成人向けの話が苦手な方はご遠慮ください。
齢37にして10日以上の冬休みを得る幸運に見舞われた私はまさしく自由に使える時間が潤沢にある喜びを全身で感じていた。
勿論、新しい仕事に移る不安もある。
ただ、かって知ったる某家電メーカー社屋に出戻り、かつ業務の内容を聞く限り、底知れぬ
『楽勝感』
が漂っていた。
2年前、リーマンショックの影響で、その某家電メーカーからクビを宣告された私は正直、やっていた業務の
『5年以上にわたる壮絶な楽勝感』
が、今後の自分に何一つプラスにならない・・・
という事は自分が
『使い物にならない産廃オヤヂ』
に、なりやしないかと些か恐怖を覚えていたところでもあり、「このままではダメだ!」と仕事を変えるには良いタイミングかつ、踏ん切りを付けるには良いキッカケであった。
この度、その居続ける事に恐怖すら感じていた某家電メーカーに出戻る事となったのだ。
類稀なる「引きの弱さ」と言える。
人生において「自分の本当にやりたい仕事」に気付いている人は稀であり、「自分の本当にやりたい仕事」に就いている人は更に稀であろう。
大概の人間が
『うーん・・・本当はハンバーグ食べたいんだけどなぁ・・・』
というのを我慢して、なんとか食べられる物を食べている状態だ。
私に至っては正直、先月までやっていた仕事は「全く食べたくない物」であった。
やり始めて最初の半年は
『ハンバーグ食べたいんだけど・・・しかたないからサラダ食べるか・・・』
という状態だったのだが、後半の半年は所属していた派遣会社の対応等も含めて
『ハンバーグ食べたいのにウ○コ喰わされてる』
ような状態だった。
つまり、この度の転職はウ○コが急に
『ミートソーススパゲティ』
になったとも言える。
だいぶハンバーグには近付いたが、やはりハンバーグではない。
自分が「ハンバーグ食べたい!」と気付いたのが35歳を過ぎてからだったツケだと言えよう。
人気のあるメニューはやはり売り切れてしまうのだ。
これを読んでいるお若い方々はとにかく早く
『自分が本当に食べたい物』
を見付けた方が良いと忠告させて頂く。
そうでないと本当に私のように取り返しが付かなくなってしまうからだ。
さて。
本筋からだいぶ離れたので軌道修正しよう。
先日、起きた事を時間軸に沿って書いてみたいと思う。
『たぶん面白い文章になんじゃね?』
という完全なる見切り発車なので、一通り読んで頂いて
『お前は一生ウ○コ喰ってろ』
という私に対する悪態しか出て来ないかも知れませんが・・・
<2011.DEC.05 0:00>
ここ数日は当然のように日付変更の瞬間を自室PCモニタの前で迎えた。
Youtubeでプロレスの試合を見ながら酒を飲むという何物にも代え難い至福の時間だ。
ただ、この夜は違った。
とあるタイレストランに勤めるウエイターから電話がかかってきたのだ。
まっす~『ハロー?』(タイでの一般的な「もしもし?」”ロー”を上げる)
ウエイター「ハイ、まっす~?最近アオカンしてる?」
『アオカン』とはタイ語でセックスの意。
室内でしても屋外でしても『アオカン』と呼ばれる。
『アオカンは月2くらいしてる・・・で?なんだ?そんな用じゃないんだろ?』
「あぁ、タイ人だけが来るクラブ来ない?」
『俺が行って良いとこなのか?腎臓は売らないぞ?』
「(笑)だいじょぶ~。俺の友達だから。だから明日の夜、ウチでご飯食べて俺の部屋でゲームやって、クラブ行こうぜ」
『?・・・何故にお前の部屋でゲーム?』
「ウチが閉まるのが0時。クラブは2時からなんだよ。」
という事で日本にあるタイの裏社会・・・そのほんの一部に足を踏み入れる事になったのだ。
バンコク在住時に当時、商売仲間だった中国人に連れて来られた中国人クラブで『こいつはカメラを持っている!!ここの秘密を他に漏らす気だ!!』と因縁を付けられ、大乱闘の末、相手に青龍刀を出されたので2階の窓から飛び降りて逃げ、気付いたら左手の小指が曲がってはいけない方向に曲がっていた経験がある。
その事件があってから私の「中国人嫌い」が強くなった。
まぁ、私が愛してやまないタイ人社会だ。
間違っても乱闘は起きないとは思うがカメラは持って行かない方が賢明だろう。
なんだろう?久しく感じていなかった
<2011.DEC.05 10:45>
ブー・・・ブー・・・ブー・・・
残念なくらいバイブレーションが弱いマイスマホが枕元で死にかけの蝉のように這っている。
『・・・はい・・・まっす~ですが・・・』
「おっはようございます!まっす~さん!A社(次から世話になる派遣会社)のNです~!!」
『・・・・・・Nさんはアレですよね・・・常時、朝番組のアナウンサーみたいなテンションですよね・・・』
「お褒め頂き!きょ~しゅくですっ!!」(褒めてはいないが・・・)
『・・・・・えーと?』
「あ!そ~~うそう!今、お電話したのはですねぇ?先方さんとやっと話が付きましてぇ!まっす~さんは9日からお仕事開始という事になりました!!」
『・・・あ。本当ですか。有難うございます・・・』
「いや、本当にまっす~さんに請けてもらえてよかったですよ~。本当に良いタイミングでしたよ~。 思えば1年前にお仕事請けて頂け(5分ほど割愛)すよ~。 じゃあ、またご連絡させて頂きますので!!失礼致しますっ!!」
・・・・・・・つ、疲れた・・。
<2011.DEC.05 13:20>
魅惑の二度寝から目覚めた私は前日に仕込んだ熟成カレーに舌鼓を打ち、いそいそとこれから24時間くらい帰宅しない覚悟を決め、いつも持ち歩いている魔法瓶に熱いコーヒーを満たし、水とプロテインを支度し、まずは新宿スポーツセンターへと向かった。
<2011.DEC.05 17:45>
冬、夜の帳が音速で降りる。
センターでたっぷり3時間筋肉トレーニングした私はこれから始まる夜にワクワクワクワクワクワクワクワしていた。
このワクワクが良い方向に働いたらしく、ついに目標としていたベンチプレス130kg挙上を達成し、心身共に大絶賛充実中となった。
今なら
この時間からヤツの店で食べ始めたら夜までもたない。
トレーニングで消耗した体力を回復させる意味も込め、センターの休憩スペースで音楽を聞きながら仮眠を取った。
<2011.DEC.05 21:00>
・・・おぉ・・・区営のスポーツ施設でこんなに爆睡しているのは私か近隣で徘徊するホームレスのおっちゃんらだけだ。
いわゆる普通の格好をしていたので起こされずに済んだが、汚っい格好をして眠りこけていると問答無用で起こされて叩き出される。
税金で運営している施設ゆえに、納めていない輩にはツラくあたるようだ。
しかし、よく寝た。そろそろヤツの店に向かう事にしよう。
<2011.DEC.05 21:30>
近くのタイパブから連れ出してきたのだろう。
「派手目のタイ人女性としょぼくれた日本人おっちゃんペア」が少ない会話の中で食事をしている。よくある光景だ。
『よぉ。』
「おぉ。」
席に掛け、数分後には私のお気に入りである「鶏肉のバジル炒め」「タイ風腸詰」「チャーンビール」が運ばれてきた。
毎度、思うのだが注文を取らないのだろうか?(笑)
まぁ、この店でこればっかり注文していた私が悪いのだが。
<2011.DEC.05 23:45>
閉店間際。
早々にヤツの部屋にあるPCを起動させ、エミュレーターを作動させる。
2時過ぎまでスト2対戦大会が繰り広げられる。
ヤツは本当に上達しない。少々賢いサルの方が上手いに違いない。
昇竜拳、波動拳禁止の私に勝てないのだから、どれくらい弱いかはご想像頂けるだろう。
だが、ヤツは「あ~、またヤラれた~、チクショー、もう一回!」と至って前向きなのだ。
「全くといって良いほどクサらない」唯一、ヤツから見習いたい箇所だ。
そして、全く手を抜かない、オトナゲのない私(笑)
<2011.DEC.06 02:10>
「ん~・・・そろそろ行くか?」
必殺技どころか「大パンチ、大キックも禁止」になった私相手に良い勝負を繰り広げ始めたヤツが切り出した。
『よし、行くか!』
肌を切られるような寒さが身に沁みる。
雑居ビルの一角・・・看板どころか照明もわずかな場所。
大人が3人乗ったら動かなくなりそうな古そうなエレベータで上がると朱色の絨毯が敷かれた通路が眼前に広がった。
その通路の中ほどにある「スナック系のお店」を連想させる扉の前・・・
タイポップスが漏れ聞こえてくる。
扉を開けると
『グゥぅうわっ!!!!!』
大音量のタイポップスが流れるスナック風の店内にどこかの店のホステスであろうタイ人女性5人とタイ人青年2人がカラオケを楽しんでいた。
この青年2人はヤツの友達らしく、手早く私を紹介してくれた。
アクの強いヤツの友人とは思えないような好青年2人だ。
ホステスらしい女性5人に興味が無いわけではないが、ここは仕事を終えた在日タイ人が身体と心を休める空間。
無闇に女性に話し掛ける事はせず、この店のママらしき50代くらいの愛想が良いタイ人女性と談笑。
乾き物と共にタイウイスキーのソーダ割りをカウンター席で飲りながら、カラオケで盛り上がる彼らを眺めていた。
不意に背中に2つの柔らかく暖かい感触が襲う。
『あ。 豊胸してるおっぱいだなぁ・・・』と頭の中に浮かぶ『ぱ』のタイミングで私の右側から顔が出てきた。
「若いオンナより、おばちゃんがいいですカ~?」
『おばちゃん?・・・どこにおばちゃんがいるの?』
「(カウンター内にいるママを指差す)」
『惜しい!こういう人は”おねえさん”って言うの。日本語は難しいからな』(ママ照笑)
「ふーん・・・」(仲間の輪に戻り、私の方をチラ見しながら仲間に何か話している)
<2011.DEC.06 03:00>
飲みも飲んだり。
一眠りしたかったのでママに別室を借りて眠ろうとしていた。
ママの善意で店の従業員が休んだり食事をする部屋をお借りしたのだが、当然ながら隣室からは大音量のタイポップスが流れてくる。
私は普段から耳栓を常備しているので音は問題ないのだが、想像外のところから問題が噴出した。
先程のホステスが部屋に乱入してきて私のヒザの上に跨ってきた。
『・・・寝たいんだけど』
『酒をたくさん飲んだ・元気がない・セックス出来ない』(タイ語)
「何故タイ語が話せる?・タイ人の恋人がいるのか?」(タイ語)
と言うが早いか口唇を重ねてきた。
舌が割り込んでくる。
酒の臭いと共に希薄だが個人的に懐かしい甘くも清涼なハーブの残り香がする。どうやら、ほんのり「キマっている」ようだ。
5人いた女性を「魅力を感じる順に並べてください」と言われたら彼女は4番目。しかも「キマっている」上に私は酒が入ると急激に性欲が消え失せる。
『飲むなら乗るな。 乗るなら飲むな。』
そんな繊細な私をヨソに私の下半身にネットリとした指遣いが這う。
『少し待て・トイレに行って来る』(タイ語)
<2011.DEC.06 03:45>
貞操の危機を脱した私は安眠の地を求めた。
こっそりと通路に出て、全然知らない店のドアが何故か施錠されていない事に気付き、お邪魔する事にした…。
スナック系の店の絨毯は何故かフカフカなので有り難い…。
早くベッドで眠りたい・・・。
<2011.DEC.06 04:30>
・・・数メートル先にある更にフカフカなソファーに気付かず、絨毯の床に寝そべっていた・・・
もうこんな時間か・・・ソーダ割ばかり飲んでいたので腹が減った・・・
なか卯で朝定食を食べて帰るとするか・・・
ありがとう知らないお店…数十分だったけど眠れたよ。
風呂に入りたいなぁ・・・。
<2011.DEC.06 Early Morning>
風呂にたっぷりと浸かり、何度もオチそうになる物の、全身をくまなく洗い、恋焦がれた低反発マットレスが敷かれた無印良品製のベッドに身を委ねる・・・
おぉ、なんと甘美な心地なのだろう・・・そのまま、溶けてゆくような眠りに墜ちた・・・
その甘き睡みに埋ずもれた僅か数時間後・・・
またもや無様に這うスマホに起こされた。
「おっはようございます~!まっす~すわ~ん!!」
お仕事を頂ける素晴らしく有り難い人間に強い殺意を抱くのは、これっきりにしたい・・・
