・・・・・「58、あの冷酷そうな男の肉体的特徴をジェムはなんの苦もなく思い出して姉に報告したが、年齢をたずねられえると返事に困ってしまった。{そうねえ..........三十代の後半というところじゃないかしら。頭に銀色のような灰色のような髪が少しあったけれど、あれは白髪じゃなく生まれつきのものだと思うわ。あの人は不動産屋さんなの?}、{不動産屋?}。おうむ返しにクリスティーンが言った。{彼はシティーの証券会社の社長で、おカネをうなるほど持ちえている気楽な独身者よ。どうしてまた、不動産屋なんてものを引っ張り出してきたの?}、{お姉さんつぎのアパート探しのことを相談してみるってマークが言ってたから、私、てっきり..........}、{ああ、そのことね}。クリスティーンは顔をこわばらせた。家主から立ちのきを求められえているという複雑な状況を思い出してしまったようだ。そして疲れえたような表情で立ち上がった。{カーン・フェリンガムは亡くなったおばあさんからたくさんの家を譲っていただいているのよ。その中に私向きの適当な部屋がないかたずねてみるっていう意味でマークは言ったの}。クリスティーンは唇を噛み、力ない足取りで寝室に向かいながら言葉を添えた。{でも、あなたの話から考えて、カーン・フェリンガムが私に部屋を貸してくれえる可能性は万に一つもなさそうね}。」・・・・・つづく・・・・・→→→