奇妙な二眼レフの謎④ | 四畳半カメラ大系

四畳半カメラ大系

自由気ままなカメラブログ
記事はテーマ別にまとめてあるので気になる記事はそこからご覧頂けると幸いです。

6.長谷川製作所

 

長谷川製作所は長谷川光機と関係あるのか?しかし後者の創立は昭和28年と戦後の出発となっていた。...そこで両者が同じだと仮定してこの長谷川製作所を調査してみたい。

 

 

まず長谷川光機の社長は「長谷川■保」氏。この方の経歴を軽く調べてみると…

 

・明治35年生まれ

・大正12年銀光社貴金属店開業

・昭和10年長谷川光機研究所開設

・戦時中軍用カメラ製造に従事するも昭和22年にカメラ製造を中止。

・昭和22年〜26年ライターないし光機用ボルトの製造?

・昭和27年に長谷川光機製作所に改組改称し、事業をカメラ製造に戻した。

 

と、面白い事実が判明。長谷川光機は戦前から既に活動していたカメラメーカーだったのだ。そう考えると長谷川光機がローターフレックスを製造していた可能性が高い。

 

7.戦後のローターフレックス

 

更に調査を進めてみたものの、この長谷川光機研究所(長谷川製作所)が二眼レフを製造したという明確な根拠は見つからなかった。なので長谷川光機研究所と長谷川製作所が本当に同一かどうかは怪しい…が、ここで重要になるのはやはり謎のローターフレックスだろう。

 

本記事の②で述べた通り、謎のローターフレックスは長谷川光機の二眼レフに似ていた。このカメラの製造元は長谷川光機であり、戦前のローターフレックスも長谷川光機が製造元だった…と考えると筋が通らないだろうか。

 

昭和16年(戦中)~

ローターレフⅠ~Ⅱ型製造

軍用カメラ製造

昭和20年~

太平洋戦争終結

昭和22年~

カメラ製造中止

昭和26年~

ライターないし光機用ボルト製造

昭和2?年(戦後)

謎のローターフレックス

昭和28年(戦後)~

クイーンフレックス

チェスターフレックス

 

と推測。ここで気になるのは謎のローターフレックスは昭和何年に作られたか。銘板のデザインが段差のある形状(古い二眼レフはこのデザインが多い)なこと、COMPANIONシャッターなこと、昭和長谷川光機が改組改称した年、レンズ番号の頭を踏まえると…昭和27年に製造された可能性が高い。

 

 

そう考えると改組改称から昭和28年クイーン/チェスターの短い間にローターフレックスが存在していたことになる。なので長谷川光機の二眼レフは

 

昭和16年RORTER REF Ⅰ(前期)

昭和16年ROTER REF Ⅱ(未発売?)

昭和1?年ROTER FLEX (後期)

昭和27年RORTER FLEX(戦後)

昭和28年CHESTER FLEX

昭和28年QUEEN FLEX

 

の合計5種類が居たという事だろう。RORTERは発売元である東京光測精機のブランドだったと思われるが、戦後活動した様子は無い。

 

8.終わりに

 

正直、色々と釈然しない部分は多い。それだけ奇妙な点も多いが長谷川光機は戦前から存在する光学メーカーなので、四畳半メーカーに比べたら資料や軌跡は圧倒的に追いやすい。また長谷川■保氏は特許を取得していたりと技術者兼経営者の面もある。今後も調査を進めていきたいと思う。しかし戦争期間を挟んでいるのでその調査は難しく面倒でもある…><

 

「アウラ、代わりに調べろ」

 

以上[奇妙な二眼レフの謎①~④]でした。

 

おまけ↓

 

余談だが、日本カメラ博物館が過去に開催した特別展「いまも変わらぬ魅力 二眼レフカメラ展(2022年)」の展示パネルで長谷川光機の説明文に「ローターフレックス」の名前があった。何の資料が根拠なのかは分からないが、多分そういうことで合ってるのだろう…