スピーチを教える機会が増えると、「手っ取り早く上手くなる方法は有りませんか」とごく稀に訊かれることが有ります。
 
そんな近道なんて、、実は有るんです。
 
”手っ取り早く”つまりより効率的に学ぶ、上達を早める方法。
それは”覚悟を決める”ことです。
人生を掛けても良いと思い、寝ても覚めても考える。そうすれば、間違いなくスピーチは上達します。
 
・・・まあ、スピーチで飯を食うのなら別としてそこまで腹を括れる人はまず居ないでしょう。
ですが、そこまでは行かなくともある程度外的要因で”覚悟を決めさせること”はできます。それは、下記の3つ。
 
1:対価(お金等)をかけること
  ・犠牲を払うからこそ価値が有ると人の脳は考えます。
2:期間を区切ること
  ・時間が限られるから、限られた時間と真剣に向き合うんです。
3:学んだことを活かす場面を決めること
  ・目標、と言い換えても良いです。学んだものを何時どこでどんな状況で使っているかを 具体的にイメージできることが大切。
 
人はこうして、覚悟を決めることでとことん上達していきます。
世に天才と言われる人たちは、これらの要素が自分を高めるということを無意識のうちに知っていて実行しているのでしょう。

誤解を恐れずに言うと、私が体験記を書いているトーストマスターズの活動では、普通にやっている分にはこの3つの要素はありません。
 
”安い金額”で、”いつまでも続けられ”て、何のために学ぶか”特に絞る必要もない”ため、自覚しない限り覚悟を決めるという意識にはならず、ひいては上達もしていかないのです。
 
そんな中で年に1度のコンテストに出場する人、コンテストを勝ち進む人は確かにスピーチは上達していきます。
”2:期間”と”3:活かす場面”が決まるため、真剣に必死になるからです。
 
ただし、”3:活かす場面”はトーストマスターズのコンテストに絞られるため、トーストマスターズのルールや価値観に寄ったものになっていきます。
このルールや価値観が実社会のものとイコールであれば良いのですが、実際はそうではなく、またそうして以前コンテストで勝った人達のスピーチを真似るスピーカーが多いため、上達のベクトルに実社会の求めるものとずれを生じ、上達のバリエーションの幅も狭くなっているのが現状です。
 
そして、NPOとして仕方ないのですが、”1:対価”が無いため「ボランティア活動なんだからこの位でいいでしょ」と、運営も学ぶ側も妥協に抵抗がなくなりがちになります。
 
そのため、長いこと学んでいても実力は数年前とあまり変わらない・・・なんて事態に陥る人も居たり。
 
トーストマスターズの活動自体は、「自分の考えを話す機会」、そして「その話を肯定的に受け止めてもらえる場」として、今の日本に必要なのでしょう。実際、こうした機会を得た入会間もない会員さん達は言葉が前向きになり、表情も声も変わっていきます。
自己を肯定する機会を得る場として、本当に意義のある場と思います。
 
個人であればそこから先、どんな覚悟を持つかが上達の鍵であり、
トーストマスターズ全体としてみた場合は各個人への覚悟の提供と実社会と繋がりをどう構築していくかが課題なのでしょう。
 
実は、この”覚悟”に関して徹底しているのが、鴨頭嘉人さんの主宰している「話し方の学校」でした。
”よい金額”を取り、”半年間”と決め”ここでじゃなく自分の目標、実社会で通用させる”を何度も周知しているため、入会した人達は短期間でも上達していきます。
入会の段階で、”必要な覚悟の要素”を先に決めさせ、それに耐え得る人達が入会しているのでしょう。
 
しかし、最後は覚悟を決めるのは自分です。
スピーチに限らず何事も上達を望むなら、貴方も覚悟を決めてみませんか。


語学(日本語)ランキング