※注意!!※
・これは素人が書いた「創作物」です。この手の事に興味のない方、苦手な方は読まない事をお勧めしておきます。いや、本音としては読んでほしいですけど…。
・モンスターハンターP2Gの公式設定をかなり無視しております。
・多数の中二病設定が使われております。



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登場人物紹介

NAME:アズ・ルードリア
HR:6
主な使用武器:太刀・片手剣

小説モンスターハンター ~愛の物語~


元大闘技場の門番兵。前回のタロの戦いに感動して「ハンター」に戻る決意をする。



NAME:ミリア
HR:6
主な使用武器:ハンマー

小説モンスターハンター ~愛の物語~



アズに「拾われた」少女。二年前にアズと共に集会所を駆け抜けるが…。






30

「起源にして、頂点」
覇竜、アカムトルム。
火山に近い一部地方では「黒き神」、「火山の暴君」といった数々の異名で呼ばれた黒き飛竜。
ギルド内ではその凶暴性や巨大な体躯から「覇竜」と呼称している。


ミリア、アズの二人は火山を登り、その地方の人々から「決戦の地」と呼ばれた、火山の頂上付近にある少し開けた場所までたどり着いていた。

この戦いが終われば、そこに待つのは二人の夢見た「未来」が待つ。
「G級」が、もう目の前にあった。

アズは特に強く願っていた。
この戦いが終わったら、ミリアの心臓を治す「旅」に出る、と。
その旅の終わりにあるのは、ミリアと描いた「二人のG級」。
「二人の狩猟」。
「二人の人生」。

手の届く所まで来ていたのだ。
ミリアの憔悴していく姿に、その精神をすり減らしてきたアズにとって、これほど嬉しい事は無かった。

「この一戦、意地でも勝ちに行くぞ!!これが終わったら…お前の心臓を治す『旅』に出るぞ!!…やってやる。俺達の『未来』のために…!」
決戦の地、アカムトルムを肉眼で確認したアズは、ミリアにそう言った。
心なしか、アズのそんな言葉は本当に「力」がこもっている。
それほどまでに…今日のこの日を待ちわびていたのだ。

それもそうだろう、この一戦が終われば、とにかくミリアの「華」を散らせる狩猟からミリアを遠ざける事ができるのだ。
それどころか、今まで急いで駆け上がった集会所から離れて、ゆっくりとミリアと「旅」が出来る。
そして…ミリアの「生」を手に入れる事が出来る。
ここまで、ずっと願っていたアズの想い。
ミリアの散らす花びらを見る事はもう無いと言う安心感。
ミリアを失う事はもう無いと言う、幸福感。
弥が上にも、アズのこの一戦にかける意気込みは今までで一番のものだった。


そんなアズを、ミリアは嬉しそうに見つめる。
アズのそんなミリアを想う気持ちが、ミリアにとっては本当に心地良い。
フッと感じる、そんな「幸福感」にミリアの瞳は微かに潤んでいた。

本当にあなたは…私を「幸せ」にしてくれる。

そう心に呟くと、ミリアは瞳に貯まる涙をそっと拭った。

「さあ…行こう、アズ!!私達の『未来』のために!!」
アズの言葉に呼応するようにミリアもまたその言葉に「力」をこめた。


二人の「未来」をかけた戦いが始まった。


アズ達が肉眼で認識したように、アカムトルムもまたアズ達を認識した。
アカムトルムはこの地に「侵入」した者には「敵意」しか持たない。
それは幾度となくこの地に侵入した「ハンター」達を相手にしてきた「防衛本能」というものだ。

アカムトルムにとって、この二人に突進をする理由はそれだけで良かった。

アズとミリアを認識した途端、アカムトルムにとってはごく自然に芽生える「殺意」。
アカムトルムは特に何を感じる事も無く、この二人を「殺そう」とその身を前進させた。

二人はまず、この地特有の「暑さ」から逃れるためにクーラードリンクを飲むと、双方二手に分かれた。
その突進をかわすと、ミリアはまずアカムの頭に向かう。
アズはミリアにターゲットが移るのを確認すると、アイテムポーチから閃光玉を取り出し投げるタイミングをうかがう。
隙あらばその閃光玉を投げてミリアと一緒に頭を狙おうと思っていたのだ。

今回の戦い、アズにとっては「部位破壊」などどうでも良かった。
とにかくこの戦いを早く終わらせたい。そんな気持ちでいっぱいだった。

二人にとってアカムトルムは「初見」だったが、事前に集会所にいる「G級ハンター」よりその狩猟法は聞いていた。
いや、それはアカムトルムのこの狩猟だけに限った事ではない。
二人は常に事前に「初見」モンスターには、狩猟経験がある者からそのモンスターの情報を聞いていたのだ。
これは「ハンター」にとって重要な事だ。
集会所の酒場は、そんな「情報提供」の場でもある。
そんなアズの「ハンター」においての勤勉な姿勢も、ここまでの「集会所を駆け上がる」事に役立っていた。

ミリアがある程度アカムの頭前で「観察」しているのを確認しながら、頃合いを見計らってアズは閃光玉を投げる。
そこで怯んだアカムを確認すると、ミリアとアズはこぞって頭に攻撃を仕掛けた。

ハンマーの打撃と太刀の斬撃が合い重なる。
その体躯もあり綺麗に左右分かれた二人は、なんの躊躇も無く攻撃を繰り出した。
その攻撃に手応えを感じたアズは、
「よし!!これは行ける!!」
と心の中で叫ぶ。
ミリアもまた、そんな手応えに同じ事を思った。

閃光の怯みから回復したアカムは、目の前にいる「敵」に向かって立ちあがると、これでもかとその巨大な体を地面に叩きつけた。
しかし双方ともに顔付近にいたことからそんな攻撃は二人にとって簡単に避ける事ができる。

アカムはその巨体が故にその攻撃の速度が遅い事を二人は見抜くと、今度は隙あらば直に攻撃を入れるようになっていった。

今までの「狩猟経験が生きている」。
そんな風に思わせるほど、二人はいとも簡単にアカムの動きに慣れていった。


二人はあっという間にそのペースを掴んだ。
攻撃のタイミング、避けるタイミング、各攻撃に対する対処法を特に危なげも無く見抜くと、その攻撃を与えるスピードが上がって行った。


ここまで戦い、二人は思う。
この戦いはもらったと―――。


だがしかし、二人はこの時点では気が付く事ができなかった。
この巨体の「覇竜」の恐ろしさを。
叩けど、切れど、中々沈まないこの「覇竜」の生命力を。

「功を焦る者」にとって、一番恐ろしいものは目の前のモンスターの「攻撃」ではない。
そう、「時間」なのだ。


今まで連携による「速攻」で仕留めてきた二人にとって、この覇竜の体力は未知なるものだった。

「焦り」が、いつしか二人を襲い始める。


31

どれ位の時間が過ぎたのだろうか。
この灼熱の地に、この「黒き神」を前にして二人はかなりの時間を費やしていた。

全身汗が噴き出る。
少しでも気を緩めれば意識が朦朧とする。
集中力が切れれば、アカムの尻尾が横から迫りくる。

アズはかなり焦っていた。
中々死なないこの化け物を前にして、握る太刀に力を込める。
じっとりと、手の平に汗が滲んだ。

まずい…。コイツの攻撃は…本当にまずい。終わらせなければ…早く!!

アズは心の中でそう呟く。
先ほど、アズはアカムトルムの尻尾を食らってしまった。
右から来る恐ろしい衝撃に、アズは吹っ飛ばされる。
全身を襲う激痛が今までにない程の強烈な物で、たったの一撃でアズは意識を立ち切られそうになった。
ミリアのフォローのおかげで、なんとか立ちあがり回復薬Gを飲んで助かったが、しかし受けた衝撃は回復薬G1つでは到底フォローできないような、そんな破壊力を秘めていた。

そこで実感したのだが、アカムの攻撃はどうにもこの鎧を貫通するような不思議な衝撃を持っているようだ。
言葉に例えるならば「小刻みな振動」が、受けた痛みにさらに響くような。
全身の根底に響く「痛み」と言うのだろうか。
そんな得体のしれない衝撃を持っていたのだ。

アズは焦った。
もしこれが今の「ミリアの身」に受けたら…。
考えただけでおぞましく、ゾッとする。
「儚き」華の舞い散る姿が頭をよぎると、アズはもういてもたってもいられなかった。

早く終わらせなければ…。
早く…!!

アズの頭の中は、いつしかそんな思いで満たされていった。


己自身では気が付かない。
そんな狭い視界が「些細なミス」を誘発する布石になると言う事を。
「失敗の原因」はいきなり起こるものではない。
何かしらの布石がある。それが当の本人にとって気が付かないだけの事で。
その「布石」に気が付かないから、当人にとっては「不意」に起こるように思えるだけで。


アズは焦りから、そんな「布石」をばら撒いてしまったのだ。


そしてまたミリアも焦っていた。
この灼熱の大地での長期戦、自分の心臓の異変が大きくなり始めていたのが解ったのだ。


胸が苦しい。


ここ最近では戦いの最中でも、胸に違和感を感じるようになっていた。
しかし今までの戦いは「速攻」で決まっていたためになんとかなっていたのだ。

ここまでの長期戦に、ミリアの握るハンマーの力もその威力を失いつつあった。
そして映るアズの「焦る姿」。
そんなアズの焦燥感はミリアにも自然と移る。
いつもならばそんな焦るアズを叱咤するのだが、今のミリアにはそんな余裕がなかった。

心臓が持たない。

そんな焦りも合わせて、声を出す余裕のないミリアはただアズの「焦る姿」を気にするしかない。
ミリアの目はアズを追う。



それはアズのばら撒いた「布石」に呼応する瞬間だった。



ここで「些細なミス」から「大事」に至る、さらなる「布石」が生まれた。
生まれてしまったのだ―――


小さな「布石」は坂を転がる雪玉のように、さらなる「布石」を我が身に張り付ける。
その「布石」はやがて大きくなり、取り返しの付かない「惨事」を生む。


一番回って欲しくない、そんな歯車が歯を噛みあわせて―――回った。


それは本当に「些細なミス」だった。
「ハンター」だったら誰もが一度はやることだろう。
特にアズが責められる事は無い、そんな凡ミス。

アズは、砥石の使うタイミングを間違えてしまったのだ。
なんの皮肉か、以前ミリアに言われた砥石の重要性に、「早く研がなくては」という焦りがあったのだ。
焦燥感に駆られるアズにとって、どんな事も「焦り」に繋がってしまう。

時計周りでアカムを横目に、アズはアカムが立ちあがるのを見ると、ボディプレスだと思った。

ここなら振動も来ないだろうと砥石を使用した時。
アズの耳にものすごい咆哮の音が飛び込んできた。
堪らずに耳を塞ぐアズ。

「しまった…!!」

そう、アズは直撃こそ受けなかったがアカムの「咆哮」を食らってしまったのだ。

本当に「些細なミス」だった。

アズはその場で耳を塞ぎ、動けなくなる。
アカムはゆっくりと―――アズに振り向いた。
そして何の躊躇も無く、アズに向かって突進する。
アズはゾッとした。
コレをまともに受けたらどうなるのだろうか。
多少のダメージで体力を減らしていたアズは、もしかしたら「死ぬ」かもしれないという恐怖に我が身を硬直させる。

身動きの取れないアズは、アカムの突進を食らうのを覚悟した。
体にくるであろう衝撃に備えて全身にグッと力を入れる。




しかし、次の瞬間―――アズの身にきたモノは柔らかい衝撃、そして次に体がフワッと軽くなるような浮遊感だった―――。


アズが反転した世界で見た光景。
それはハンマーを担いだまま、笑顔で自分を見つめるミリアの姿。


なぜ―――。

アズは何が起こったのか解らないまま。


視界に映るミリアはアカムトルムの突進に吹き飛ばされた。


32

儚き華の散る姿―――。
アズにとって一番恐れていた姿。

ミリアの体が吹き飛ばされて地面に叩きつけられると、そのままアカムトルムの巨体の中に埋もれるようにその姿が見えなくなる。

「ミリアアアアーーー!!!!」
アズは思わず叫んだ。
全身が震える。
一番恐れていた姿を目の当たりにしてしまったアズは、錯乱していた。
担いでいた太刀を背中の鞘に納めると、アズはアカムの状態も気にせずにミリアの元に走り出した。


何も考える事が出来ない。
何も考えたくない。

ただただ、アズはミリアの元に走った。

アカムの前脚付近でぐったりとしたままのミリアを見つけると、アズは一気に駈寄る。
ピクリとも動かないミリアを見て、アズの戦意はもう無かった。
アズにとっては戦い所では無かったのだ。

アカムの脚元でアズはミリアを抱きかかえるとミリアの顔を見る。
まだ微かに息をしているのを確認すると、急いでアイテムポーチに手を突っ込む。
アズは二人分の「戻り玉」を用意すると、一気にその決戦の地から離れるため、緑の煙を上げた。


アズは―――それこそなんの「躊躇」もなく、このクエストを「リタイア」した。
それは二人がPTを組んで、初めての「リタイア」だった。


ミリアを背中に担いで火山を下山するアズ。

まだ…まだ息はある…!!!
急いで医者に診せなければ…!!
ミリアが…ミリアが死んでしまう…っ!!!

頭の中で、アズはずっとそんな事しか考えられなかった。

錯乱している。

ミリアが死んでしまう!!
ミリアが…!!

アズの瞳には今にも泣きそうに、その涙が貯まる。

山を降りるその脚が早くなる。
つまずきながら、涙で視界を奪われながら。
それでもアズはミリアを抱えたまま走った。


アズが目に涙を貯めたまま走っていると、不意に耳元から声がした。
「ここは…?」
ミリアが意識を取り戻したのだ。
「ミリア!?ミリア!!良かった!意識を取り戻したのか!!今医者の所に向かってるからな!!!もう少しがんばれよ!!」
意識を取り戻したミリアにアズは多少の希望を見出すと、駆け下りるその脚をさらに速めた。
「…ああ、そっか。私、アカムの突進を食らっちゃったんだね…。」
耳元で囁くミリアにアズは聞く。
「なんで…なんで俺なんて庇ったんだよ!!自分の身が危ないのに…!!なぜ!!」
アズは駆け下りるスピードを落とすことなく、そう叫んだ。
「だって…あなたは一度攻撃をもらってるじゃない…。死んじゃうかと思って…。」
声色も弱々しく、ミリアはそう呟く。
「それで…それでミリアが死んじゃったら…元も子も無いじゃないか…!!」
そう叫ぶアズは、泣いていた。
我慢していたのに。
涙が出る。
「ミリアが死ぬ」という自分の言葉に、遂に耐えきれなかった。
「ミリア!!ミリア!!大丈夫か!?まだ…大丈夫か!?」
泣きながらアズはミリアの容体を聞く。
そんなアズの言葉で、ミリアは自分の容体がどうなのか意識した。

頭がうっすらと霞がかったような、ぼうっとした感じ。
全ての時がゆっくりと動いているような緩やかな感じ。
視界も朧気で、全てがぼやけた感じ。


自分の心臓がゆっくりとその機能を停止しようとしているのを、ミリアは悟った。

これはいよいよかと、ミリアは「覚悟」したのだ。


「走馬灯」が流れると良く聞くが、ミリアもまたそんな自身の身を振りかえる機会があるのかと、思わず考えてしまった。


33

私の人生は、とにかく「悲惨」という二文字から語られる。
家も貧乏で、生まれた時から病気持ちだった私は父親に「売られ」、その売られた先は「地獄」だった。
私の出会った全ての者は私を「見下し」、「卑しい」目で私を見てきた。
生きた心地もしないまま私はその売られた先で、ろくに食事も与えられないまま過酷な労働にその身を費やさなければならなかった。

自分の「生」にたった一度だけ、一縷の望みを託して私は自分の運命に逆らおうとした。
それは「脱走」。
見つかれば間違いなく殺された。
でもそんな人生を続けるくらいなら死んだ方がマシだ。
そんな「覚悟」を抱えたまま、私は逃げ出した。

しかし飛び出した世界には、やはり私の居所は無かった。
その身なりと肩の「奴隷」の刺青に、誰も私に係ろうと言う者は居なかった。
ゴミを漁り、廃屋を探してはそこで雨風を凌いだ。

意を決して望みを託した外の世界にも、私は「見下され」「卑しい」目を向けられた。
一縷の望みにも裏切られ、全てに絶望した時。

私の前に、あなたは現れた。

私はその時、死のうと思っていたんだよ、アズ。
どうせ死ぬなら、自分の「これ!」って思った人に殺されようと思ったの。
私も…その時はすでに「恋」を知る年齢だったんだね。

あなたを集会所で見た時、「この人」が良いって思ったの。
今更何故かと聞かれると困るけど…でも、覚えてる事が一つ。

あなたの「目」がとても印象的だった。
私には、あなたの「目」がとても綺麗に映った。

なんとなく…この人は私を「見下さない」気がしたの。
だから、あなたに殺されようと思った。
でも子供だったから…解らなかった。
あなたに殺される方法が。

だから、思いつく事をしてみたの。

フフ、ごめんね、あの時は本当に。
でも…本当に良かった。


本当に良かった。


私を地獄から救い出してくれたあなたは。
「生きる」喜びを教えてくれた。
「恋」を教えてくれた。
「愛する事」を教えてくれた。
そして――「幸せ」を教えてくれた。


私の人生はあなたのおかげで彩り鮮やかに、美しいモノに変わった。


「ミリア!?おい!?ミリア!!」
手前からの声で、ミリアは意識をアズに向ける。
まだ生きている。
アズの声が、心地よかった。

ミリアは弱々しくも、自分の装備していたレウスアームを外すと、レウスヘルムの下からそっとアズの顔を触る。



アズは、そんなミリアの手の冷たさに―――脚を止めた。
そのミリアの手の冷たさに、アズはまた涙があふれ出た。


ミリアが、その「生」を終えようとしている。


ゆっくりとアズはミリアを背中からおろすと、今度は手前に抱きかかえた。
ミリアのレウスヘルムを外すと、アズもまたレウスヘルムを外す。
外した途端にミリアの顔に、アズの涙が落ちた。

ミリアはもう声を出すのも辛いようだ。
ただ、ミリアはアズの「目」を見つめた。
アズは冷たくなったミリアの手を握るとずっとミリアの顔を見つめる。
その手には生気はなく、今にも無機質な「冷たさ」に変わろうとしていた。

「…ミリア…ミリア…っうう…ああ…ああぁ。」
アズは涙を堪える事が出来ない。

いつか二人で約束した「覚悟」。
泣くものかと心に決めたはずなのに。
涙が止まらない。

ミリアはそんなアズに声をかけた。これが最後とでも言うように。
「アズ…一つ、私からのお願い、聞いてくれる…?」
ミリアもまた、アズのそんな泣き顔に釣られるように、涙を流しながらそう呟く。
「なんだ!!いくらでも聞いてやる!!!だから…死なないでくれ…!!ミリア…!!」
涙が止まらない。
「今なら言えるんだ…。私はずっと言いたかった…。あなたと『対等』だからね…。」
ミリアは涙を流しながらアズの瞳を見つめる。

一呼吸の後、ミリアは呟いた。

「私と…結婚してくれる…?。」
そう言ってミリアは微笑んだ。

いつしか、アズがミリアに言った言葉。
しかし、断られた言葉。
今、こうしてお互い対等となった今。

ミリアの想いがアズに痛いほど伝わる。

「ああ…!!ああ!!もちろんだ!!結婚しよう!!ミリア!!当たり前じゃないか…!!そうだ!お前の心臓を治す旅、新婚旅行も兼ねる事ができるじゃないか!なあミリア!!」
涙が止まらない。あふれ出る。
アズは泣きながら、ボロボロと涙をこぼしながら精一杯ミリアに向かって微笑む。



そんなアズの顔見ていたミリアはもう一度微笑んだ。
そして、薄らいでいく意識の中で思う。

私のために泣いてくれるあなたに。
その涙のおかげで私の人生は美しく彩られた。

なんて私は「幸せ」なのだろう。
あなたと居られた時間は、そんなに長くなかったのかもしれないけど。



私は精一杯、「生きる事」ができました。



―――あなたに恋をして良かった。
―――あなたを愛せて良かった。
―――私は、「幸せ」でした。


―――アズ、本当にありがとう。



―――本当に、「ありがとう。」



最後に、薄れゆく意識の中で。



「生きて…。」




ミリアはそうアズに言うと、静かに、そしてゆっくりとアズの手の中で―――息絶えた。



一人の少女の、短く、しかしとても美しい光を放つ「命の炎」は―――遂にその灯を消した。

言葉にならない、一人の男の絶叫が、火山に響く。



儚き華の散る瞬間―――。

溶岩の中から舞い出るその火の子は、ミリアの散らした花びらのように。
一瞬の内にその炎の光を消す火の子は、まるで今のミリアのように。


夕日の中、繋いだ手の中で二人が夢見た「未来」と「約束」。
遂に見る事ができなかった二人の「未来」。
遂に果たせなかった二人の「約束」。




アズは、ミリアの遺体を抱えたまま火山を降りると、ミリアを丁重に葬る。
その墓前の前で何度涙を流したのか。


その涙も枯れ果てると。
いつしか―――アズは太刀を置いた。




集会所編11に続く