小澤征爾と私的巷談 | 硝子の中年のブログ

小澤征爾と私的巷談

  小澤征爾の訃報。

巨星墜つ。

享年88歳。

1ミリの異論もない、レジェンドだった。

病院ではなく、自宅で亡くなったという報道。

天寿を全うしたのか、微妙かもしれない。

日本では昨年の9月の時点で、100歳以上の人口が92,139人という数字。

信じがたい。

これからも増え続けるのだろうか。

  私は当該人口が3万人台の頃、これは絶対に幽霊的な数字だと思っていた。

なぜならば、年金を詐取するために、死亡届を提出しない子供の悪事・犯罪が複数回、報道された頃だったので。

いずれにしても、この年齢の超高齢者は生産年齢人口ではない。

人としての、最終章であることは間違いない。

戦後の復興期及び成長期を担ってくれた世代であり、敬意を表するという文言以外に適切な語彙が思いつかない。

  人が生きるとは何か?

改めて考えさせられる。

深遠なテーマかもしれない。

多くの古今東西の哲学者や思想家が正解を導いているのかもしれないが。

浅学のため、答えを知らない。

加齢という抗えぬ摂理に対して、衰える体力の中で、知力も枯渇していく。

若い世代に人としての道理を教えること、それが残された仕事かもしれない。

  道理が軽視され、無視されるとオレオレ詐欺、あおり運転、あるいは裏金を懐に入れる、永田町の政治ブローカー、さらにビッグモーターのような、下等で醜悪な人間に成り下がる。

特に国会議員は公金を原資とした歳費を受け取る立場であり、質(タチ)が悪過ぎる。

  相当に記述が脱線逸走したが、私はクラシックは専門外であり、小澤氏に特に思い入れはない。

しかし、改めて小澤氏の経歴を検索してみると、興味深い部分もある。

彼は戦前に満州国で誕生している。

彼が若い頃に、切磋琢磨した仲間の一人に山本直純がいる。

山本はクラシックに縁のない、市井の人々にもクラシック音楽の素養に基いた、商業的な作曲で知名度を上げて、人気と注目を集めた。

山本は東京藝術大学の出身だが、小澤の最終学歴は桐朋学園短期大学である。

学歴は必ずしも、成功のための通行手形でも、約束手形もないということが分かる。

  小澤はカラヤンに師事している。

皇帝と呼ばれた、20世紀を代表するマエストロである。

1989年に81歳で永眠している。

同時代の指揮者のビッグネームとして、チェリビダッケの存在がある。

ルーマニア人で、1996年に84歳で逝去。

二人のライバル関係?については長尺になるので、割愛したい。

  いずれにしても、このクラスの人物は半永久的に業績と名前が音楽史とリスナーの記憶に、そして心に刻まれる。

人としての冥利に尽きると言える。

上記のような、非道の極みのような日本人とは、雲泥の差かもしれない。

栄枯盛衰、諸行無常、色即是空、会者定離。