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 昨年の8月、バリの家族旅行から帰国し、また行きたいネなどと話していたら、9月にあの「同時多発テロ事件」が勃発した。

 と、去年の11月に書いた文章を引用していて、ああ、あれからまだ1年も経っていないんだと思った。あの頃の騒ぎはいったい何だったんだろう。私の場合、高校2年の担任だったから、11月の沖縄への修学旅行をやるかやらないかで、ふつうならば、しなくて済むような調整にあけくれ、出発前には既にくたびれきっていた。
 幸いにも、予定どおりの日程で現地に行ってみると、「沖縄から外に行ったことないンですよー」と屈託なく話すバスガイドさんによれば、同時期の沖縄への修学旅行の6割がとりやめになったそうだ。私は沖縄が初めてだったのでピンとこなかったが、公私ともに沖縄へ何度も来ている先生によれば、「こんなガラすきの国際通り(一番の繁華街)は見たことない」とのこと。
 無事に全日程も終了して那覇空港にむかう車内で、「沖縄、また来てねー」と言う、さっきのバスガイドさんの言葉も、悲愴ではないが、実感がこもっていた。生徒は大歓迎をうけたこともあって、すっかり沖縄が好きになったようだ。なにはともあれ、行けてよかったです。

 今は、海外旅行の客も、ほぼ元どおりでになりつつあるらしい。「喉もと過ぎれば」のことわざどおりの展開だが、私が言うまでもなく、事態はむしろ深刻さを増している。アフガニスタンの戦争はまだ続いているし、パレスチナをめぐる情勢は、そう言ってはいけないかもしれないが、かなり絶望的だ。と、エラそうに書いたが、ニューヨークの事件や修学旅行のすったもんだを、遠い昔のように感じている自分に気づいて愕然とする。

 バリで現地を案内してくれたカナさんは、ジャワ出身で、今はバリの大学で日本語を教えている。去年の6月まで、浦和にある「日本語国際センター」へ研修に来ていた。彼女の友人とともに拙宅へ何度か食事に招いて、バリやインドネシアのことを聞いたりしたことがある。
 インドネシアは世界最大の人口のイスラム教徒を抱える国で、カナさんもイスラム教徒だ。彼女が一度つれてきた、バリ生まれの研修生のスーカッタさんという男性は「バリ・ヒンドゥー」教徒で、バリ州はバリ・ヒンドゥー教徒が9割をしめている。「バリでは子どもの頭をなでちゃいけないんですよね(精霊が宿ると信じられている)」と、ガイドブックの注意事項を確認してみたら、カナさんが「え、そうなの」とちょっと驚いて、スーカッタさんは「え、知らなかったの!」とけっこうすごく驚いてしまったということがあった。
 
 先日、センターの研修生のルキさんという人から電話があった。カナさんの友人で贈り物をあずかってきているので、会いたいとのこと。8月まで滞在の予定なので、一度うちに来てもらおうと女房と相談している。ところで、ルキさんの宗教はなんだったか、聞くのを忘れていた。
 
 ついこの間も、パレスチナで何人ものひとが殺されたというニュースが流れた。自分がやっているこんな「国際交流(大げさですが)」も、1ミリでも何かを動かせたらと思う。