世界各国のTop Leaderの方々、各方面の関係機関が大阪に集結して懸案議題について話し合われました。
今回は参加者の数が多く、国、民族、宗教などが多種多様で食事を準備するのは大変だったであろうと思います。
外務省のWebsiteをみると、大きなWorking Lunch 2回、夕食会1回、
コーヒーブレーク、その他会議中の食材、メニュー、飲料などが載っています。
ヨーロッパでのサミットやTOP外交の際の会食の内容などを振り返ると、
人間関係を敢えて公的に知らしめるためのメニュー、ワインの選び方、会合の目的達成のための戦略的なメニュー構築など、外交戦略の一つとして飲食が大きな役割を果たすのが常です。
日本では食の一つ一つのメニューにそういった意味付けや意図をそれほどしていないということもありますが、歴史的にもこういった政治哲学、外交交渉術、政治的な戦略の立案に対して経験不足、不慣れということもあって、外交は“おもてなし”ということに重きが置かれます。食事はその重要な要素であり、文化芸術の世界を知っていただく非常に重要な機会としての位置づけになります。
文化芸術面では狂言師の野村萬斎氏やピアニストの辻井伸行氏といったOlympicや国際的に活躍し始めている実力と将来への期待も込めた方々が演じられました。
会食では、沖縄サミットの時のタッグが継続され、辻芳樹氏と田崎真也氏が監修にあたられました。
「サステナビリティとガストロノミーの融合」がテーマ。大阪という地の利を生かし、特にlunch(松花堂弁当)では関西の食材が大いに使用されていました。
夕食会は北海道から沖縄まで日本国内の食材を使用、サステナビリティというテーマを意識した食材と料理。飲料でも、お茶、ハーブ茶、ソフトドリンク、ビール、ウィスキー、日本酒、焼酎、泡盛、ワインなどすべて国産のものをサーブされてます。
これだけの種類の日本酒や焼酎、日本のワインを紹介できる機会というのはなかなかありません。
https://www.g20.org/pdf/topics/jp/foods_drink.pdf
沖縄サミットの時と大きく違うのは、日本の食に対する世界の認知度、また日本の飲料生産におけるバラエティーの拡大、特にワイン品質においては大きく飛躍してきたことです。
日本茶も伝統の定義の高級茶ではなく、再定義をされた上でのBRANDINGがなされ、日本酒は話題の発泡酒から震災のあった生産地から復活したものなど、ワインでは勿論日本固有品種のアイテムが多く選ばれています。
日本でも、フランス料理だけでなく日本料理の世界でも飲料とのペアリングが浸透しており、今回のサミットでも緻密にペアリングされています。
アルコールを嗜まない方には緑茶、タンニン類がNGな方向けにはハーブ茶類など、事前の調査とともに、参加者全員が楽しんでいただける気配りをされていました。
サービスでは日本ソムリエ協会の中から、公人のサービスに慣れた大手ホテルのソムリエをはじめ、世界のソムリエコンクールに出場経験のあるメンバーなどが招集され、チームとなってサービスにあたられたようです。
こうしたおもてなし外交は、非常に日本人が得意とするところで、細やかな心遣いが冴え、外国からこられた方々にはとても記憶に残るものだと思います。
一方で、、、、
サミットという金融、経済について世界の首脳が話し合う場であることを考えたときに、議長国はもっと戦略的に自国の将来に対して貪欲に振舞えるのではないかと考えたりもします。
フランスのようにエリゼ宮にお抱え料理人がいる国とは違うので、政治家と料理人及び飲料スタッフとの阿吽の呼吸で、政治意図を一品一品の料理やワインでストーリーを語り、ゲスト自らこちらの意図する結論を導き出してもらうという高度なテクニックを使います。そういった技術を携さえていくには日本には経験も環境(政治と業界間の連携も含め)も技術も圧倒的に不足しています。
ただ、日本がこれから世界で大きな役割を果たしていく上で、政治の環境を整え、日々の外交や会食の場での訓練をしテクニックを磨いていく必要性を感じざる負えません。
6月の安倍首相のイランの訪問のように、国のTOPに会いにいったという事実だけで、散々な結果と評価以外なにも残さないようなことを繰り返してはどんどん国としては弱くなってしまいます。
人口減少が叫ばれて久しくなります。人の数が減るということはそれだけ、質を高めていくことでしか国や日本人の価値を高めていくことはできません。
ましてや、モノづくり、モノ消費の時代が終焉を迎えつつある今、これからは日本人が持つ高度なレベルの知恵とソフト面の技術を、政治がきちんと戦略を立てて使っていくだけの技量を持つべきです。
政治的な経験と訓練という意味では日本はかなり後進国であり、非常にナイーブで、あまりにも何も考えなさすぎです。何十世紀にもわたって、国境線を争い、主導権を奪い合い、戦略にも戦術にも長けた大陸の国々と肩を並べて繁栄させていくには、多くの国と協力していかなければならないと同時に、日本が世界的にさまざまな提案ができるだけ、きちんと政治的な未来が描ける国になっていかないといけないと思います。
食材や飲料を育て産みだす(造る)、料理を作る、サービスをする……
それぞれの業界での知識、知恵、経験、技術はすでに世界TOPレベルにありますし、これからもどんどん成長していくでしょう。
ただ、政治が成長し訓練と経験をしていかないと、こういった外交場面での飲食業界との連携はできません。
食事というのは多くの文化で人間が本音で話ができる場であり、
視覚はもとより、特に味覚嗅覚は人の深いところでの感情を呼び起こすことができるので、飲食する場面というのは外交の場では非常に重要なツールであり最も有効に使うべき時間です。
日本が政治で世界の未来を描き、それを実現するための道筋を示す、またそのために一緒に手を携える国々とどのように協力協業していくか、そういった国々に会食を通してさまざまなアプローチをしていける、そんな政治力を身に着けるための訓練を是非していただきたい、とG20の会食の内容を拝見して感じました….