以前、小ブログでは、「ニッポンの恋」と題して、2013年3月~2014年6月にかけて「百人一首の恋歌」を取り上げてまいりましたが、今回はその続編。とはいえ、百人一首はすでに取り上げてしまったので、小ブログの読者にもおられるであろう、ティーンの皆さん向けに、教科書にも載っている、古典文学の人気ラブストーリーを取り上げます。(今後不定期に継続する予定です)

なお、大ざっぱに意味の解説ですので、参考程度に受け止めてください。
連載再開第1回は、「伊勢物語」より、23段「筒井筒」。
「伊勢物語」は、平安前期、9世紀頃発表されたものとみられています。短編集で、主人公は、大多数のチャプターで「在原業平」をモデルにした男性貴族と推定されています。ただし、今回の「筒井筒」では、彼にあたる人物は登場せず、大阪と奈良の間ぐらいの、下町?が舞台です。
キャスト…
男のコ
女のコ(1人目) (山本美月)
女のコ(2人目) (筧美和子)
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主人公は幼馴染の男のコと女のコ。小さい頃から、丸い井戸のそばでじゃれ合って仲良く遊んでいました。そのうち、大きくなって、ちょっと恥ずかしいので、あまり外では遊ばなくなりましたが、
「あのコと、付き合いたいなぁ」
そう思ったカレ。彼女(美月)も乗り気だったのですが、親が「付き合ったら?」と言っても、なかなか首を縦に振らず。
ここから和歌のやり取り。
【歌 1】筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざるまに
ものすごーく大ざっぱに言うと、「昔は井戸で身長を測ってたのに、キミに会わないうちに、こ~んなに大きくなったよ!」ということですね。
彼女はこう返します。
【歌 2】くらべこし 振り分け髪も 肩過ぎぬ 君ならずして 誰かあぐべき
大体の意味は「キミと同じくらいだった髪もここまで伸びたんだよ!立派な自慢の黒髪なんだから、髪結いしてよね!」といったところかな。もちろん、「OK!こちらこそ、付き合ってください!」ということです。
(髪結いというのは女のコの成人の儀式です。今日は成人の日なので、タイムリーでしたね)
その後も和歌のやり取りがあるのですが、本編では特に触れられていません。
一見ハッピーエンドのように見えるのですが、そうはいきません。彼女の両親が亡くなって、次第に落ちぶれ、生活は苦しくなっていきました。カレは次第に、彼女との苦しい生活に嫌気がさして、河内の高安に住んでいる他のコ(美和子)についに浮気してしまうのです。
しかし、美和子とカレの関係を、彼女は特に気にもせず。
一方、知り合ってしばらくは、可愛く着飾って、おしとやかにしてくれていた美和子でしたが、ある行動をきっかけに、カレは「ちょっと違う、、、」と感じはじめます。
ご飯の支度を、侍女さんにしてもらうのではなく、美和子が自分でしていたのです。
当時は、侍従、侍女さんを多く頼んでいることは、財力、ステータスの証明でしたので、それを頼んでいないのは、それほど家が裕福ではないことの証左でした。
そんなある日のこと。
美月「あのコが好きなんでしょ?だったら会ってきなよ」
あまりにもあっさりした美月の態度に、
「何があったのかなぁ、引き留めないなんて」
カレもさすがに疑問を持ち、デートに出かけたと見せかけて、こっそり庭の裏側から見ていると、、、!
そこには、バッチリメイクで夜空を眺める美月。
【歌 3】風吹けば 沖つ白波 たつた山 夜半にや君が ひとりこゆらむ
→「風が吹けば白波が立つという、あの竜田山、キミは夜中に一人で越えて、あのコと会ってるの?どんなコ?知りたくもないけど…そんなの寂しいよ」
その心意気に胸を打たれたカレ。
「泣かせてゴメン。やっぱ、お前、イイ女だよ。一生面倒見る」
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女のコが本命と遊びの2人登場するので、名前を割り当てて区別しました(もちろん原文はそうなっていませんが)。みーこは遊び、美月が本命。
「髪結いしてよね!」→実家の後ろ盾がなくなって落ちぶれる→二股かける→「風吹けば 沖つ白波 たつた山~」→「やっぱ、お前、イイ女だよ。」
という展開になっているのですが、いかがでしたでしょうか。
両親が亡くなって落ちぶれた彼女を見捨ててカレが二股をかけてしまう、というのは、それこそガールの皆さんからブーイング殺到な展開かと思われます。ましてオチが「やっぱ、お前、イイ女だよ。」ですから、都合良すぎ!と思われても仕方ないでしょう。が、当時の恋愛婚というのは、カレが彼女の寝床に通って、一定以上抱き合った時点で成立する仕組みになっていましたので、彼女の実家に相応の経済力や名門の家柄を求めるのは、むしろ自然でした。彼女の実家を出世への足掛かりとするのも普通でした。格の低い女性と付き合おうとすると、カレの実家が反対することもあったぐらいです。また一夫多妻が認められていましたから、本命が1人に限定されていないのも普通でした。こういう時代設定ぐらいは、大目に見てやってください(汗)
小ブログ主は「風吹けば 沖つ白波 たつた山~」のくだりが一番好きです。本命彼女が涙をこらえながらこの歌を詠んでいると思うと、ジーンときます。コレ言われたらもう遊びでは女のコと付き合えなくなります。断言します。
男にとって、イイ女の魅力とは、冷たく突き放され、失いかけて初めて気づくものなのだ、ということがわかります。
ガールの皆さん、気まぐれなカレをドキッとさせる切り札、持っていますか?
次回は、、、気が向いたときに、またお伝えします。