朴大統領、「海洋警察の解体」で政治的危機を乗り越えられるのか? | ソウルの風に吹かれて、時には優しく、時には雷雨のごとく!

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韓国での暮らしを通して観た韓国社会の素顔や日韓関係、南北問題、韓流など興味を引く情報を紹介してゆきます。

この「荒治療」が韓国社会にどういう変化を生み出すでしょうかね。

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が19日午前、旅客船セウォル号沈没事故に関する国民向け談話を通じ、海洋警察庁の解体を表明したことを受け、海洋警察庁本庁(仁川市延寿区松島)はまるで幽霊にとりつかれたようなムードに包まれた。
部外者の立ち入りは規制され、各部署の事務室はほとんどドアが閉ざされていた。 庁舎の廊下を行き来する人々もあまり目につかなかった。 3-4人の職員が外に出てきて、たばこを吸いながら雑談するいつもの光景も見られなかった。

 職員たちは、海洋警察解体の方針について「過ちは認めるが、あまりにも行き過ぎなのではないか」との反応を示した。
ある中堅幹部は「今回の事件で海洋警察は多くの非難を浴びており、事件がある程度片付いた段階で、相当な組織の再編が行われるだろうという考えはあったが、解体までいくとは思わなかった。 組織がバラバラになり、自分たちがこれからどうなっていくのか分からないため、皆呆然とした様子だ」と話した。
  (朝鮮日報  5/20)





まだ20人ほどの行方不明者が残っている遭難海上で命がけで必死に捜索活動を続けている海上警察職員たちに向かって、「組織を解体するけど最後までがんばれ!」と言うのはあまりにもバカにした残酷な宣言でもありますよね。

発表したご本人はすぐその足で中東に向かって旅立って行きましたから、帰って来る頃には騒ぎも収まっているだろうという“高度な政治的判断”なのかも知れません。


しかし、どうも韓国は政策が極端に走る傾向が強いですね。

日本で言えばある日突然「海上保安庁を解体する」と発表するようなもので、今後は「警視庁が海上の取り締まりや安全まで担当する」とするようなものですからね。

多分に来月4日の『統一地方選挙』を意識したものであり、旅客船沈没事故で顕れた“政府の無能さ”に対する国民の怒りを少しでも和らげようとする「トカゲの尻尾切り」式の苦肉の策といったところでしょうか。


海洋警察庁は「中国漁船の不法操業取締り」では犠牲者を出しながらも命がけで取り組んできましたが、その“報い”がこの様に大統領の政治的な判断で組織を解体されるなら、今後公務員たちも誰が政府を信じて献身的に奉仕してゆけるのでしょうかね。




韓国が今後、新しく生まれ変われるのか、あるいはさらに不信感が増した社会不安が訪れるのか、韓国社会の“分水嶺”に来ていると言っても過言でないでしょう。