やっと、シンガー・ソングライター、青谷明日香さんのナマ演奏が聴けました。先々日、土曜の午後、東京、板橋区のお寺で。

昨年の今ごろ、「サワコの朝」で紹介されて知り、すっかり、その歌声と、その創り出す世界に魅了されて、ぜひぜひ、ライブに行ってみたいと思っていましたが、コロナ禍と、それに前後した、ご本人の「産休」が重なって、ここまで、その機会がありませんでした。

 

今年一月には、最新アルバム「TO THE PARK」リリースを記念したライブが、桐生市で組まれていましたが、御存知の通りの「緊急事態宣言」で延期!予約を入れて、日帰りは無理そうなので、桐生駅前のホテルもおさえていたのですが......。(皮肉なことにGO-TOで、えらく安かったです)

そして.....やっと。簡単に行ける所で歌うとのことで、駆け付けました。

 

桐生のライブは、バンド入りで、「TO THE PARK」中心のプログラムだったのでしょうが、私は、その前のアルバム「いつか歌になる」から聴き始めたので、今回は、その中の曲が多く、うれしかったです。また、この方の「原点」は、シンプルなピアノの弾き語りのスタイルにあると思うので、アレンジされたアルバムと比較できたりもして、面白かったです。

 

「会場」は、それほど大きくもない、普通サイズのお寺で、写真のとおり、そのご本尊の前に、電子ピアノを置いただけの、ミニマムといっていいくらいのスタイル。こうやって、あちこちの会場で、人に囲まれて演奏をしてきたのでしょう。また、それぞれの歌も、こうした場所で歌われることで、味わいが増すようにも感じました。

 

「帰っておいで」から始まり、前回、ご紹介した「何はなくとも、何もなくても」と続いて、好きな曲の連続で、うれしくてたまらなかったのですが、「何はなくとも、何もなくても」には、こんなフレーズがあります。

 

生まれて死ぬだけ

大きな歯車

悪あがきかも

しれないけれど

 

自分は「なんとなく」仏教徒なのかなと思っている日本人は、多いのではないかと思いますが(私も、そのひとり)、この一節が、この浄土真宗のお寺の中で、親しげに集まった、20人ほどの人たちに囲まれて、和やかな雰囲気で歌われると、青谷明日香の歌に流れている、大げさに言えば「世界観」のようなものに、多くの人が共感するであろう理由が、わかったように感じました。

 

ところで、いま、20人と書きましたが、そうなんです、それくらいしか人がいなかったんです。もっと、わさわさ人がいて、そこに紛れて、そっと聴ければ、くらいに思っていたのが、なんと、ご本人を2メートルくらい前にして、「御対面」状態で聴くことになってしまいました。

 

うれしいのと、困ったのの、半々で.......いや、これは、やっぱり、有り難いことでした。聴きたい、聴きたいと願っていたので、仏様だか神様だかが、こんな機会をつくってくれたのでしょう。

 

救われた(?)のは、青谷サン御本人のお子さんも含めて、何人かの子供が、演奏中もパタパタ出歩いていたりして、適宜に「邪魔」が入ったことで、こんな風に「自然な」中で歌われるのが、青谷サンの歌には、あってるなァと思いました。

特に、当日歌われた「意味」という歌は、次のような一節のある内容で、これが、御本人の小さな可愛いお子さんを前にして歌われたのが、感慨深かったです。

 

あなたが息をしていること

ただ それだけで それだけで充分だと思った

そうあなたが笑っていること

ただそれだけが それだけが私の生きる意味

 

終了後、持参したCDにサインしていただきました。温かみのある、きれいな、そしてしっかりした、まるで彼女の歌そのもののような、サインでした。

 

ありがとう。

期待通りの、素晴らしい歌声でした。