たまに
ティラノサウルスの標本は50体くらい有る。
とかいう情報を見かけるのですが
これ、何を基準にそんな数を出しているのでしょうか?
これ迄発掘されてきたティラノサウルスの化石の個体数が
僅か50体程度な筈がありません。
では骨格マウントにして組まれている数なのか?
そんなに多かったっけ?
というわけで、数えてみる事にしました。
世界で実物化石を元にマウント標本にされている
オリジナルのティラノサウルスの全身骨格標本が幾つあるのか
いやー、我ながら暇人な内容だなあ(笑)
(注)あくまでもマウントにされている標本だけをカウントします。
なので、ブラッディ・メアリーやダッフィーとかは除外します。
(1)スー
フィールド自然史博物館所蔵
サウスダコタ州ヘル・クリーク1990
骨格保存率73% 体積保存率90%以上
世界で最も完全な、そして一番有名なティラノサウルスの標本です。
3体程しかマウント複製されていないキャストレプリカの内1体が、福岡県の北九州いのちのたび博物館に常設展示されています。
(2)スタン
アブダビ自然史博物館所蔵
サウスダコタ州ヘル・クリーク1987
骨格保存率63% 体積保存率80%以上
初めて中東(アラブ首長国連邦)に渡った
世界で2番目に完全なティラノサウルスの標本です。
そして世界で最も高値(3200万ドル)で取引された恐竜の化石標本でもありますね。
東京の科博と、福井恐竜博と、いのちのたび博と、山口県立山口博物館に、キャストレプリカマウントが展示されています。
(3)AMNH 5027(レクシィ)
ニューヨークアメリカ自然史博物館所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク1908
骨格保存率58% 体積保存率約65~70%
世界で最初にマウントにして組まれたティラノサウルスの標本です。
長年に渡りティラノサウルスのシンボリックイメージであり続けた標本です。
徳島県立博物館と、北海道滝川市美術自然史博物館に、キャストレプリカが展示されています。
(4)ブラック・ビューティー
王立ティレル古生物博物館所蔵
アルバータ州ウィロー・クリーク1980
骨格保存率28% 体積保存率約40%?
世界で最も美しいと評されるティラノサウルスのウォールマウントとして有名な標本です。
ただ展示マウントはキャストレプリカです。
福井県立恐竜博物館と、ミュージアムパーク茨城県自然博物館に、キャストレプリカ(ウォールマウントでは組まれていない)が展示されています。
(5)ワンケル・ザ・"ネイションズ"・レックス
スミソニアン国立自然史博物館所蔵(保有権はアメリカ陸軍が所持)
モンタナ州ヘル・クリーク1988
骨格保存率49% 体積保存率約80%
事実上、合衆国政府保有のティラノサウルス標本です。
豊橋市自然史博物館に、一番(最初に複製された)キャストレプリカが展示されています。
御船町恐竜博物館と、宮崎県総合博物館にも、キャストマウントが展示されています。
(6)スコッティ
王立サスカチュワン博物館所蔵
サスカチュワン州フレンチマン1991
骨格保存率40%以上 体積保存率約65~70%
生前の推定体重約8.8t以上と見積られ、最も大きい個体のティラノサウルス標本と言われています。
カナダで三番目に組まれた標本ですが、マウントにされているのはキャストレプリカです。
3体程しか複製されていないキャストの内1体を、むかわ町立穂別博物館が保有してます(常設展示無し)
(7)トリックス
ナチュラリス・バイオダイバーシティ・センター所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク2013
体積保存率75%以上
オランダに渡ったティラノサウルス標本です。
長崎市恐竜博物館に、3体しか複製されていないキャストレプリカの内1体が展示されています。
(8)バッキー
インディアナポリス・チルドレン博物館所蔵
サウスダコタ州ヘル・クリーク1998
骨格保存率34%
国立科学博物館のお座りティラノは、このバッキーのキャストです。
(9)トリスタン・オットー
個人所有
モンタナ州ヘル・クリーク2010
骨格保存率56%
現在ドイツのベルリン自然史博物館に貸し出されています。
おそらく、世界で4番目に完全なティラノサウルス標本だと思われます。
ブラック・ビューティーと同じ、世界に4体しか無い
黒いティラノサウルス標本でもあります。
(10)CM 9380
カーネギー自然史博物館所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク1902
骨格保存率11%
記念すべきティラノサウルス・レックスの完模式標本です。
ティラノサウルスという古生物の、そして全ティラノサウルス化石標本の
基準となるホロタイプ標本です。
(11)ジェーン
バーピー自然史博物館所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク2001
骨格保存率48%
ティラノサウルスの幼体標本として有名です。
業者がキャストを保有しているので、日本でも結構見る機会は多いです。
(12)ティンカー
行方不明
サウスダコタ州ヘル・クリーク1997
骨格保存率24%
現状最も完全なティラノサウルスの亜成体標本ですが、オークション後どうなっているのか分かりません。
兵庫県の玄武洞ミュージアムにキャストレプリカが展示されています。
(13)ワイレックス(ウィレックス)
ヒューストン自然科学博物館所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク2002
骨格保存率38%
生前に別の個体との闘いに敗れ、尾を食い千切られ死亡したとされるティラノサウルス標本です。
(14)アイヴァン(イワン)
ワールド・トレジャー博物館所蔵
サウスダコタ州ヘル・クリーク2005
骨格保存率39%
頭骨は失われていますが、最も完全な尾が残っていた標本です。
このアイヴァンの発見により、長年謎であった尾椎骨の数が判明し、ティラノサウルス・レックスの完全な骨格の全貌が明らかになりました。
(15)ペックス・レックス(モンタナズ・レックス)
ロッキー博物館所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク1997
骨格保存率40%以上 体積保存率60%以上?
世界一のティラノサウルス化石コレクションを有する
モンタナ州立大学附属ロッキー山脈博物館の看板標本の1つです。
(16)トーマス
ロサンゼルス郡立自然史博物館所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク2003
骨格保存率37%以上
世界で唯一、4体ものティラノサウルスのオリジナルマウントを展示するロサンゼルス博物館の筆頭ティラノサウルス標本です。
(17)LACM 23844
ロサンゼルス郡立自然史博物館所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク1966
骨格保存率25% 体積保存率50%?
(18)ハーレー
ロサンゼルス郡立自然史博物館
モンタナ州ヘル・クリーク1969
骨格保存率12%
稀少なティラノサウルスの亜成体標本の1つです。

(19)ジョーダンの獣
ロサンゼルス郡立自然史博物館
モンタナ州ヘル・クリーク1966
稀少な幼体標本の1つ
実物要素は頭骨部分だけの(実物は別に展示)、アーティファクトのマウントです。
(20)ハックスリー・レックス
王立ティレル古生物博物館所蔵
アルバータ州スコラード1946
骨格保存率16% 体積保存率30%?
ロイヤル・ティレル博物館のもう1つのティラノサウルスマウントです。
カナダで初めてマウントされた標本で、こちらは実物化石を使って組まれてます。
(21)サムソン(Z・レックス)
個人所有
サウスダコタ州1987
骨格保存率55%以上
おそらく世界で5番目に完全なティラノサウルス標本だと思われます。
(22)ビクトリア
個人所有
サウスダコタ州2013
骨格保存率66%
おそらく世界で3番目に完全なティラノサウルス標本だと思われます。
また現状4例しか確認されていない雌のティラノサウルスだと考えられています。
(23)ルーズベルト
エリン・マーティン・デザイン・ショールーム所蔵
ワイオミング州ランス2013、モンタナ州ヘル・クリーク2008.2013
三体コンポジットで組まれたティラノサウルスでは珍しいマウントです。
コンポジット状態での骨格保存率は約42.4%
(24)タイタス
ノッティンガム自然史博物館所蔵?
モンタナ州ヘル・クリーク2014
骨格保存率20%?
現在イギリスで唯一マウントされているティラノサウルス標本です。
(ロンドン自然史博物館所蔵のディナモ標本はマウントで組まれてはいない)
(25)キング・コング
個人所有
モンタナ州ヘル・クリーク
体積保存率65%?
4体しか存在しない黒いティラノサウルス標本の1つ
だが詳しい科学的所見のソースは確認出来ない。
(26)ピーター
オークランド戦争記念博物館所蔵
ワイオミング州ランス2018
骨格保存率20% 体積保存率47%
ニュージーランドに渡ったティラノサウルス標本
ランス層で発掘された化石で組まれた珍しいティラノサウルスのマウント標本です。
黒いティラノサウルス標本の1体です。

(27)バーバラ
オークランド戦争記念博物館所蔵
モンタナ州ヘル・クリーク
体積保存率44.7%
B・レックスと同じ、世界で4例しか確認されていない(骨髄エビデンスによる)
雌のティラノサウルス標本の1つ
雄と雌のティラノサウルスの全身骨格が見れる。
という謳い文句が売りの、オークランド博物館のもう1つのティラノサウルスのマウント標本です。
(28)シェン
個人所有
モンタナ州2020
つい最近クリスティーズオークションに出品されたマウント
骨格保存率で約26%らしいが
疑わしいとして、オークションリストから取り下げられた。
(29)ロバート・Y・レックス
詳細不明
台湾にある自称実物を使ったマウントらしい。
事実なら現状東アジアに有る唯一のティラノサウルス実物マウント標本であるが
ただそれを裏付けるソースは何も見付からない。
やっぱり50体も無いや(笑)
自分が知らないだけで、他にも有るのかも知れないけど
でも50体も組まれてはいないと思います。
ティラノサウルスは抜群の知名度と、人気のある恐竜なので、キャストレプリカマウント標本も多く
世界中にレプリカだけで、おそらく100体以上が博物館などで常設展示されています。
恐竜展でも業者が保有する標本が、客寄せによく展示されています。
(ワイレックスやジェーンのレプリカも日本の業者が保有してます)
その殆どがブラック・ヒルズが複製したスタンのキャストで
(ブラック・ヒルズ曰く、これ迄に60体ものレプリカを複製したのだそうな、私が把握しているだけで、凡そ40体程が世界中の施設で常設展示されている)
次いでワンケル、AMNH 5027、ブラック・ビューティーが多く複製されて、展示されています。
よーく見ると個体毎に個性があります。
ティラノサウルスの全身骨格標本は
実は結構見る機会が多い恐竜の標本だったりします。
皆さんもお近くの自然史博物館に行ってみると
頭骨のレプリカなんかが展示されているかも知れませんよ

























