太さんのこと。
名前は変えてあるけど、本作は西村さんの
私小説なのです。


タコ部屋の劣悪な仕事で日銭を稼ぎながら
自分はたいした努力もせずに、世の中への
不平不満を垂れ流し、彼女から金を巻き上
げ暴力をふるう女性の敵、DV野郎です。


ゲスの中でも最底辺のゲス。
読みながら何度、眉をひそめたことか😅
普通はそんなゲスぶりを隠して善人ヅラして
社会生活を送ると思うけど、西村氏は、包み
隠さずに全部さらけ出しています。


その潔さとゲスっぷりに痺れたのと同時に、
DVの限りを尽くされた彼女の行く末も心配
になり、それこそ、一度読み始めると寝る間
を惜しんで、夜更けまでページをめくってい
ました。


読後感も良くなくて本を閉じるとうんざり
する😮‍💨んだけど、新作が出ると読まずには
いられない、ジャンクフードのような中毒
性がある作品でした。


そんな西村さんの新作が、もう読めないと
思うと、残念です。54歳は早過ぎる。


でも、きっと世知辛い世間に生きづらさを
ずっと抱えていたと思うので、あの世でホッ
としていてくれたら、すこし救われます。


ゲスな世界に夢中にさせていただいて
ありがとうございました。
ぼくが、ゲスな世界嫌いじゃないなと確信
したのは西村さんの小説を読んだからです。


そして、エブリスタ で準大賞を受賞した
ぼくの小説「嘘塗れの利一」には、
西村さんの小説から感じとった人間の嫌な
部分や人間臭い成分を、自分なりにまぶした
つもりです。


ご冥福をお祈りいたします。


「苦役列車」のリンク貼っておきます



最後までお読みいただいて、
ありがとうございました。