○2010'MTK「恋のダイヤル6700」
作詞:阿久悠


「ハロー、ダーリン」
リンリンリリン リンリンリリンリン
リンリンリリン リンリリリリン
リンリンリリン リンリンリリンリン
リンリンリリン リンリリリリン
リンリンリリン リンリンリリンリン
リンリンリリン リンリリリリン

wow

明日は卒業式だから
これが最後のチャンスだよ
指のふるえをおさえつつ
僕はダイヤルまわしたよ
君のテレフォン・ナンバー 6700
wow
ハロー

あなたが好き 死ぬほど好き
この愛うけとめてほしいよ
男らしくいいたいけど
ドキドキときめいて言えない

リンリンリリン リンリンリリンリン
リンリンリリン リンリリリリン
リンリンリリン リンリンリリンリン
リンリンリリン リンリリリリン
リンリンリリン リンリンリリンリン
リンリンリリン リンリリリリン

暗記するのは下手だけど
これは一生忘れない
君と僕とをつないでる
たった一つのものだから
君のテレフォン・ナンバー 6700
wow
ハロー

あなたが好き 死ぬほど好き
この愛うけとめてほしいよ
男らしくいいたいけど
ドキドキときめいて言えない

明日は卒業式だから
これが最後のチャンスだよ
指のふるえをおさえつつ
僕はダイヤルまわしたよ
君のテレフォン・ナンバー 6700
wow
ハロー
君のテレフォン・ナンバー 6700
wow
ハロー


「フィンガー5」の2ndシングル
「恋のダイアル6700」
この曲が大ヒットしたのは1973年。

さて、この曲の疑問として一番に解決しておきたいのは、やっぱり
「何故"6700"なのか」
ということですよね。
その疑問を解決してくれたのが「フィンガー5ファンブログ」のまなさんです。
今回ご協力頂けるとのことなので、下にリンクを貼らせていただきました。
まなさん、どうもありがとうございます😊


フィンガー5の歌が大ヒットで
いま恋ならぬ迷惑のダイヤル騒動!
https://ameblo.jp/1205-lelouch/entry-11910820224.html




この記事によると、
「6700」を歌詞に採用した理由は、

「当時の電話番号の中で最も希少だったから」

だそうです!!

この曲のせいで迷惑電話に苦しむ人が出てくると
予想した阿久悠さんは、「フィンガー5」の5人と一緒に手作業で電話帳を調べて、6700番が一番少ないことを突き止めたそうです。

そうして発売された「恋のダイアル6700」は、阿久悠さんの予想をはるかに超えた大ヒット。

「フィンガー5」のファンは、若い女性だけでなく、同世代や、幼い子供が多かったためか、下四桁が6700番の人には一日に何十件もの迷惑電話が
かかってきたそうです。

ある意味恐怖の番号ですね…
(まあ、ごく稀に商売が儲かった人もいるようですが…)


6700番の人が少ないということは、その分負担が大きくなるわけですから、むしろ1番多い番号の方が良かったのかもしれないですね(^^;


『明日は卒業式だから これが最後のチャンスだよ』

卒業式が最後のチャンスとなると、その後離れ離れになるのではないかと思います。
そうなると、
「卒業式を明日に控えた中学生男子」
の歌ですかね?


『暗記するのは下手だけど』

おそらく主人公は勉強が苦手なのでしょう。
卒業式が最後のチャンスということは、「君」と一緒の高校には行けなかった。

勉強が苦手な「僕」と違う高校に行ったとなると、「君」というのはきっと頭のいい子だったんだと思います。


この歌で想いを寄せている「君」についての"明確"な情報は、「電話番号が6700」だということだけ。
というか、この曲はかなり情報量が少ない部類の曲なのですが、色々な想像が膨らみます。

例えば、この歌は、主人公のドキドキがハンパないです。
なので、私の想像では、この「君」という人物は、

容姿端麗、文武両道な学園のマドンナ。
雲の上のような存在だが、それ故に
近寄りがたく、周りからは一目置かれていて
少しだけ寂しそう

系の子なんじゃないかと思います笑


また、「学園天国」のヒロインと、ひょっとしたら同一人物ではないのかと思ったり…
(ただの願望)

ただ、「学園天国」の主人公が陽気なのに対し、「恋のダイヤル6700」の主人公は内気なので、歌の視点は真反対かもしれません。


指のふるえをおさえつつ 僕はダイヤルまわしたよ』

「指の震えが止まらない」
これは、70年代に電話で告白をしたことがある人なら、「あったあった笑」なのかもしれません。
(親には死んでもそんなこと聞けねぇ)

『あなたが好き 死ぬほど好き この愛うけとめてほしいよ』

これは子供が言うのと大人が言うのとでは全然捉え方が違ってきますね。

子供の場合の「死ぬほど好き」は、好きすぎてどうしようもない、純粋な感じがしませんか?
まだ恋や恋愛がどういうものなのかほとんど知らなくて、初めての感情で、切なくて苦しくてドキドキして…
子供が言ってたら、「可愛い〜」て思っちゃいますね笑

一方大人の場合の「死ぬほど好き」は、好きすぎてどうしようもないのは変わらないと思うのですが、そこに憂いや病みが感じられて、なんか危ない匂いを感じるんですよね\(^-^)/
心で思う分には全然いいと思うんですけどね(´・ω・)
やっぱり子供だから許せる感が(´・ω・)

それはともかく、こういう、さりげなく子供心を表現できる作詞家さんは、本当にすごい人だと私は思っています。
阿久悠さん…本当に偉大…


『男らしくいいたいけど ドキドキときめいて言えない』

この部分は、ダイヤルをまわす"直前"の心情なのか、電話している"最中"の心情なのか迷います。

これがもし電話をかける直前の「僕」の心情だとすれば、この曲は意中の相手に電話をして「もしもし」と言われるところで終わることになります。

ダイヤルをまわす、その一瞬の出来事を切り取った、とても臨場感のある歌になりますよね。

こちらの考え方なら曲として切りがいいです。
また、その先を語らない、「ご想像にお任せします」パターンになり、聞き手に色々な想像を委ねてくれます。

また、もしこれが電話をかけている最中の心情だとすれば、なかなか告白できずに、もじもじしたり、別の話で時間を稼いだりしている場面になりますね。

「言えそうにない」ではなく『言えない』となっているので、今、まさに、という感じがするんですよね。

こちらの方は、想っているのだけど言葉に出ない、胸につっかえる想いというか、切羽詰った感じがより伝わってきます。

私の中ではどちらが正解なのか決めきることができませんでした。
前者の考え方は格好いいけど、
後者の方が「言えない」という表現には合っているのかな〜。


そもそもなぜこんなことに悩むのかというと、
この曲の全体を眺めていると、時間が行ったり来たりしている感じがするからなんです。


リンリンリリン』
から始まる前奏部分。

明日は卒業式だから』
から始まるAメロ(パターン1)。

あなたが好き』
から始まるBメロ。

また『リンリンリリン』が来て、

『暗記するのは下手だけど』
から始まるAメロ(パターン2)。

また、『あなたが好き』が来て、

最後に『明日は卒業式だから』の
Aメロ(パターン1)に戻る。


なんか、1つのフレーズが終わるたびにカットが切れている感じがしますし、そもそも物語は一向に進みません。

歌詞が時系列通りに進んでいないのは、主人公の気が動転している様子を表しているのでしょうか?
もしそうだとしたら、この曲の明るさや楽しさと相まって、どこか面白おかしさを感じます。



〜その後〜

「ははははは〜、やっぱりこの歌は楽しいな〜(*^o^*)(*^o^*)(*^o^*)」

「せや、時系列のこともわかったことやし、また最初から見てみるか( ^ω^ )( ^ω^ )

「(・・;)(^^;(^^;;(^-^;σ^_^;σ(^_^;)」


「Σ(・□・;)」



『「ハロー、ダーリン」』

ん??『ハロー、ダーリン』???

『ダーリン』?!?!?!?

よくよく考えると、とんでもなくおかしい!!
なぜ気づかなかったし!!

私は今の今まで、告白が成功したのか、そもそも、ちゃんと告白ができたのか、それを聞き手に委ねる、「後は想像にお任せします」パターンの曲かと思ってました。

でも、普通、まだ恋人同士でもないのに
『「ハロー、ダーリン」』
とは言わないですよね?

「ダーリン」と「リン」で韻を踏んだだけという可能性もありますが、
阿久悠さんがそれだけの理由で「ダーリン」という言葉を使うとは考えられません。


「ハロー、ダーリン」の前、この曲の1番最初の音は、リアルな電話のベルの音ですよね。

そして「ハロー、ダーリン」の後に、
『リンリンリリンリン』という、歌詞になったベルの音がやってきます。

歌詞になっているベルの音は、告白するために鳴らしたものだと思います。

迫り来るようなリズムとどんどん重なる和音。
すごく緊張していて、ドキドキがどんどん高ぶっている感じはするのですが、
やっぱり明るくて、楽しくて。
ウキウキしている感じすらあります。

これは、「結末がハッピーエンドだから」と考えることもできますが、私の「恋が叶った」という解釈が間違っていて、「告白」が失敗していたとしても、「僕」にとっては、

「君」に恋をしていたこと。
「君」に恋をしていた時間。

いつになっても楽しかった思い出として残るからなんじゃないかと思います。


音ってすごく印象に残りますよね。
本当に小さい頃に見ていた天てれも、私の場合は音楽から思い出しますもん。

これは想像ですが、
『リンリンリリンリン』というベルの音を、「僕」は絶対忘れないだろうし、
この時のことを思い出すとき、必ずこのベルの音から始まるんじゃないかな?
と思います。


そして、歌詞になっていないリアルなベルの音。

その後に続く
『「ハロー、ダーリン」』
の部分こそが、この歌の時系列の1番最後なのではないでしょうか?


『僕はダイヤル回したよ』
『ハロー』

電話において先に「もしもし」と言うのは電話に出た側ですよね?
だから、この「ハロー」は「君」が言った可能性が高いと思います。
それが時が経てば、「ハロー、ダーリン」に変わる。

指はふるえるし、
ドキドキときめいて言えない。
そのくらい緊張しまくってた「僕」が、最終的には恋を叶えた。
なんだかこの「僕」に対して、より愛着が湧いてきました(≧∇≦)


★『君と僕とをつないでる たった一つのものだから』

この曲の「僕」と「君」は、学校が同じ、クラスが同じ、通学に使う電車が同じなど、一つくらいは共通点があると思うんです。

でも『つないでる』と確信を持って言えるものは『6700』だけ。
ではなぜ「6700」が『たった一つのもの』なのでしょうか?

それは、電話線を伝った物理的な「つながり」が
あるからではないかと想像してみます。

「僕」と「君」が繋がっているのではなく、「僕の家の電話」と、「君の家の電話」が繋がっている。

それは、「僕」にとって、精神的な「つながり」よりも確かなものであって、
きっと心の拠り所だったのだと思います。

最近は相手の電話番号を覚えるなんてめっきり減りましたが、月並みでも、こういうアナログな世界って素敵だなぁと思います。


あっ、でも小学生の頃は友達の家の電話番号はちゃんと把握していましたよ?
(住んでいる地域は同じなので、覚えるのは4ケタでした)
てことは、私はアナログ人間???
(実際、小4のとき、東京から来た転校生がケータイを持っていたのはずいぶん驚いたものです。)


この曲は繰り返しが多く、驚くほど単語数が少ないです。
ですが、キャッチーかつ
情景が浮かんでくる歌詞。
また、何にも考えずに歌っても楽しい。
そんな昭和後期の名曲だと思います。



■阿久悠(あくゆう)
本名は深田広之(ふかだひろゆき)。
阿久悠のペンネームの由来は「悪友」から。

日本レコード大賞での大賞・作詞賞、日本作詞大賞、その全てで最多受賞記録を持つ、「元祖」日本で一番ヒットを飛ばした作詞家。

"ミュージック"ではなく、"ソング"を愛してきた。ただ、自身も最初は否定からのスタートを経験したがゆえに、ニューミュージックを"あんなもの"呼ばわりはしたくないという。

ちなみに、天てれの98年度のアニメ、「アリスSOS」の主題歌である「S・O・S」(1976年)を作詞した人でもある。