渋谷区神南の屈折と混濁 | 硝子の中年のブログ

渋谷区神南の屈折と混濁

  本日の番組「噂の東京マガジン」

渋谷区神南の高層マンションについてのリポート。

現在のマンションは70年代の中期に建設されて、耐用年数が迫っている。

このため、解体して新しく34階?の建設を予定。

現在の約3倍の高さとなる。

  当地区の建築基準法及び都市計画法に基づく数字では、この高さは不可。

このため、隣地の区立の学校の敷地と合わせて再開発を行い、法令上可能とさせた。

適法だが、裏技とも言える。

民間と行政の合意に基づく手法。

両敷地の間の区道も廃道になる。

  渋谷区としては、容積率を増すメリットを与える交換条件とし、学校の建て替えを再開発に含めることを求め、契約に至っている。

大きな問題は、この新規建設のビルもいずれは老朽化して、建て替える必要が生じる。

今世紀末になるか、時期は不確定だが。

 その時点で建て替えを行う場合の合意形成など、極めて煩雑かつ不透明な事態に陥ることが想定できる。

 行政も一人の地権者として、特別扱いはできないはず。

そのような予測の中で、区立の学校という公共財の管理や運営が不安定となることはベストの選択ではない。

さらに、詳しい図面は分からないが、平地の校庭は無くなるはず。

これも生徒の過ごす時間の環境としては全く推奨できない。

  また、反対派の一人の不動産鑑定士の概算では、本件は等価交換ではなく、渋谷区側がかなりの損失となると断定している。

さらに、当該区道の廃道も周辺の交通事情を考えると、不適当と指摘している。

要するに大幅に民間業者に譲歩している実態が見えてくる。

これは殆ど利益供与、利益誘導の範疇と言える。

開発業者の社名が分からないが、土地柄からして東急不動産・東急建設の可能性もある。

  前述の不動産鑑定士は上記の金額の算定が渋谷区から開示されておらず、行政の対応として拙劣と指弾している。

これに関しては情報公開を条例に基づいて請求すべきと考える。

納税者及び有権者として、当然の権利であり、行政の隠蔽体質や逸走をチェックすることが本件の改善を含めて、以降の区の施策にもプラスの影響が期待できる。

  今回の物件の近距離に1棟の高層マンションがすでに建っている。

この代表者が、この建設に反対の意思表示をしている。

そして、マンション内の住民に署名を求めたが、結果として4割に留まっている、という説明。

この代表は資産価値が下がるとか、日照が悪くなるとか、ネガティブな要因を挙げている。

しかし、それは己に唾を吐くようなものである。

自分たちが過去に同じ立場で、古くからの低層住宅に住む人々にマイナスの影響を与えた訳である。

マンションの賢明な住民は署名していない、と捉えることができる。

代表の欲得が最優先の醜悪な志向には同調できない、という思考回路に違いない。

  いずれにしても、様々な観念と疑念が錯綜して、当分は悶着が収束しないと推量できる。

街づくりは容易ではない。

いかに、現下のバブルと言える景気、その現象を伴っても。

金満だけでは解決できない因子がある。

付帯状況は異なるが、新宿の思い出横丁やゴールデン街、またニュー新橋ビルの再開発が進捗していない現実は、この問題の本質を反映し、投影している。

新橋については、令和の内の竣工は無理だろう。

新宿の2件は半永久的に不可と推認できる。

  整然としていない、カオスのような区画があってもいい。

再三指弾するが、再開発は街の個性を殺す、記憶を消除するロボット化なので。

無味乾燥な街へミスリードする。

全ての街を統一的なドレスコードに当てはめる必要はない。

再開発が常に普遍的な正解であるならば、名古屋の大須も、京都の新京極も、横浜の野毛も、東京の谷中銀座も再開発を提案してみれば。

愚劣の極みであり、辟易する。