※注意!!※
これは俺の自己満足のみで書かれたあまり面白くないセカンドキャラ物語です。
その辺をご了承下さい。


~登場人物紹介~
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンランス

tkp0513さんのブログ


補足事項:三年前から以前の記憶がない。


NAME:リオ
HR:9
主な使用武器:大剣、ランス、ガンス

tkp0513さんのブログ


補足事項:以前このポッケ村の危機を救った英雄。三年前以前のタロを知っている者。







集会所の扉に鍵をかけた下位の受付嬢は、テーブルで芋酒を飲んでるギルドマネージャーに声をかけた。
「扉の鍵かけましたー。じゃあ私そろそろ帰りますけど、後お願いしても良いですか?」
そう言って受付の子は頭に被っていたヘルパーフードを外した。
「何言ってんの。カイちゃんも一緒に飲みましょうよ。さあ!!座って!!座って!!」
カイと呼ばれた受付の子は一瞬顔をしかめたが、ギルドマネージャーの対面で恨みがましくカイを見つめる二人の女の子と目が合うと渋々と空いてる席に座った。
ここは集会所の中央席。ギルドマネージャーと対面に後二人の受付の子のジョーイとジーコがいる。
それとあと一人。
俗にいう「お誕生日席」に一人、女の子が座っている。
「そうよ!!カイ!!私の酒が飲めないっていうの!?」
その「お誕生日席」に座っている女の子がカイにずいっと酒の瓶を突きだす。
「あんたも飲みなさいよ。」
カイは渋々と席に置いてあったグラスを傾けた。
お誕生日席に座っていた女の子。
自称タロのライバルの女の子である。名前はミルカ。
いつも掲示板の前でタロの事を待っている子だ。
まあ本人に「タロの事を待っている」なんて言ったら烈火の如く怒るだろうけど。

まあ今日はミルカさん、荒れるなあとは思ってたけどね…。
まさかギルドマネージャー誘ってやけ酒とか…勘弁してほしいよ…カイはそう思いながら注がれた酒を一口飲む。

今日のこの酒の席はミルカが提案したものだ。
マネージャーがポロリと昨日のタロとリオの事を話してしまった事が原因だった。
タロとリオがどんな関係なのか。
今、集会所の私たちはその話題で持ちきりになってる。
「でも…タロさんって何か隠してるなあとは思ってたけど、まさか記憶を失っていたとはねー。」
もうこの席につき合おうと覚悟したジーコが呟いた。
ちなみにジーコは黄色いベストのG級担当の受付嬢だ。
噂では胸もG級だとか。
「確かにタロさんって何かかげりみたいなものはありましたけどね~。」
ジーコの呟きに緑のベストの子、ジョーイが返した。
ちなみにジョーイは上位担当の受け付け嬢。
噂では胸は上位級だとか。
「記憶がない事、私は知ってたけどね。」
ちょっと得意げにミルカが言う。しかしそんな得意げな顔も一瞬ですぐにムッとした顔になると
「で、どういう事なのよ!?なんでアイツの知り合いにあの伝説のハンターのリオさんがいる訳!?で!?昨日楽しく飲んで!?タロの家で飲み直すって出て行って!?その後はどうなったのよ!?ああ!?誰か知らないわけ!?」
と一気にまくし立てた。
ダメだ、今日のミルカさんはもう誰にも止められないだろう。
こうなったらとことん飲ませてさっさと潰れてもらうしかない。
そんな事をカイ、ジョーイ、ジーコの三人はまったく同じことを考えていた。
「タロちゃんの過去か…。確かにこうなってくるとちょっと興味あるわよねー。あの伝説のハンターリオちゃんと知り合いで、同じランサーだもんね。もしかしてタロちゃんも本当はかなりのハンターなんじゃない?」
マネージャーが手の中でグラスを回しながら言う。
「まさか~。だってタロさんって三年この村に居ますけど、未だにHR2ですよ?本当にすごいハンターなら今頃G級行ってますよ~。」
そう言ってジョーイはケラケラ笑う。

tkp0513さんのブログ


「確かにすご腕ハンターならそろそろG級ライセンスは取れそうな年月経ってますよね。リオさんなんか半年経たない内にG級行っちゃいましたし。」
ジョーイの言葉にウンウンとカイが頷いた。
「確かにね~。でもねジョーイちゃん、カイちゃん。タロちゃんが本当はすごいハンターかも…って言うのは実は結構前から言われてる事なのよー。」
グラスの中にある氷を見つめながら、マネージャーは呟く。
「ええー!?本当ですかー?信じられませんよー。」
いつものタロを思い出しながらジョーイとカイが笑う。
タロは集会所に顔は出すが、ここ三年はほとんど集会所のクエストはこなしていなかった。
本人曰く、「集会所のモンスターは村より強いから嫌だ」だからだそうだ。
そんな事を顔をしかめながら言うタロを思い出すと、とてもマネージャーの言う事は信じられない。
マネージャーが思いのほか真剣に言うものだから余計ジョーイとカイにはおかしかったようだ。
まだケラケラと笑っている。
しかしそんなカイとジョーイの笑いに釣られることがない人物がいた。
ミルカとジーコだ。
「その話、私も聞いたことあるんですよね。そこらの村人が言ったのなら私も信じられなかったけど。」
笑っているジョーイ達を横目にジーコが言う。
「もしかして村長とネコートさん?」
ジーコの呟きにミルカが聞いてきた。
「ミルカさんも聞いたんですか?そうなんですよ。あの二人、なぜかタロさんを高く評価してるっていうか…。」
「私は直接聞いたわけじゃないけどね。でもその話は聞いたことあるのよね。ライバルとしては聞き捨てならない事だわ。」
そう言ってミルカは持っていたグラスを一気に空ける。
「タロは確かに何かあるのよ。これは本当の事だと思う。ライバルとして見続けた私には解るわ。アイツはそこらの平凡なハンターじゃないっていう何かがある。」
手酌酒の進行を止めることもなくミルカがそう言うと、その言葉にマネージャーが反応した。
「みんな知ってる?タロちゃんってね、村長と現在進行してるネコートさんのクエスト、一度も失敗した事ないのよ。」
その発言に他の四人が驚いた。
「え…本当ですか!?一度も失敗したことないんですか!?…そんな事例、聞いた事ない。」
さっきまでケラケラと笑っていたカイとジョーイが笑いを止めて驚愕する。
普通、ハンターは村と集会所を交互に行くものだ。
これは集会所でPTを組み、複数でモンスターを狩り、そこで防具や武器を整えてから村長のクエストに一人で立ち向かうという流れの方が確実だからだ。
何故か村長、ネコートさんの持ってくるクエストはPT厳禁なのでこの流れが自然と定石となってくる。
しかしタロの場合はそのPTをやらずに一人でクエストをこなし、防具を整えてネコートさんの所まできた。
そんな事してるから三年経ってもHR2なんだとこの間も話の種になったばかりだったのに。
一人で戦ってるから失敗ばかりなんだろうと結論まで出てたのに。
PTも組まず、それでいて一度もクエストを失敗した事がない…それは驚くべき事だった。
「じゃあこの三年間、ハンターランクも上げずにタロは何をしてたって言うのよ…。」
ミルカが驚きを隠せずそう呟く。
「だから不思議なのよね~。タロちゃんって。ここからは私の推測だけど…もしタロちゃんがG級を自ら望んだら、本当にあっという間に行っちゃうんじゃないかしら。それこそリオちゃんなんかよりもあっさりと。」
マネージャーは相変わらずグラスの中の氷を見つめながら言う。
受付トリオの三人はそんなマネージャーの一言に何も言えなかった。
本当に…タロは平凡なハンターではない…そんな気がしてくる。
そんな三人の驚いた顔に気づいてるのかいないのか、ミルカが口を開いた。
「で!?結局、タロとリオさんはどういう関係なの!?」
どうやらミルカはタロの実力がどんなものなのかよりリオとの関係が気になってるようだ。
もう告っちゃえば良いのに。
受付トリオが同じことを思う。
皆にバレバレな事も露知らず、この夜ミルカはその質問を延々と繰り返した。




ミルカ達が酒を飲んでいる頃、集会所の外に一つの人影があった。
もうすぐ満月にさしかかろうかという時期、月明かりが眩しい時間、その人影は集会所を通り過ぎて大きな石がある所へ向かっていた。
マカライト鉱石で出来た大きな石。
その石はこの村の象徴として祀られている。
人影がその大マカライトの祭壇まで来ると、ぴたりと止まった。
「おや、久しぶりだね。」
大マカライトの祭壇に、人影とは別にもう一つの人影。
いや、正確に言うと人影では無かった。
「お久しぶりです。ネコートさん。」
その人影が一歩踏み出すと、月明かりでその影を落とす。
「リオ。元気そうで何よりだね。」
祭壇の前でたそがれていたネコートと呼ばれたアイルーが、影を落としたリオと呼ばれた女性に声をかける。
「ネコートさんも。お元気そうで何より。」
そう言ってフフっとリオが笑った。
「リオ、どうしたんだい。今回はタロの前に姿を表したそうじゃないか。お主も中々大胆な事をするね。」
おもむろにネコートが本題に入る。
「大胆な事」という言葉にリオが顔を赤らめながら
「ちょっと…!!ネコートさんなんで知ってるんですか!?」
と、びっくりして聞き返した。
「…?なぜ驚く。タロとお主が集会所で会ったことなら村の者全てが知ってる事だろうよ。」
不思議そうに聞くネコートにリオが慌てて
「ああー。あ。ああ、そうですね、はい。会いましたよ。」
と、返事をした。
何をどう勘違いしたというのか。
「…。はは、そうかそうか。まあお主も年頃だからな。ましてや相手はタロ。お主も我慢できんよな。ははは。」
そう言ってネコートは嬉しそうに笑う。
その言葉にリオはみるみる顔が赤くなった。
「え、え、違いますよ!!言っておきますけど特に何もしてませんからね!!…されそうにはなったけど…。」
そう言ってリオは俯く。
これが伝説のハンターというのだから人間は面白い。
こんな若い娘が「崩龍」を倒してしまうというのだから…な。
今、目の前にいるのは恋をした只の少女…本当にそのようにしか見えん。
「で、タロはどうだい。お前の事…思い出したかい。」
ネコートは目の前で顔を赤らめているリオに聞く。
リオはその答えに対して無言で首を横に振った。
「そうか…。まあいずれ思い出すだろうさ。気長に待てば良い。」
「そうですね…でも、思いださない方が今後のタロのためには良いのかもしれませんけどね。」
そう言ってリオはまた俯く。
「お主も不憫よの。だが、これから…お主が受けるであろうクエストにはヤツが欲しいだろう。記憶が戻らないにしてもヤツの記憶を失う前の力だけでも取り戻したいものだ。」
ネコートはそう言うと月を見た。
もうすぐ満月になろうとしている欠けた月が煌々と輝いている。
「で…今回の街の依頼、どうだった…?」
リオに背を向けたままネコートが聞いた。先ほどとは打って変わって、その質問をする声に重みがある。
「はい…。今回のラオシャンロン、やはりGクラスでした…。」
リオも返す言葉に意味深い重さを乗せる。
「ついに来るか…。」
ネコートがぼそりと呟く。
「これは…タロには悪いがそろそろがんばってもらわないといけないね。」
月明かりに目を細めながら、ネコートがさらに呟いた。
「…でも、どうすれば良いでしょう?タロ、未だにHRは2なんですよね。間に合いますか…?それに、アイツ…やる気出してくれるのかな…。」
不安そうな顔でリオが聞く。
そんな不安そうな顔を見て、ネコートが不意に笑った。
「フフ、大丈夫だよリオ。アイツ自身も薄々だが気が付いているだろう。自分には成すべき事があるはずだったと。その指標を具体的に示してやれば良い。それだけでヤツは動くさ。」
ネコートは自信ありげに言う。
そんな言葉にリオも少しほっとしたように頷く。
「そうですね…。タロなら…やってくれますよね。でも指標とは言いますが具体的にどうすればいいでしょう?やはりタロに過去の事を話した方が良いでしょうか?」
リオがネコートに聞いた。指標そのものの意味は解るが、具体的にどうすれば良いのかリオには見当もつかない。
「なあに、リオがタロの前に出てって『HR9になったら私をあ・げ・る☆』とでも言えば良い。それだけでタロはやる気になるだろうよ。」
冗談に聞こえない重みのある声色でネコートがそんな事を言う。
そのセリフにリオが急に顔を赤らめた。
「ネコートさん!!」
思わず叫ぶリオにネコートは笑いながら
「ははは。すまない、もう試したんだっけかね、それ。昨日の夜。」
とさらに大笑いする。
リオは顔を真っ赤にしながら
「そ、そんな事言ってません…!!」
そこまで言うとリオが肩を震わす。
そんなリオを見て、
「これだから人間というのは面白い。」
と、ネコートは微笑んだ。




各自が思い思いの事を語った次の日。

タロが起きてキッチンに行くと、キッチンアイルーのガルが声をかけてきた。
「ネコートさんがご主人に用事があるらしいニャ。」
ネコートさんからの呼び出しとは珍しいな…。
意外な人物からの言伝にタロは驚くと、とりあえず今日はまずネコートに会いに行くことにした。

外出の準備を整えると、タロは大マカライトの祭壇に向かう。
自分の家から坂を下り、左手に集会所を見ながら歩くとすぐそこに大マカライトの祭壇がある。
そこで焚き火をしている一人と一匹を確認すると、タロはその焚き火の方へ足早に向かった。
「おお。タロ、早かったね。」
足早に近づくタロに声をかけたのは一匹の方。ネコートだ。
「ネコートさんが用があると聞いたもので。」
そう言ってタロは焚き火の前で火の番をしているこの村の村長にも軽く会釈をした。

tkp0513さんのブログ


「そう。その用事というのも大事なんだけどね。その前にちょっと聞きたい事もある。」
ネコートがそう言うとタロの方を見た。
「一昨日、貴殿は集会所で女と飲み明かしたそうだが…彼女が何者かは聞いたかね?」
その質問にタロはドキッとする。
集会所でもその話で持ちきりとも聞いたが、ネコートから言われるとそんなゴシップとはまた違った意味があるとタロは悟った。
「ええ。聞きましたよ。どうにもこの村の英雄だそうで…もしかして…俺、なんか失礼な事しちゃったとか…。」
タロが恐る恐る聞く。
「そんな言い方をしてる所を見ると、何をしゃべったのか、何をしたのか、覚えてないようだねえ。」
焚き火の火を棒でかき回しながら村長が呟いた。
その言葉にタロが頷く。
「さらに言うとその彼女の顔も覚えてないんですよね…。」
そう言うとタロはハハハとわざとらしく笑った。そんな言葉に
「なんと!顔までとな!!ハハハっこれはリオも難儀なことだ。」
と、ネコートがタロにつられるように笑う。
ネコートの笑い声にタロは少し安心した。どうやら怒られるような話ではないようだ。
「という事だそうだ。リオ、出ておいで。」
ネコートが大マカライト石の方にそう叫ぶと、その石の影から一人の女性が現れた。
その女性はタロの顔を見るなり不機嫌そうに仏頂面になる。

リオと呼ばれて出てきた女性。
タロはリオと目が合うなり、一つの映像が頭の中に飛び込んできた。
下着姿の女性。
今まで顔がぼやけていたその映像に、このリオの顔がぴったりと収まった。

tkp0513さんのブログ


その映像を元に、すべての断片的な「飲み明かした女」のぼやけた顔がリオに変わる。
そして頭の中がすっきりとしたように、タロは色々と思いだした。
「あ、あ、あー!!思いだしたー!!!そう!下着姿の女性!!!」
リオを指さすなりそう叫ぶタロ。
そんなタロの言葉に、その場にいた二人と一匹は目を見合わせた。
一瞬の静寂の後、ネコートと村長は声を出して大笑いし、リオは顔を真っ赤にしながらずかずかとタロの前に行くと、大きく開かれた平手を大空にかざす。

パシーンッ!!!という大きな音が、この村に響いた。




「さて本題に入ろうかね。」
ネコートが若干笑い疲れた所で、そう話を切り出した。
村長はまだ笑っている。
リオはタロに背を向けて腕を組んでいる。
殴られたタロは真っ青な顔で殴られた頬をさすっている。
「タロや。実はこの前貴殿がこなしたクエストでな、ワシが持ってる依頼は全てだったのだよ。そこでだ。」
そう言ってネコートは懐から一つの紙を差し出した。
それをタロに渡す。
「この依頼をこなしてもらえんか。」
そう言うとネコートは目を細めた。
そんなネコートの顔を見て、タロは若干緊張しながらその紙に目を通す。
それはあるクエストの依頼書だった。

tkp0513さんのブログ



「モンスターハンター」
報酬金 :42000z
契約金 :7000z
指定地 :大闘技場

成功条件 :全ての大型モンスターの狩猟

依頼主 :赤衣の男を従えた騎士



その紙にはそう書かれてあった。


タロはこの内容に驚いた。
まず驚いたのはこの報酬金の金額。
今まで100以上のクエストをこなしたが、この金額は見たことがない。
今までで一番の最多額だ。
これを見るまでは、一番の報酬金は「国の災厄」と呼ばれたアカムトルム討伐の報酬金だった。
しかも依頼主はこの国を治める王、直々の依頼だったのに。
そんなアカムトルム討伐の報酬金ですら36000zだったというのに、それをさらに上回るとは。
タロは間違いがないか確かめるようにもう一度報酬金の金額を見る。
思わずゼロの数を数えてしまった。
そして次に驚いたのが指定地だ。
大闘技場。
これは間違いなく人間が「余興」としてモンスターの狩猟を行う場所だ。
人為的な狩猟、それにこの金額という事にタロはこのクエストが自分では到底見る事が出来そうにない、この国の「裏」を垣間見た気がした。
自然とタロは緊張し、紙を持つ手が震えた。
「一体…これは…?」
思わずネコートに問いかける。
ネコートは目を細めたまま、
「これはな、正式な依頼では無い。まあワシが扱ってるクエストは全てそうだが、これはそんな依頼の比ではない…この国のトップシークレットのものだ。依頼書は中央のギルドから来る。」
そうタロに言うと、片目を開いてタロを見た。
「まあ訳有りでな。その依頼の大役をタロ、貴殿にやってもらいたいのだよ。」
重い口調で語るネコートに、タロはこの依頼がやはりただ事では無いと悟った。
「本来ならこの依頼はG級、さらにはHR9の猛者にしか回ってこないのだが…タロ、お前なら行けると思ってな。」
ネコートは淡々と語るが、その依頼の難しさはネコートの声の重さで伝わってくる。
話を聞いていたタロの手が自然と汗を掻いていた。
緊張が更なる緊張を呼ぶ。
「この依頼を「俺」に回してくる事に…やはり何か意図があるんですか?」
聞いたタロの声に、不安が乗っかっている。
意図があるとすれば、今回の話の「本題」はこのクエストをこなす事ではない。このクエストの向こう側に「本題」があるという事だ。
それを考えただけで、タロは今回の話が只事ではないと感じる。
その「只事」も村のハンターという枠を大きく超えている。この話、国単位か、更には世界単位の話だ。
そんなタロの不安にネコートが追い打ちをかけるように、
「やはり貴殿は察しが良いな。そうだ。このクエストは言わば本題に入るための序章だ。」
と、さらりと言う。
「どうだ?ワシからの頼みだ。このクエスト、ぜひ貴殿に任せたい。」
そう言うと、ネコートはもう片方の目も開けて、真っ直ぐな視線でタロを見た。
そんな視線にタロは口を開く。
「…やはり、あなた達は俺の失った記憶を知っているんですね。普通なら俺みたいな平凡なハンターにこんな話は来ない。俺は、三年前、どんな奴で…どんな立場で、どんなモノを背負っていたというのですか?」
まったく思い出せない記憶に、タロは恐怖を覚えた。
こんな話が、三年も平平凡凡とやってきたハンターに来るわけがない。
この二人と一匹は…俺の知らない俺を知っている…。
「その事を本当に知りたいと思うのなら、ぜひこの依頼を受けてほしい。」
ネコートは変わらずまっすぐな視線で、タロを見つめる。
そんなネコートの視線にタロもまた視線をそらさない。
数秒、いや数十秒の沈黙。
そしてその沈黙は重い。
そんな重い沈黙を破ったのは、タロだった。
「解りました。受けます。」
先ほどの不安の顔はなく、タロはまっすぐにネコートを見つめたままそう言った。
そんなタロを見て、ネコートは目を細めた。


3へ続く