土曜の朝は、食後、女房とゆっくり、NHKの「朝ドラ」を見た後、TBSの『サワコの朝』を見るのが、このところの習慣になっている。阿川佐和子が、絶妙なトークで、様々なゲストから引き出す話が面白い。(余談だが、この番組、ゲストが実に多彩で、いつだったか、あの、身に覚えのない「虚偽厚生文書作成容疑」で逮捕されて、いわれのない誹謗中傷にさらされた、元厚生労働事務次官の村木厚子サンが出演していて、びっくりした)

 

その『サワコの朝』に「いま心に響く曲」という、自分のお気に入りの曲を紹介するコーナーがあって、9月12日の放送で、俳優の六角精児さん(ドラマ『相棒』に出ている、脇役の、あのメガネの人)が紹介した、青谷明日香という、初めて名前を聞く歌手?の「何はなくとも、何もなくても」という歌が、聴いた瞬間に心に残って、気になり、ネットで調べてCDを購入した。

 

歌詞の一部を紹介すると(そのまま載せるとマズいと思うので、少し改変しました)

 

 たまに世界から

 取り残された気分になって、怖くなる

 自分ひとり居なくても

 世界は変わらない

 でも、あの日見た虹は

 美しかった

 もう少し、もう少し

 しがみついてみよう

 何はなくとも

 その先に

 何もなくとも……

 

ピアノの弾き語りによる、ややハスキーで芯のある、伸びやかで透明感のある、強い歌声。それぞれが、誰かの、日常の物語を語っているような歌は、その歌詞のひとつひとつが、ある時は、心に刺さってくるようで、ある時は、しっかり心を温めてくれるようで、繰り返し聴いてみたくなる。自身による作詞作曲、編曲で、ピアノの演奏も素晴らしいが、必要最小限に使われるヴァイオリンやいくつかの楽器が、絶妙な効果を生んでいる。

 

というわけで、最近ファンになったばかりで、分からないことが多いのだが、ネットでプロフィールを調べてみると

 

「秋田県生まれ秋田県育ち。ピアノ弾き語りで活動中。2003年に和風レゲエバンドminahを旗揚げし、全国津々浦々でライブ活動を展開。並行して2006年よりピアノ弾き語りのソロ活動を開始。2009年にminahは活動休止し、現在はソロに専念。サポートミュージシャンを加えたり、単独だったりと、様々な形態でライブや録音を行っている。」

 

とのこと。

 

CDは、2011年の『夜はミカタ』が初のソロアルバムで、『異端児の城(2012)』『冬の神様(2014)』『いつか歌になる(2017)」』そして、ついこのあいだ、9月4日に最新作『TO THE PARK』がリリースされた。

六角さんの紹介したような、しみじみと心に沁みてくるような歌も多いが、春になって、花の精たちが山から下りてきて、憂いに沈む乙女を、「かごめかごめ」の輪に引き込んで、元気にして帰っていく「フローラ達の行進」という、民謡を見事に活かした、にぎやかな歌とか、エイリアンにナンパされて、「アタマにお尻のある子が生まれたら、どうするの?」とか言って振り切ろうとするという、何ともシュールな展開の、演歌をパロったような、デュエットによる歌「大気圏で押し問答」とか、内容も曲想も、多種多様。

 

とりあえず、歌声を聴いてみたいという方は、YouTube で「True North,Akita.」と検索してみてください。秋田への移住を促進する取組の一環として、秋田の子育て環境の魅力のPRで、2016年、秋田県が制作した映像作品。秋田出身ミュージシャンとして音楽を担当した、青谷明日香の「帰っておいで」が、絶品。映像も素晴らしいです。