日産、来月に会長選出へ=3社連合の行方左右―不正説明に絶句・

22日取締役会

 

日産自動車は12月に開く取締役会で、会長職を解任したカルロス・ゴーン容疑者の後任を選出する。

社外を除く現取締役から選ぶ方針で、西川広人社長を軸に調整が進む見通しだ。漂流の危機にある

ルノー、三菱自動車との3社連合の行方を左右する重要なポジションのため、関係者の思惑が交錯

する人事となりそうだ。一方、解任を決めた22日の臨時取締役会の様子も明らかになり、日産は連合

の新たな関係構築に向け動き始めた。

 

 臨時取締役会では、金融商品取引法違反容疑で逮捕されたゴーン容疑者の会長職を解任し、代表

権を外した。会長ポストは空席となったが、12月の取締役会までに社外取締役で構成する委員会が

候補を提案する方向だ。日産幹部は「現取締役で業務執行に携わる人が前提だ」と語った。

 

関係者によると、約4時間に及んだ臨時取締役会は、その大半が日産の社内調査で判明したゴーン

容疑者とグレッグ・ケリー容疑者の不正の説明に費やされた。ある出席者は説明を受け「こういう

ことができるのか」と絶句したという。

 

両容疑者の逮捕をめぐっては、欧州メディアが日産によるクーデター、陰謀などとする見方を伝えて

いる。このため、テレビ電話を通じて参加したルノー側の2人の出席者は当初、事件に懐疑的だった

とされる。しかし、西川社長が調査内容の詳細を説明するにつれて雰囲気が変化。

最終的には「アグリー(同意する)」と発言し、全会一致の解任決議に至った。

 

                                                (以上 時事通信より) 

 

日産自動車のカリスマ経営者、カルロス・ゴーン会長の衝撃の逮捕劇から数日経ちましたが、

さらに色んな不正が表面化してきました。

有価証券報告書に約50億少ない虚偽記載は直近の3年にも続き、さらに株価に連動した報酬を

40億分、海外子会社から受け取った年1億~1億5千万円程度の報酬も不記載。

加えて東京、フランス、ブラジル、レバノン、アメリカなど6か国にある住居を日産側に提供させ、

姉と結んだ「アドバイザリー契約」に業務の実態はないにもかかわらず、毎年10万ドルを支払って

いたようです。これは西川社長が会見で話した「3つの不正」のうち「経費の不正支出」に当たる

とか。さらに母親の自宅も日産側に購入させたと聞いてもう開いた口が塞がりませんね。

 

日産リバイバル・プランで日産自動車をV字回復させた辣腕はお見事で、その功績は称えられて

しかるべきものですが、「会社の私物化」がここまで進んでいたとしたらたとえ日産内部のクーデター

であったとしても会長職の解任は当然、三菱自動車も近く同様の対応をとるようです。

ただし、ルノーは当面代行のCEOを置くことで対応、ゴーン会長の解任は先送りしました。

これはフランスの「推定無罪の原則」に基づくもので、日仏で対応が異なるのは致し方ないので

しょうか。

 

この問題をややこしくしているのは日産とルノーの資本関係にあるということがわかってきました。

 

(読売新聞より)

 

現在、ルノーは日産の株を43.4%保有、これに対し、日産はルノーの株を15%保有しています。

さらにルノーのバックにはフランス政府がいてルノーに15%出資。

売上台数や売上高は日産>ルノーなのに株式の保有率は逆転、対等な提携とはいえず、実質

日産はルノーの傘下に入っている状態です。

このような状態の中で、フランス政府(マクロン大統領)は、3社の会長であるゴーン氏に「ルノーと

日産の不可逆的な関係」を求め、最近になってルノーが日産を統合しようという動きをゴーン氏が

示唆していたようです。このことは言い換えれば日産がフランスの企業になること、これに反発した

日産首脳陣がゴーン氏の不正を理由に解任に走り、今回の事態になったという流れだとマスコミは

書いています。

これがすべて当たっているかわかりませんが、これが本当なら日産とルノーの企業同士の関係だけ

でなく、大げさに言えば日仏間の国際問題にも発展しうるという大きな案件。

実際、2025年万博の開催地決定に備えてパリを訪問中の世耕経産相が急遽フランスの経済・

財務大臣と会見しています。

今回の逮捕劇は一カリスマ経営者の失墜というだけでなく、こういう側面が背後にあるということに

改めて驚きました。

 

今後はルノー、日産の双方が株式を買い増ししてお互いを牽制しあうことも予想されますが、それに

も提携の約束で色々制約があって一筋縄では行かない模様。仏政府が強気に出れば日本政府も

黙っていないでしょうし、しばらく事態がどう転ぶか目が離せません。ゴーン氏が釈放されて裁判と

なった時にどうなるか、ゴーン氏の後任の会長職は日本人となるのか、日産とルノー、日本政府と

仏政府の関係は?当面3社の提携関係は維持しつつ、今後世界第2位の自動車連合がどうなるか、

見守っていきたいと思います。

 

それにしても強欲すぎた「経営のカリスマ」の落日は寂しすぎますね・・・