女子マラソン、前田穂南が日本新記録

19年ぶり更新

大阪国際女子マラソンは28日、大阪市のヤンマースタジアム長居発着で行われ、
前田穂南(天満屋)が2時間18分59秒の日本新記録で2位となり、東京五輪に
続く2大会連続代表入りに大きく前進した。2005年に野口みずきが打ち立てた
2時間19分12秒を19年ぶりに更新した。
前田は21キロ過ぎで先頭集団から抜け出し、2時間18分51秒で優勝したウォル
ケネシュ・エデサ(エチオピア)にはかわされたが、2位を守った。松田瑞生
(ダイハツ)が2時間23分7秒で3位だった。
女子マラソンのパリ五輪代表には鈴木優花(第一生命グループ)、一山麻緒
(資生堂)が内定している。残る1枠に、今大会か3月の名古屋ウィメンズで
日本陸連の設定タイム2時間21分41秒を突破した最速の選手が選ばれる。
 

度胸満点の走り パリ五輪代表へ大きく前進

日本女子で初めて2時間19分の壁を破り、日本記録を19年ぶりに更新した。

パリ五輪出場を狙うラストチャンスで会心のレースをみせ、最後の代表3枠目に

大きく前進した前田は「今の力はしっかり出し切ることができた。走るのは

やっぱり楽しい」と達成感に浸った。

2021年東京五輪は33位と失速して不完全燃焼。失地回復を目指してパリ五輪

代表を狙った昨年10月のMGCでは7位に沈んだ。これまでの悔しさを晴らすべく

「日本記録を狙う」と臨んだ今大会は「体が動いたら(前へ)いこう」と決めて

いた。

先頭集団5人による並走が快調なペースで続いていた21キロすぎ、ペースメー

カーを抜いて思い切り飛び出した。早い仕掛けで集団との差を広げると、ライ

バルの松田は付いていけずに後退。31キロすぎ、後ろからただ一人迫ってきた

エデサに抜き去られたが、70メートルほどの差で粘り、背中を追い続けてペース

を緩めなかった。

大胆なスパートには裏付けがあったという。大会前の1カ月、米国アルバカーキ

での高地合宿で、速いペースで長距離を走る練習をみっちり積み、天満屋の武冨

監督は「(2時間)20分を切るのはかなりの確率で大丈夫だろうと思っていた」

と言い切った。

「歴史を変え、日本の女子マラソンがやっと階段を上り始めた。続く選手がどん

どん出てきてほしい」と日本陸連の瀬古利彦ロードランニングコミッションリー

ダー。前田は「記録はもっと出したい。記録に挑戦するのと、世界でしっかり

勝負していけるよう、もっと力を付けたい。あとは待つのみ」と力をこめる。

紆余(うよ)曲折を経た27歳が、周囲に刺激を与える激走で再び五輪切符に

近づいた。

 

                      (以上 日本経済新聞より)

 

 

                      (写真は中日新聞Webより)

 

本日開催された大阪女子マラソンで快挙です!

前田穂南(天満屋)選手が、2時間18分59秒の2位でゴール。野口みずき選手が

持つ2時間19分12秒の日本記録を19年ぶりに破る日本新記録更新!

私は開始後30分過ぎからテレビ観戦していましたが、ゴールが近づくにつれて

テレビの前で「頑張れ!行ける!」とこぶしを握り締めて応援していましたね。

 

記録達成には新谷仁美選手らのペースメーカー達が素晴らしい仕事をしてくれ

ました。日本記録を上回るペースでほぼイーブンペースでラップを刻み、勝負は

もちろんですがもしかしたら日本新記録が出るのではないかと期待を持たせて

くれました。

前田選手の凄かったのはそんなペースメーカーたちを21キロ過ぎで追い抜き、

置き去りにしてトップを快走するという勝負に出たこと。今大会はパリ五輪の

3人目の代表の椅子がかかっているので、できるだけ速いタイムでゴールして

3月の名古屋のマラソンを走る選手にプレッシャーをかけたいところ。

ペースメーカーは一応30キロまでなので、勝負はそこからと思っていたところ、

前田選手はその10キロも手前で一気に勝負に出たのです。これには松田、佐藤ら

他の有力選手も驚いたでしょうね。見る見るうちに引き離され、ついてきたのは

優勝したエチオピアの選手のみ。途中2度も給水のドリンクを取り損ねる失敗も

ありましたが、それに臆せず一気に勝負をかけたのは素晴らしかったの一言。

レース前、前田選手は「アレ」が目標ですと宣言し、昨年の流行語大賞になった

「優勝」かと思っていましたが、実は「アレ」は日本記録を破ることだと語り

ました。どうせなら大記録でパリ五輪の切符を手に入れてやろうという壮大な

野望を心に秘めていたのですね。

 

これで先に内定している鈴木優花、一山真緒に次いで3人目の椅子を手にしたのも

同然。勝負に絶対はないのですが、名古屋では前田選手の日本記録を破らないと

パリ五輪の切符は手に入らないのですから、かなりハードルが高くなりましたね。

 

テレビではかつての日本記録保持者の高橋尚子、渋井陽子、そして賑やかな福士

加代子、さらに日本記録保持者であった野口みずきら往年の名ランナーが、侃々

諤々の議論をしながら前田選手の記録達成の解説をしていました。記録を破られ

た野口さんは自分の名前が消えることが残念かと思いますが、19年も日本最高

記録を保持してきたからいかに凄かったかよくわかりますね。皆さん興奮しながら

前田選手の日本新記録を祝福していて本当に嬉しそうでした。

 

とにもかくにも前田穂南選手、日本記録更新本当におめでとう!

もしパリ五輪に出たら東京に続いて2大会連続になりますが、今度は自分のレース

をして悔いのない戦いをしてもらいたいですね。

天才肌ですが努力家の前田選手。そのストイックさでまだまだ記録の更新が

期待できそうです。