セミ判兼用二眼レフの話
1.はじめに
一般に二眼レフというと、中判を利用するカメラが大多数なので、6×6の画面サイズがよく知られている。その他だと4×4(ベスト判)、ややマイナーだが24×36mm(35mm判)がある。
もう少し細かく見ると、中判は仏・Cornu(コルニュ)社OntoFlex(オントフレックス)や第三帝国・Welta(ウェルタ)社SuperFekta(スーパーフェクタ)で、6×9が存在する。
リンク先参考↓
https://www.oldlens.com/ontoflex.html
戦前戦後の国産二眼レフでそうした広い画面サイズを採用した機種は居ないが、狭いもので「6×4.5(セミ判)」が一応ある。
2.セミ判スプリングカメラ
セミ判と言えば、スプリングカメラが一般的だと思われる。セミ○○と言った名前が多く、6×6のスプリングカメラに比べて小さめなのが主な特徴。画面がやや狭いので、その分枚数を多く撮影出来る、携行性の良い機種だ。
有名なものだとセミミノルタやセミレオタックスなどがある。この型式は本当にセミ判しか撮れないが、元々一般のスプリングカメラの一部機種で、6×6限定ではなくセミ判兼用として撮影出来るカメラも多い。
セミミノルタの例↓
裏蓋に赤窓が2つある中判カメラは、殆どセミ判兼用の機種だと思っていいだろう。
マミヤシックスの例↓
3.セミ判兼用
セミ判兼用の国産二眼レフと言えばヤシカルーキーが挙げられる。かつてヤシカ(八洲精機)が1953年に発売した廉価なカメラで、スプリングカメラ同様に裏蓋に赤窓が2つあるのが主な特徴(ヤシカフレックスシリーズの中では最も人気が無い機種と言っても過言ではないだろう)。
ヤシカルーキーの例↓
ところが、同じセミ判兼用でも両者で大きな差がある。前者はセミ判で撮影するための金属製のマスクが扉のように設けられている。例えばマミヤシックスやミズホシックスなど。
なので画面サイズを変更する際はその部分を開閉する。後者は基本それが無いのだ。(注意:二眼レフ同様にマスクを必要とする機種は多い。例えばオリンパスシックスなど)
ヤシカルーキーの場合は、別途に用意したマスク(樹脂製)をフィルム室に差し込む必要がある。
このセミ判システムは余り需要が無かったのか、ヤシカフレックスでは1機種で終了している。また国産二眼レフ全体でもセミ判兼用の機種はかなり少ない。
マスクは紛失しやすい上に樹脂製なので殆ど現存していない(大体そこまで使わない)。そのため令和の現在において、セミ判で運用できる国産二眼レフカメラはまず無いと言ってていいだろう。
4.カローラフレックス
ヤシカルーキー以外もいくつかセミ判兼用二眼レフは居るが、今回CorollaFlex(カローラフレックス)を軽く紹介する。
約1953年に精機社光学(キ*ノンじゃない)が製造したと思われる二眼レフカメラ。便宜上、精機社光学と呼称しているが、アルファベットしか名前が判明してないので実際の漢字は不明。
精機光学や精工舎をもじった名前だと思われるが…?
カローラは英語で「花冠」という意味。銘板の意匠を見る限り、棘や蔦をあしらっていると思われるので、薔薇を元にした花冠の意で間違いないようである。
勿論裏蓋の赤窓は2つある。カローラフレックス最大の特徴として、通常のセミ判と異なる画面サイズの撮影を可能とした点だ。
通常のセミ判マスクは横の長方形型なのだが、カローラフレックスの場合はスクエア型に近い形状となっている。正確な値で言うと「56×.415mm」なのに対し、「49×45mm」とベスト判に近い数値となっている。更に樹脂ではなく金属製なので安価なマスクではない。
またファインダーもマスクと同じ形状の枠線が引かれているので、その画面サイズ専用のセミ判なのが伺える。しかし「49×45mm」の画面サイズなど私は聞いたことが無いし、過去に類が無い謎の規格であるw
5.試写してみよう
No.1
No.2
No.3
No.4
比較としてマミヤプレスのセミ判マスクを左に置いてあるよ
通常のセミ判より縦幅が広いのでコマ間の余裕がなんと1ミリしかないのだ。これがオートマット機なら問題ないが、赤窓番号式のカメラなので、1ミリ間違って巻き上げようならコマが被る。
そのため人力でコマ間1ミリを実現する必要がある、撮影者の技量が物凄く試されるカメラなのだ。
いやすぎる…
「セミ判兼用二眼レフの話」
は以上になります。ありがとうございました。