アクシデント② |  ◎涼のどぶろぐ◎←つながり日記←

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風景というか心象というか、
好きなページを開き、
ゆっくりたどって、味わうような
掌短編みたいな日記。

つづき

本番中、なべちゃんのワイヤーが切れた。翻弄する楽屋。

最初からは、リンク◎  ←こちら






楽屋に取り付けた小型TVの液晶画面を清水さんはにらんでいる。

「どーしょっか」

このモニターを撮っているのは四大海、つまり演出だ。劇小劇場の調光室は、

客席を通過しないと行けない。演出との直接のコンタクトができないのだ。


清水さんは、僕の先輩で、この座組(中組)ではリーダー的な存在だ。



ワイヤーを引っ張っていた正太郎が戻ってきた。



「本番中にワイヤーをかけなおすことできるかな、俺のシーンで」清水さん
「無理す。全部(ワイヤー)、こっちにきてるんで」と正太郎



階段下に丸められたワイヤーが束になっていた。
それに、セッティングのときに照明用の背の高い脚立(はしご)を使っているくらいだ。

短いシーンの中でなおすことは不可能だ。


舞台監督をやってるサダヒロもおりてきた。



「引っ張っている階段途中で切れなくてよかった」


舞台は二階にある。
ワイヤーを引ききった一階の段下で、振り切ったのだ。

もし階段の途中で、それが起こっていたら

正太郎は勢い余って階段から転げ落ちたに違いない。





問題は、最後のクライマックスシーンで

魔物タムーラをこのワイヤーを使って吊られなければいけないのだ。



遅れてなべちゃんが戻ってきた。



なべちゃんは靴下を脱がされ、モチヅキが患部をみる。
「スミマセン」とモチヅキは言った。

ワイヤーの最終チェックが、彼の担当だった。




そうなってしまったことはしょうがない。

僕らは、今、演れることを続けるしかないのだ。





ついさっき、モチヅキが近くのドラッグへ買いにいかせた

テーピング用オキシドテープ? が、届く。
患部は腫れてはいない、骨も折れてないようだが、

モチヅキが触ると痛い表情をする。
なべちゃんの足にさっそく巻く。


「いたた…」


伸縮するヤツを注文したのだ。

彼は体育大を出ていて体操もやってたので、処置が早い。
彼もすぐ出番だ。



「タムーラのとこ。なんか魔法で吹き飛ばされればいいんじゃないすか」
「うーん」

巨体な(?)魔物タムーラがワイヤーで派手に釣り上げられる見世場だ。

「じゃボッコリ、カットで」

それはもったいない。


「うーん」

僕らは考えている。
戻ってきたスズキも思案する


「あ、出番なんで」正太郎が舞台へいく。


そろそろ僕らもスタンバイだ。
次は歌と「さばダンス」がある。


僕の口パクの妙技とマイク無しのナマ歌(…笑)
そして、ミュージカルのように、メンバー総出で踊り歌う。


全「♪サバ顔のお姫さ~ま、


鱗テカテカ、口はパクパク~、


生臭いのさッ♪」



モチヅキのテーピングのおかげか

なべちゃんが芝居中に足を引きずっていなかったことだけは、安心した。

でも痛いに違いないのだ。

「さばだばダンスのシーン」を終えて、



ふたたび楽屋へ戻る。

鏡前で、なべちゃんが堕ちる直前に、

コートの真ん中のボタンが取れたことを話した。
さっきは足の処置をしていて、言えなかったのもある。


予兆。



「そういうのって、あるのか」


ニュアンスに少し恐怖が混じっていた。

裁縫道具の針と糸。
なべちゃんは僕のボタンをすぐ直そうとする。


「他のボタンも緩いのない?」

「これ、ちょっとほずれてるかも…」


僕はコートを脱がされる。



古いからね、といいながら糸を足す。

衣装を直すだけじゃない。
落下の予兆となったボタンを補強するのは、この先、あんな事故(アクシデント)を起こさない願掛けでもあるのだろう。

そして、自分の堕ちた恐怖を、落ち着かせるためもあるのかもしれない。

「ありがとー」

僕は、汗でグシャグシャになったTシャツを

替えるため黒いタートルネックを脱ぐ。


次の僕ら三人魔法使いのシーンは、あまり動きがない。

せいぜい「初期のドラクエパーティーネタ」だ。

あとはベッドで座っているし、なべちゃんも気が楽だろう。



気になるのはクライマックスシーン
魔物タムーラとの最終決戦だ。











つづく   ←押ス。











次最終回です

最後までアリガトウゴザイマス 涼






【なべちゃん記事まとめ】


なべちゃんこと 渡辺有希
さかなガール 

この なべちゃんが泣けた記事!!
麺(めんはなし)話 」 (ブログネタ金星記事)





《omake!》

今日のオマケ記事は、

検索ワードで上位に出るらしく何故かポツポツ読まれているようです。
もしかしたら隠れ人気記事かもしれません。
たぶん検索した情報の役には立ってないでしょう(失笑)
アメブロ始めたばかりの頃ですが、迷いなく突っ走ってます。

「お箸の訪問者」
(どぶろぐアーカイブズ)


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