「能城さんは、表現する力が上手ですね!特に間の取り方は絶妙です。だけど、論理的な部分はもっと裏付けが欲しいかなー」
 私がスピーチをした際に、よく受けるフィードバックは概ねこのような内容になります。

スピーチには人それぞれ得意とする傾向やスタイルが有ります。
では、自分が得意とするスタイル、話し方を定量的に知ることはできないのでしょうか。

 ハーマンモデルという診断テストをご存知でしょうか。自分自身の”利き脳”、つまり考え方を診断するためのテストです。

 かいつまんで言うと、人は思考するとき、脳の4つの場所を(A:左脳新皮質、B:左脳辺縁系、C:右脳辺縁系、D:右脳新皮質)組み合わせて考えます。
4つの脳の部位は、それぞれ下記の考えを司っています。

  A:左脳新皮質 ・・・論理性、数量、批判的
  B:左脳辺縁系 ・・・計画性、安定、現実的
  C:右脳辺縁系 ・・・社交性、共感、感情的
  D:右脳新皮質 ・・・新規性、発見、冒険的


 ハーマンモデルの診断テストでは、質問に答えた結果の得点から、自分が脳のどの分野をよく使っているかという”利き脳”を知ることができます。点数を結び四角形として図化することで、複合的な性格や適職診断などにも使用されるそうです。

 このハーマンモデル診断は、簡易的なものであればインターネット上で無料で行っているサイトが有ります。

 さて、ハーマンモデルではこの結果をもって、自分の性格や思考の傾向の分析を行うのですが、これを見てふと思ったことが有ります。

「この分析結果は、スピーチの傾向分析にも応用できるかも」

 上記のABCD4つの象限は、スピーチを考えた場合下記の能力に当てはまるのではないか?

  A:左脳新皮質 ・・・論理性、数量、批判的 >論理力
  B:左脳辺縁系 ・・・計画性、安定、現実的 >構成力
  C:右脳辺縁系 ・・・社交性、共感、感情的 >表現力
  D:右脳新皮質 ・・・新規性、発見、冒険的 >発想力


 そう思って資料と分析シートを作成し、私自身およびトーストマスターズや弁論活動をしている皆さんに試しに診断をして頂きました。

 そして、それぞれの診断結果は、スピーチや弁論をする際のそれぞれの持つ強み・弱みとおおむね一致していました。

 私の例を出しますと、ハーマンモデル診断の得点はCの表現力が最も高く、続いてBの構成力,Dの発想力が同点で高く、最も低いのはAの論理力。表現力が高いという、冒頭のよく受けるフィードバックと一致しました。

 そして構成力、発想力もあるという意識していなかった一面も見えてきました。論理力が弱いという点は、漠然と思っていたものが鮮明になりました。

 ちなみに弱い点というものは、「普段考えていない」という意味合いですので、意識的に時間を取って考える、またはその象限が高い人にアドバイスを聴くことでカバーすることができます。

 自分自身が持っている力、特性を把握することで成長・実力向上には何に力を入れるべきかが見えてきます。ハーマンモデル診断を応用することで、把握のためのひとつの指標になるのかもしれません。ネット上の無料診断で一度試してみるのも良いですよ。

 年明けは、自分自身の自己分析から始めてみませんか。