池袋演芸場の怪 | 硝子の中年のブログ

池袋演芸場の怪

  いつの間にか、池袋演芸場が落語協会の独占・専用になっている。

知らなかった。

不覚だった。

ホームページには勿論、経緯は載っていないが、ウィキペディアでも記載はない。

インターネットを検索しても、理由は分からない。

  寄席は基本的に10日間興行で番組は入れ替わる。

そして、出演する団体も落語協会と落語芸術協会が入れ替わる。

新宿末広亭のように。

しかし、上野鈴本については過去の不和から落語協会だけの小屋となっている。

さらに今回、池袋まで落語協会専用になると、落語芸術協会の出演できる寄席は浅草と新宿だけに絞られる。

これは厳しい。

何かの悶着があったと想定できる。

部外者がこれを詮索しても無意味なので、話を次に進めるが。

  立川流や円楽一門会は都内4ヶ所の、いずれの寄席にも出演できない。

流浪の民と言える。

単発的に出張して、主催者に呼ばれて落語会に出演する。

勿論、自主企画もあるが。

比喩としては、歌舞伎座のない歌舞伎役者のような者である。

前進座の役者のような。

国技館のない力士のような。

  それでも、優れた力量の噺家が存在し、活躍している。

例えば、立川志の輔は抜群に評価が高い。

私は聴いていないが。

かつて、パルコ劇場で開催されていた、約1ヶ月間の公演は即完売になっていた。

私的には立川流では立川志らく、円楽一門会では三遊亭萬橘が好きな噺家で、複数回、高座を聴いているが。

  これからは寄席という拠点に拘らず、寄席芸人が能動的に自ら活躍の場を開拓していくことが必要と思える。

余りにも噺家が多いので。

需要と供給のバランスが崩れている。

発想を変えれば、例えばサーカスは自前の小屋がある訳ではない。

各地を移動して公演を行う。

プロレスも、ボクシングも全く同様。

興行とはそういうものである。

  噺家から積極的に市区町村や大学にアプローチして、いわゆる学校寄席とか、学園寄席のような場を定期的に開催してもらうことも一案と思える。

受け身のままでは先細りしかない。

さらには、最近は豪華客船が日本列島の港を巡って観光する、10日間前後のクルーズも定番の就航となっている。

長い船旅の時間で、生の落語という娯楽があってもいいのでは?

  窓口とか、接点が簡単に掴めないかもしれないが、トライする価値はあるだろう。

過去には日本のエアラインで、フライト中にイヤホンで落語を聴けるサービスもあった。

既存のスタイルや形式を打破して、固定観念を捨てて、生き残る場を模索すべき。

落語家はエセンシャルワーカーではないので。

噺家という稼業には保険も担保もないので。