子供のころに読み聞かせてもらった絵本や童話の中に、
どうしても食べてみたい物や、一度は飲んでみたい飲みものがある。
たとえば、寝床のかたわら母親の物語る言葉が、挿絵の世界と折り重なり、眠りの入り口や夢の狭間に、たしかな匂いやカタチ、色や味となって、現れる。
僕の場合、
「エルマーの冒険」に出てくる。たしか、三冊目の話。イタズラでヤンチャなエルマー少年が竜の国に行くときに、旅の準備した持ち物の中に入っていた。
「ももいろチューインガム」だ。
どんな味がするんだろう。
きっと、ピンク色のビー玉のような光沢をしたガムだ。竜の背中に乗りながら、夜空の風を感じて、僕の街を見下すと、すこし小腹が空く。ポケットから「ももいろチューインガム」を一粒取りだし、口に入れる。
夜食べるお菓子は、特別な味がする。
つるんとした丸い玉を、舌で転がして、思い切り奥歯でかむ。
白桃の匂いだろうか、甘く、そして割れた球の柔らかい粉が舌に乗ると、花やフルーツの香りに思わず溢れ出たツバと混じり、ガム特有の歯ごたえが出来上がる。
「ももいろチューインガム」を膨らます。
フーセンガムじゃないから、樹脂が硬くてパチンと割れるけど今度はうっすら苺の香りが、ふんわりとする。
味わったこともないのに、
幼い奔放な空想力は、まだ見ぬ可能性の地平のように広がり、
憧れをのせて、甘い香り高く、むしろ、できたての湯気のように、心の嗅覚をくすぐるのだ。
それは、
大人になった今でも思い出せる。
なぜだろう。
今回一月の劇団のミニ公演の稽古をしているとき、よくエルマーの「ももいろチューインガム」のことを思いだしていた。
それは「とれじゃーぼっくす」という作品が、子供の向けとして始まっているからかもしれない。
もちろん、お芝居にはエルマー少年もチューインガムも出てこない。
でも、この舞台の「とある国の、とある時代」のこの場所には、幼い頃、見ていたあの独特な匂いがしていたのだろう。
「ごっこ」や「遊び」の中だけに存在する、あの世界が。
大人になった僕らが、
ふたたび、そこへ踏み出し
舞台という空間でのみ「その世界」を生きることが許されたのなら、
今、生きる子供たちに
かつて子供だった大人たちに
いつまでも、心で味わえる。
「ももいろチューインガム」になったらいいなと
ささやかに、無想せずにはおれないのだ。
このどぶろぐに訪問くださる、みなみなさま。
稽古が立て込んでしまいコメント返せずにいます。
不義理すみません。ちゃんとお返ししますね。
いつもありがとうございます。涼
「S.W.A.T!のとれじゃーぼっくす」は、6人の役者たち。90分という時間の中、劇場だけでなく、会議室や狭いスペースでできる作品です。
日本全国を巡れたらいいなと思ってますよ。子供も大人も楽しめるそんな作品になればと、願ってます。
二日間のみの公演。
僕も出演していますよ。
S.W.A.T!の「とれじゃーぼっくす!」
2013 1・29火 15時/19時半
30水 14時
場所 下北沢「楽園」にて
当日¥2000前売り¥2000小3~高3割り¥1000
※当日券は開演の一時間前からです。
※29(水)19:30の回は、満席です。ご了承くださいませ。涼


