起業にはリスクがある。
収入が安定しないことは、以前書いたが最大のリスクは、「破産」だ。
企業が破産するとどうなるか?
これを理解しておくことで、起業と正しく向き合えると思う。
起業する多くのケースは、100%株主で代表取締役社長であるため、今回は、非上場会社でオーナー経営者のケースを考える。
私は、経営コンサルの仕事の経験の中で、破産した会社を複数見てきた。その中で何が起こるのか学んできた。
破産には以下の三つの責任がある。
①経営者責任
②株主責任
③保証責任
ー経営者責任
破産は、破産申立を裁判所にすることで始まる。
破産申立をしたら、その時保有している資産負債は動かせなくなる。すなわちその時点でやっていた事業が止まることとなる。
それまで行っていた事業は行えなくなり、従業員は働くことができなくなる。
経営者は、弁護士にアドバイスを受けながら、従業員や取引先へ真摯な説明をする。
また、会社で保有している財産をできる限り現金に変え、債権者への返済が少しでも高くなるように努める。
絶対的に払わなければいけないものは、大きく二つあり、従業員給料(実質的には解雇予告手当である1ヶ月分の給料)とその時点で未払いになっている税金である。
それ以外の負債は、払えるだけ払うことしかできないため、できる限り支払える原資となる手持ち現金が高くなるようにする。
基本的な部分は、上記になるが、上記以外にこれまでの事業に関与していただいた関係者の方々への説明責任を全うすることも大事な経営者責任と考える。
ー株主責任
次に株主責任だが、これは至ってシンプルである。
出資したお金が返ってこない。すなわち保有株の価値が0円になるというこで責任を果たしたことになる。日本の株式会社は有限責任であり、株主の責任は出したお金が返ってこないことで果たされる。
株式会社で投資をし事業をしやすい環境となって言えると言える。
ー保証責任
最後に保証責任だが、これが最も厄介である。
基本的には、銀行借入に対して、経営者個人が保証していることによって発生するものである。
これまで、オーナー経営者が個人保証を入れるのが通例であったが、昨今では、法人の借入に対して経営者の個人保証は過去ほど求められなくなってきている。
銀行借入に対して、経営者個人で保証している場合、その法人破産し、借入を返せなくなった時、返せない分だけ個人に支払いが迫られる。
払える場合はまだよいが、一般的に、法人の借入規模は個人と比べて大きいこともあり、個人でも返せないという環境に陥る。
その時は、個人でも破産することとなる。
自己破産は、手持ち現預金が99万円以下は残されるがそれ以外の資産である、99万円超の現預金や、保有している自宅、それ以外の金目のものは全て法人の借入に当てられる。
また、一定の期間会社役員になれず、クレジットカードも使えなくなり、自己破産した旨が公告される。
これまで大事にしてきた法人を失い、法人の仲間(従業員等)はいなくなり、自己の財産も全て失い、ものすごい喪失感に苛まれることになる。
そうなった経営者を複数人見てきたがなかなか辛いものである。
その時、この世からいなくなる選択をされる方もいた。
これら三つの責任のうち、保証責任のみ、個人保証をしなければなくなる。
もちろん、起業して経営するのであれば、資金繰りが厳しい時は身銭をはたいてでも継続する局面もあるが、なんでもかんでも自己資金を投入すれば良いという話ではない。
できる限り、個人保証が必要な借入はせず、あくまで法人単体の責任の範疇で事業は行うべきと考える。
ここまでで、起業時の最大のリスクは法人借入の個人保証ということが理解できると思う。
それがなければ、やり直しはいくらでもきくとも思う。
日本の法律は、起業するのに非常に適しているとも言える。
さらに、現状転職市場は活発で、仕事を辞めても新しい仕事は見つかりやすい。副業的な選択肢も多い。
起業すると安定がなくなるように感じる人が多いかもしれないが、私は現代の世の中は、働いてお金を稼ぐという環境そのものが整っていると感じる。
ゆえに、最大のリスク(破産時の個人保証問題)をしっかりケアすれば、起業はそれほど不安定なものではないと考える。