時期はあまりよく覚えていないが、確かまだ小学校にも入学していなかったころだったと思う。
幼少期は田舎の長閑なところで保育園や幼稚園に通っていて、近所のおばさんに迎えに来てもらって、駄菓子屋欲しいものを買ってもらったり、一緒に遊んでもらったりしていた。
そして、夕方になるとそのおばさんも交えて両親と一緒に世間話をして、それを聞いているのが好きだった。
一昔前の田舎ならどこにでもあった光景だったと思う。
そして、何かの用事で両親に連れられて、電車に乗ることになった。
電車に乗り込んで車内は静まり返っていて、そこに何か異様なものを感じた。
人と人が同じ空間にいれば何か語らったりするのが当然だと思っていた自分は、人と人とが同じ場所に長い間ずっと居合わせても互いにただ黙っているのが何か冷淡なもののように思われた。
そこには近所のおばさんと両親とが語らっていたような温もりが微塵も感じられなかった。
何か世間話をしたり、何か持ち合わせていた駄菓子をやり取りするというような温かさが感じられないことに子どもながら何か怖い気がした。
知らない人同士が何か語り合う必然性は何もないが、それにしても何か冷淡なものを感じた幼いころの一幕だった。