クルーズ文化と日本
超豪華客船、「アイコンオブザシーズ」が就航する。
カリブ海の処女航海に出る。
250,800トンという、異次元の巨大な船体。
想像を絶する規格。
勿論、世界一であり、ギネスに載るはず。
コロナウイルスのパンデミックでクルーズ業界は苛烈な逆風に晒された。
相当な数の大型客船が廃船となり、鉄屑と化した。
ダイアモンドプリンセス号の横浜での初動の拙さ、それに伴う苦難は記憶に鮮明に残っている。
この感染症の実態についての知見が、この時点ではゼロに等しかったから、当事者を全面的に批判することはできないが。
未だに発生源の事実を隠蔽し、1ミリも責任を認めない中国という、極悪非道の国家には辟易する。
憎悪しか覚えない。
これが国連の常任理事国であるから、国連は機能不全ではなく、完全に死んでいる。
話を元の軌道に戻すが、そのダイアモンドプリンセスは約113,000トンである。
つまり、ダイアモンドプリンセスの2倍以上の規格である。
最も知名度が高く、歴史と物語を宿している、クイーンエリザベス号は90,400トンであり、規模だけを比較すると、同じ土俵では語れなくなっている。
フロリダ州マイアミに拠点を置く、ロイヤルカリビアンインターナショナルが運営しているが、この会社は1968年にノルウェーで設立された、という記述。
ノルウェーという国が海運の本家本元であることの、明白な証左と言えるのでは。
いずれにしても、クルーズという文化が普遍的であり、堅調に推移していることの現実は色々な意味で感慨が深い。
この贅沢な時間と空間で遊興と美食を満喫して、娯楽を享受する富裕層がいる一方で、貧困と飢餓と栄養失調、また戦禍で明日の命さえも分からない人々もいる。
地球という惑星における、人間という動物の落差・格差には呆然として、思考停止に陥る。
私の語彙では言葉がない。
無情では片づけられない不条理を覚える。
勿論、私にとって客船は被写体として好きな対象であり、この動向を否定的に総括するつもりは毛頭ないが。
クルーズという非日常の休暇は人生の句読点として、その選択肢として高く評価したい。
このクルーズラインは22万トン台4隻、23万トン台2隻の客船を保有している。
その下のクラスでも多くの客船を保有して、就航させている。
日本人は、この自遊時間を味わうには未だ経験値が足りないと思える。
全方位的に海洋に囲まれた島国であるにも係わらず。
日本の景気は低迷し、失速しているから、総論としては当分は周回遅れのままで眺めるだけになると想定できる。