・・・・・「300、ヨットは海岸沿いにゆっくりと進んだ。船べりに身をあずけて、カリーナは西の空がオレンジと赤に染まっていくのを見ていた。美しかった一日の最後を飾るにふさわしい輝かしい光景だった。自分の世界が、思いがいかにちっぽけなものかが痛感されえる。沈みゆく太陽がそそり立つ断崖や限りなく広い海に緋色の光を投げかけるのを見ていると、自分の存在が小さくて意味のないものに思えてくる。が、また同時に自分が大自然の一部であることにカリーナは感謝せずにいられなかった。今日何が起ころうと明日の朝再び太陽がのぼり、新しい一日が始まるという事実におおいなる安堵を覚える。ヨットは方向を変え、ヴィラの下の小さな入江に入っていった。カリーナが見上げると、ルイスがこちらを見ていた。二人の目が合い、カリーナはポルトガルに来て初めてルイスに心からあたたかな親しみをこめたほほえみを向けた。」・・・・・つづく・・・・・→→→