映画ジュラシックシリーズで一気に知名度が上がった
所謂ラプトルですが
皆さん彼等についてどんなイメージを持ってますか?
そして実際のラプトル恐竜の実像については、何れだけ知ってますか?
とまあ、そんな事を思い付いたので、ブルー達ラプトル類について徒然と
何もまとまりの無いブログでも書こうかと思います。
ただ思い付くだけ書いていくので、多分長くなります。
えー先ず、ジュラシックシリーズ以降
様々な媒体に登場している所謂ラプトル恐竜ですが
だいたいジュラシックシリーズのイメージで描かれています。
しかし、あれは姿も生態もフィクションであり、誇張された姿でもあります。
ラプトル類というのは俗称であり
そんな恐竜(古生物学)としての分類など存在しません。
パラヴェス及びエウマニラプトラという分岐系統学による分岐群と
デイノニコサウルス下目というリンネ式分類学の分類階級が
それに当たるでしょう。
デイノニコサウルス下目という分類群は、1969年にエドウィン・コルバートとデイル・ラッセルによって設立され
基本的にはデイノニクスに似た形質を有する
ドロマエオサウルス類とトロオドン類の恐竜を纏めた
分類階級(タクサ)として定義されています。
以下少し一般の方にはつまらない話が続きます。
エウマニラプトラというのは、1999年にケヴィン・パディアン等により
マニラプトラ(1986年にゴーティエにより提唱)を更に細分化した分類として設立されました。
パラヴェスは1997年にポール・セレノにより設立された分岐群(クレード)です。
詳細は異なりますが、今日その主な定義は
スズメよりオヴィラプトル寄りに最新の共通祖先を持つグループ
或いは
鳥とドロマエオサウルスとスカンソリオプテリクスの
最も直近な共通祖先と、その全ての子孫。
といったふうになっています。
デイノニコサウルス下目とパラヴェス及びエウマニラプトラは
似たようなグループを示している様に思われるかも知れませんが
タクサとクレードという全く異なる分類法を表していますので、注意が必要です。
タクサ分類はリンネ式分類学の法則に基づき、その特徴により生物を1つのグループとしているものですが
クレード分類はその生物の共有派生形質による系統群を表しています。
大きな違いは、進化という概念が有るか無いかです。
それとクレードは系統群の全てを示しているので、パラヴェスやエウマニラプトラのクラドグラムには
現生鳥類も含まれます。
以下小難しいと思うので、もう画像後の段落迄読み飛ばしてもらって構いません。
リンネ式分類学による分類は、現生生物の分類には適していますが
古生物の分類には向きません。
何故なら進化した生物の道筋を分類階級に当てはめると
その分類階級が破綻してしまうからです。
一方、分岐学分類はその生物群を、共有派生形質という特徴により
数学的にフォーマット化し、恣意的な人為的分類を排除します。
それにより、生物が進化した系統、自然分類を探るのに適しています。
なので、現在の古生物学では綱や目という科より上の分類階級は
もうほぼ放棄されています。
Wikipedia等では、今でも獣脚亜目だとか、爬虫綱の恐竜上目などと書かれていますが
これ等は現代古生物学的には、時代遅れも甚だしい表現です。
ただ、分岐学では基本的に側系統を認めないので
側系統群を別に表すのにデイノニコサウルス下目等を
デイノニコサウルス類として纏めて表す際に使用されたりします。
但し、これはタクサでは無く、あくまでも側系統のクレードを示します。
ですので下目という階級では無く、類として表します。
つまりドロマエオサウルス類とトロオドン類という姉妹群を
1つのグループとして表すには適しています。
さて、所謂ラプトル類を紹介するには、デイノニコサウルス類とするほうが良いと思われます。
スカンソリオプテリクス類やアヴィアラエ以降の鳥類(つまり始祖鳥より進化した恐竜)には用は無いので(笑)
しかしながらラプトルというラテン語の属名には、盗人という意味しか無いので
他の分岐群の恐竜にも使われていたりします。
例えば、フクイラプトル。
これはメガラプトル類の恐竜とされていますが
このグループは、近年基盤的なコエルロサウリアに当たるという見方が優勢ですので
所謂ラプトル君達からは遠縁の祖先筋になります。
今回はジュラシックシリーズのラプトルに近縁な恐竜についてですので
オヴィラプトルとかシンラプトルとかの
他の系統群のラプトルという名の恐竜は一切無視します。
ジュラシックシリーズのラプトルは、ヴェロキラプトル・アンティロプスという架空の種です。
これはかつてデイノニクス・アンティロプスは
ヴェロキラプトル属の1種だという意見があったのを
原作者のクライトンが採用してしまったからです。
しかも実際のヴェロキラプトルやデイノニクスより大きい生物として描かれています。(実際にデイノニクスのマウントを見た事がある方はご存知でしょうが、よくネット上で言われるデイノニクスの大きさで云々というのは、ウソっぱちです。デイノニクスでもあそこまでは大きくはありません)
これは当時でも恐竜マニアから、過剰に大きいと批判されてましたが
映画の公開前にユタラプトルという
推定全長6m以上にもなる大型のドロマエオサウルス類の化石が発見された為
(発見は91年ですが、ニューズウィーク誌に単報が載ったのが92年7月)
あの大きさのラプトルが居ても問題ない
という事になりました。
アメリカの研究者や恐竜マニアの一部では、当時ユタラプトルを
スピルバーグラプトルなどと呼んでいたりしたという話もあります。
(スピルバーグが資金援助するという話もあった為)
基本どうでもいい外野の話なんですけどね(笑)
とにかくモデルになったヴェロキラプトル及びデイノニクスは
デイノニコサウルス類のドロマエオサウルス類に属する恐竜です。
ドロマエオサウルス類
このグループの恐竜の化石が初めて発見されたのは1914年
カナダのアルバータ州レッド・ディア川のジュディス・リバー累層で
かのバーナム・ブラウンが、後期白亜紀カンパニア期後半の地層から
小型獣脚類の断片的な化石を発掘した事に始まります。
その後1922年、ブラウンはウィリアム・マシューと共に
この化石標本を、ドロマエオサウルス・アルバーテンシスとして
新種記載しました。
この時にドロマエオサウルス科という分類群も設立されました。
(厳密には亜科としての設立で、これを科に上げたのは1969年のラッセルの論文が最初であるらしい)
そして1923年、ドロマエオサウルス類の二番目のメンバーが
海を隔てたモンゴルから姿を現しました。
ヴェロキラプトルの登場です。
かの有名なアンドリュース隊によりモンゴルのジャバラク・ウス(現在のバヤン・ザク)のジャドクタ累層後期白亜紀カンパニア期の地層から
またも断片的な化石が見付かったのです。
翌1924年、ヘンリー・オズボーンにより
この化石標本に、ヴェロキラプトル・モンゴリエンシスの名が与えられました。
しかし、化石が断片的なものばかりだったので
未確定の小型獣脚類という扱いのまま放置され
ドロマエオサウルスとの関連性が見出だされる事はありませんでした。
(しかしオズボーンは論文に、鳥の様な恐竜である。との見解を示している。流石の観察眼である)
1933年、チャールズ・ギルモアが、中国の内モンゴル自治区の
エレン・タプス累層の化石生物群の総説を発表した際に
新たなヴェロキラプトルの断片化石について
ドロマエオサウルスとの類似性を指摘したのだが
注目される事は無かった。
結局ドロマエオサウルス類の実体が明らかとなったのは
初めての化石発見から50年もたった1964年の事である。
その年イェール大学のジョン・オストロムは
モンタナ州ブリッジャー近郊の前期白亜紀アプト期からオーブ期の地層を調査中に、丘の斜面から突き出されていた爪の化石に気付いた。
デイノニクスの発見である。
オストロムとデイノニクスの出会いは、後の恐竜ルネッサンスの幕開けであり
恐竜という生物の旧来の愚鈍な爬虫類というイメージを根底から覆す嚆矢となりました。
発見された化石はそれぞれ推定2.5~4mの小型の獣脚類の
3~4体分と思われる部分骨格でした。
オストロムの慧眼はその恐竜の特異性を鋭く見抜きました。
ドロマエオサウルスと近縁な恐竜である事は勿論
その特徴的な大きな後足の鉤爪とその可動域、バランサーとしての機能を果たせる固く棒状になった長い尾
大腿骨と骨盤を結ぶ坐骨転子筋の付着部、高速走行に向いた相対的に長い脛骨
自由度の高い腕の関節。
高度な運動能力が有ったとしか思えない骨格的な特徴の数々
オストロムは発見より5年もの間、慎重かつ詳細な研究を経て
1969年に、この化石標本をデイノニクス・アンティロプスとして記載しました。
更にオストロムはデイノニクスの骨格が、始祖鳥によく似ている事にも気付いていました。
そしてこのデイノニクスの研究報告が、恐竜学の転換となるムーブメントを巻き起こしたのでした。
続きます。






