※注意!!※
・これは素人が書いた「創作物」です。この手の事に興味のない方、苦手な方は読まない事をお勧めしておきます。いや、本音としては読んでほしいですけど…。
・モンスターハンターP2Gの公式設定をかなり無視しております。
・多数の中二病設定が使われております。



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登場人物紹介

NAME:アズ・ルードリア
HR:6
主な使用武器:太刀・片手剣

小説モンスターハンター ~愛の物語~


元大闘技場の門番兵。前回のタロの戦いに感動して「ハンター」に戻る決意をする。



NAME:ミリア
HR:―
主な使用武器:―

小説モンスターハンター ~愛の物語~


アズに「拾われた」少女。二年前にアズと共に集会所を駆け抜けるが…。





20

時を同じくして、ここは集会所。
アネーシャとアルトがそんな会話をしている時、リオ、ロウ、アズの三人は今まだ酒を飲みながらタロの帰りを待っている。



「タロを知っているかって…アズはタロの事を知っているの?」
先ほどのアズの言葉に、驚いた顔を崩さないままリオが聞いた。
「ああ。俺はタロ…タロ・ライドに会いたくてここまで来たんだ。やはり、タロの事を知っているのかい?」
アズはリオの質問がタロの事を知っているニュアンスを含んでいる事に、期待の眼差しを向ける。
「知ってるも何も…リオとタロは同棲してるんだよ。なあリ…フォ。」
リオは笑いながら答えるロウの頬を引っ張りながら、
「『同棲』じゃなくて『同居』。ね?」
と、ロウの言葉を訂正した。
そんなやり取りを聞いていたアズは更に目を輝かせると、
「あのタロと?リオが!?そりゃすごい…!最強のカップルじゃないか!」
と、興奮したように言う。
「だから!あなたも人の話聞きなさいよ!!」
リオは顔を赤くしながらそう叫ぶと、テーブルをバンっと叩いた。

とにかくこの話題から逃れようと、リオがアズに思う事を聞く。
「まあとにかく!…アズはなんでタロに会いに来たの?アズはタロと会った事があるの?」
そんなリオの問いにアズは、
「俺は知ってるけど…向こうは知らないだろう。俺の一方的な『片思い』ってヤツさ。」
と、照れたように笑った。
「?」
そんなアズの言葉にリオとロウは目を合わせる。
「うーん、なんと言えば良いのかな。先日行われた、大闘技場のタロのクエストは知ってるかい?」
アズがそんな目を合わせてキョトンとしている二人に聞いた。
「ああ。そう言えば!グスタが言ってた『儀式』…。もしかして、一か月も闘技場を一般閉鎖してたヤツ?」
アズの問いかけにロウが思い出したように言う。
「そう、それ。その時…俺は門番兵として、タロの戦いを闘技場の外から聞いていたんだ。その闘技場から聞こえてくる音に…感動してね。どうしても会いたくなった…ってのじゃ会う理由にはならないかな…。」
そんな風に語るアズの顔は少し照れたように笑っている。
自分で改めて口にして、「くだらない理由」だと言うのを自覚したからだろう。

タロのあの戦いで「感じた」想いや感動を説明するのは難しいな、とアズは思ったがどうにも説明する術を持っていない。
どうしたら説得力を持たせられるかな…と考えていると、
「アズも…昔はハンターだったんだ?」
と、特にアズの照れに笑う事もなく、リオが聞いてきた。
アズがどういった想いでタロに会いたがっているのかまでは解らないが、リオ自身もそんなアズの持つ「感覚」が解った。
そんな「感覚」は、やはり「ハンター」であるロウにも解る。

同じ「ハンター」として、技術ある者の「狩猟」を見たいと思うのはとても自然な事だ。
アズが「タロに会いたい」と思う理由としては、リオもロウもそれで十分に伝わっていた。

「ああ。二年前までね。二年前までは…『ハンター』だったんだ。…G級直前で、辞めちまったが…。」
リオの問いにアズはそう答えた。
そんなアズの顔は、少し寂しそうな顔をしている。
「それ、グスタにも聞いたんだ。なんでG級直前まで行って…辞めちゃったのさ?」
ロウが思わず聞く。
アズの寂しそうな顔にロウは少しためらいもあったが、しかし聞かずにはいられなかった。
「辞めた訳か…。そうだな…G級に行く『理由』が無くなったから、かな…。」
アズは寂しそうな顔で俯くと、そう呟いた。
「理由…?」
ロウがそんなアズの俯く姿に少し動揺する。

アズのそんな寂しそうな顔にリオもロウも、二年前アズの身に何かあったんだと悟った。

ちょっとした沈黙を経て。
アズは俯いた顔をゆっくりと上げると、

「二年前…俺はG級直前で…大事な人を失ったんだ。」

と、言って寂しそうに笑う。
その寂しそうなアズの笑顔に、リオとロウは言葉を失った。
アズはそんな二人を見ると、
「ああ!いや…その事に関してはもう自分では引きずってるつもりはないんだ。」
と、手を振りながら慌てて答えた。

「ただ、あの時は…。俺にとっての『狩猟生活』は、彼女が居てこそだったんだ。G級…それは彼女が望んだ場所。」
そんな風に呟くと、アズはゆっくりとした口調で自分の「過去」を語り始めた。


21

集会所で「拾ってきた」女の子、ミリア。
彼女はアズの家に入ると、その「ハンター」という職業が滲み出ている独特な雰囲気に目を輝かせた。
「へえー。すごい!!私『ハンター』の家、初めて見たっ!!」
彼女はアズの部屋にある武器や防具、テーブルに転がっていたアイテムの数々を物珍しそうに見ている。
「おい、勝手に触るなよ?危ないモノも沢山あるんだからっ!」
そんなミリアを「危なっかしい」と思ったアズは思わずそう注意した。
事実、アズのアイテムボックスには火薬草や爆薬などの「危険物」が沢山入っている。
「うん!大丈夫。アズは私の『ご主人様』だからね。『ご主人様』の言われた事は守るよ!」
そう言ってミリアは嬉しそうに笑った。
「おいおい…俺はまだ『駆け出しハンター』なんだぜ…?」
そんなミリアの「ご主人様」という名称に、アズは苦笑する。
自分が「人を抱える」ような「すご腕ハンター」ではない事を自覚しているだけに、そんな呼び名は歯痒かった。
「じゃあ『ご主人様』。なんなりとお申し付け下さい!!なんでもやるよ!」
そんな事を元気よく叫ぶミリアの嬉しそうな顔に、アズは少しドキッとした。
集会所で会った時のミリアからは想像できないような「良い笑顔」だったからだ。

明日が見えなかった少女が、明日に希望を持つ。
ひょんな事から「地獄」をうろついていた少女に投げ出された、一本の蜘蛛の糸。
そんな喜びがその少女の顔に反映されている、そんな笑顔だった。

「ああ。雇った以上は働いてもらうぜ?覚悟しろよ?」
アズは浮かれるミリアに釘を刺すようにそんな脅し文句を言うが、そんな脅し文句すら彼女には嬉しいようだ。


「がんばります!!」


アズのミリアを抱えた「狩猟生活」が始まった。


なんでもやると言っていた彼女だったが、実際ミリアはアズの元で良く働いた。
その働きは、アズも思わず「少し休め」と言ってしまう程だ。
一生懸命働くミリアは、時折ゴホゴホと苦しそうに咳をしている。

しかしアズから調合を頼まれればミリアは調合書を開いてせっせと調合し、飯と言われればキッチンにいたアイルーと共に飯を作り、防具に汚れがあればすぐに拭いて光沢を出した。

駆け出しハンターというアズの身にミリアという従者は事実厳しい生活事情だったが、そんな事情を知ってるからこその働きだったのかもしれない。

その身を削るか如くの本当にいじらしい姿勢に、アズはいつの間にかミリアに惹かれていった。

そしてこれもミリアがアズの所で働くようになってから解った事だが、ミリアは美しい少女だった。
出会った当初は本当に痩せていて、骨と皮だけというような凄惨な姿だった。
だがアズの元でキチンと生活をしていく内にその姿も健康的な姿になると、ミリアの顔は思っていた以上に整っていた事に気付かされる。
「飢え」に窪んでいた光の無い瞳も、張りが出て光が差すようになるとその瞳はキラキラと輝きだした。
ボロボロだった服を取り換え、ボサボサだった髪がサラリと肩で揺れる姿は、あの時出会った「悲惨な少女」の面影はもう無い。


いつの間にか、アズはミリアに恋心を持つようになっていた。


そしてまたミリアも、あの「地獄から救い出してくれた」この男に、恋心を持っていた。
実際アズもその顔立ちは少し中性的で整っていて、「美形」と言われる部類だ。
性格も温厚で優しく、仕事としている「狩猟」にも勤勉な態度で挑んでいる。
「従者」という身分で尽くすには、十分すぎる「主人」だった。

最初にアズの元で働き出した彼女はまだ「思春期」に差し掛かったような年ごろだったが、アズの元で一年、二年と暮らす内にミリアの中でアズの存在はかけがえのない者に変わっていった。

ミリアが「女性」としてその成長を遂げると共に、この二人は自然とその身を重ねる関係になっていく。

特に言葉で確認した訳ではなかったが、至極自然にこの二人は男女の関係を結んでいた。


そんな「男女の関係」を経て。
この時点でアズはミリアの事を「従者」という目で見ていなかった。
ミリアはかけがえのない、自分の生涯のパートナーとして「対等」な姿勢を取っている。
いや、アズにとっては最初からミリアの事を「従者」とは見ていなかっただろう、アズが「従者」を抱える事に自然になるにはアズの生い立ちはそんな華やかなモノではなかったからだ。
いつまでも「ご主人様」と呼ばれる事に、アズは慣れなかった。

しかしなぜかミリアは男女の関係を結んでもアズに「従者」の姿勢を崩さない。
いつまでもアズの事を「ご主人様」と呼び続けた。

そんなミリアにアズは歯痒さもあった事から、ある決断をする。


「ミリア、俺と…結婚してくれ。」
アズはミリアにプロポーズをしたのだ。


この一言をミリアが聞いた時、ミリアは驚き、そして次に本当に嬉しそうに笑った。
そんな嬉しそうな笑顔にある瞳には、うっすらと涙を浮かべている。

そして、ミリアは言った。




「ごめんね…。」



ミリアはそのまま笑顔を寂しそうに曇らせると、両手で顔を覆い泣きだした。


アズはここまでで二年という月日をミリアと共にしたが、気がつかなかった事が二つあった。
ひとつは、ミリアはよく何もない所で咳をしていた。大半は軽く咳払いをするようなものだったが、しかしたまに苦しそうにゴホゴホと喉を詰まらせるように咳をする。
そんな咳の意味が「一つ」。
もうひとつは、なぜ「父親に売られたのか。」と言う事だった。
アズはそれがただ「生活苦の果て」の行為だと思っていたので、特にミリアに父親の事は聞かなかった。
実際ミリアもそんな父親の事は喋りたくなかったというのもあるかもしれないが。
そんな売られた意味が「一つ」。


「幸せ」だと思われた二人に、急に暗雲がたちこめ始める。


22

「ごめんなさい…私は…多分、あなたとはそんなに長くいられない…。」
そう言うと、ミリアはそのまま泣き崩れた。

アズは泣き崩れるミリアを呆然と見つめていた。
ミリアの言った言葉が信じられなかったのだ。
アズ自身、プロポーズを断られるとは思ってなかったのもあるが、それ以上にミリアが自分の知らない「何かを抱えている」とは思ってもみなかったからだ。
「どういう意味だ…?ミリア…。」
泣き崩れるミリアに、アズは呆然とした顔のまま聞いた。
「私は…おそらく、そんなに長くは生きられないから…。病気なの、心臓の。治すには莫大な資金がいるからって…医者に言われてさ。そんなお金もないし、未来の無い私は…父ちゃんに捨てられたんだ。」
涙を拭きながら、ミリアはそう答えた。
「なんで早く言わなかったんだ!!」
アズが思わず叫んだ。
「どうしてそんな事をあなたに言えるのよ!!私はあなたに『仕える』だけでも厚かましいのに…!!私を抱える事で…あなたは未だに新しい防具も買えずにいるのに!そんな中…どうしてそんな事…言えるのよ…。」
涙をこぼしながら、ミリアはアズに言う。
「そして…何よりもその事を言って…また捨てられたら…。」
そんな彼女のトラウマも手伝って、ミリアの流す涙は止まらなかった。


事実、アズの現状はミリアを抱え出してからまったくHRを上げられずにいた。
狩りをしても掛かる生活費用は2倍だ。どうしてもアズにとっては生活面で後手に回る。
新しい防具や武器は、そんな生活の中ではとても手を出せるものではなかった。
せいぜい出来たとして、今あるバトル一式を強化する位だった。

ミリアも出稼ぎに出たりと生活面で金銭の援助はしてきたが、しかしそれでは武器の一つも買えない。
二人にとって、「現状維持」が精一杯の生活だったのだ。


「あなたは…こんな明日の見えない私に『未来』をくれた。こんな私に『恋』をくれた。生きる『喜び』をくれた。そしてさらに『愛』をくれようとし てくれている…。私は…あなたに何をしてあげたというの…?どんなに尽くしても…あなたに返せる対等のモノなんて、私はあげられない…。」

ミリアはボロボロと涙をこぼした。

涙が止まらない。

「アズ」という男からもらったかけがえのないモノの「対価」を自分は払えない。
さらに…自分が病気だという事に、アズに心配をかける我が身が悔しくて仕方がなかった。

そんな悔しさと、アズからの『愛』を受け取る事が出来ない現状にミリアの涙は止まらなかった。

「そんな…ミリア…。」
そう呟くアズもまた泣いていた。ボロボロと涙をこぼしている。

永遠に続くと思われていたこんな愛のある「主従関係」も、そんなに時を待たずして…消える。

愛する者が消える。
そんな現実に、アズは涙を流すしかなかった。

目の前にいる…ミリアが死ぬ…?
そんな馬鹿な…馬鹿な事があってたまるか。
俺は…どうすればいい。
愛する者を守るために…俺は何をすれば良い。

アズの握りしめていた拳が、さらにぎゅっと強く握りしめられる。



アズは一つの「覚悟」を決める。



死ぬかもしれないが…それしかない。
この装備で…どこまでいけるか…だが、「金」を作るには「上」に登るしかない。

アズはグッと涙を拭くと、ミリアに向かって叫んだ。
「ミリア!!俺が!上に上がってやる!!今はまだ下位だが…上位に行けばもっと金が手に入る!!さらにはG級まで行けば…!!もっと金が手に入る!!そこまでがんばるから!!」

アズはミリアに向かって叫んだ。
ぐっと堪えていた涙が、またその頬を伝う。

「だからお前もがんばれっ!!まだ!諦めちゃ駄目だっ!!!最後まで…一緒にがんばるんだ!!お前の体を治す金くらい…っ!!いくらでも作ってやるから!!…頼むから…生きてくれ…っ!!!」
堪えようとしていたのに、涙が出る。
涙で震えて、上手く喋れない。それでもアズは叫んだ。



「主人の俺からの命令だっ!!俺が稼いできた『金』を使って生きろ!!ミリア!!」



「アズ…アズ!アズ…っ!!」
そんな涙でぐしゃぐしゃなアズの顔を見て、ミリアも涙を堪える事が出来ない。
名前を叫ぶのが精いっぱいだった。
久しぶりに呼ぶ、「主人」の名前。
ミリアはボロボロと涙をこぼした。



この時、今まで生きてきて―――ミリアは初めて感謝した。
今までの悲惨な人生に、「神」を罵りはしてきたが、感謝した事は一度もない。



しかし、初めて感謝した。
このアズの涙でぐしゃぐしゃな顔を見ながら。


ミリアは神に、

――――「この人と巡り合わせてくれてありがとう。」

と。


23

ミリアの『病気』が発覚した後、アズはミリアを医者に診せる事にした。
ミリアは最初「お金がかかるから」と嫌がっていたが、「主人の命令」の一言で渋々と医者の所まで足を運ぶ。

診察を受けたミリアを一旦診療室から出すと、アズと医者だけの二人になる。
そこで改めてアズはミリアの病状を聞いた。
医者からの診断を聞かされて、改めてアズは唇を噛み締めた。


「確かに心臓病だね…。先天性の心疾患だな…。私のような村医者では詳しい病名までは言えないが…このまま放っておいたら…まあ間違いなく死ぬだろう。」
そんな残酷な一言に、アズはぐっと唇を噛みしめる。
そんな痛みで、泣きそうになる自分の涙腺を誤魔化す。
「治すには…どうすれば…。」
アズが医者に聞くと、
「先天性の心疾患にも色々あるが…彼女の場合は恐らく特殊なモノだ。現状の我々の医学では難しい。これは、『西洋』の方で伝えられる医術を頼らないと根本的な治療はできないだろうな…。」
と、医者がため息交じりでそう答えた。

今アズが住んでいる地方は世界で言うならば東洋、西洋で言う所の東洋側に位置する場所だ。
東洋、西洋ともに竜人族によりその医術はその人間独自の文化より大きく発展したが、発展する方向性が違っていて、その治療法もかなり異なる。
東洋は主に「処方」による内的療法が進んだが、西洋は「切開」などによる外的療法が進んでいた。
ミリアの患っていた病気はそんな西洋の外的療法が必要となる、そんな病気だった。

「恐らくだが…まあ隣の、さらに隣国辺りまで行かないと…治せないだろうな。しかしそこまで行くのには…金がかかる…。」
医者はそんな事を言いながら、何やらゴリゴリとすり鉢で薬草や木の実をすり潰している。
「どれ位の費用がかかるか…解るか?」
アズが医者に聞くが、医者はそんなアズの問いに、
「それは私の専門外だからな…旅人にでも聞かん限り解らんよ。」
と、困った顔をした。
「とりあえず、処方箋を出しておくよ。彼女の心臓は今でこそまだ普通に生活できるが、時が経つにつれその鼓動を弱くしていく。それは心不全を誘発する。そうなったら…色々覚悟した方が…いいな。」
医者はそう言うと、「ほれっ」とアズにその手元で擦っていた薬を袋に詰めて渡した。
「持つとして…どれ位…?」
アズは恐る恐る聞く。
ミリアの生きられる『時間』なんてものは、アズ自身聞きたくもないが。
しかし、その猶予を聞かなければ具体的にいつまでに、いくら金を作らなければならないか検討がつかない。
「私の診る限りでは、今の所大丈夫だ。心臓は正常に動いている。普通に生きていても二年は堅いだろう。」
そんな医者の言葉にアズは、
「二年…しか…。」
と、呟く。
「その時間を『長い』と取るか、『短い』と取るかは君次第だ。私も関わった以上は全力を尽くすつもりだ。また、彼女を連れてきなさい。」
医者がそう言うと、アズは頭を下げてその診療所を出て行った。


診療所から出ると、ミリアがアズの所に近づいてきた。
アズはミリアの顔を見て寂しそうに微笑むと、優しく頭を撫でる。
何を思うのか、何を感じているのか。
ミリアを撫でるアズの手は温かく、優しい。

そんなアズの態度で、ミリアも自分の残された時間はそんなに無いのだと悟った。

しかしミリアもアズも。
特に先ほどのアズと医者のやりとりを話そうとも、聞こうともしなかった。

家路につく二人は終始無言のまま、歩調を合わせて歩いている。

アズは隣に感じる、一人の女性を思いながらこれからの事を考えていた。

とにかく…俺が「上」に上がれれば、金が入る。
治療費や旅費を考えると…あまり良い防具や武器は買えないし…どこまで行けるか。
死んだら元も子もないが…やるしかない。


やるしか…ないんだ。


改めて決意するその「覚悟」に、アズは握りしめる拳に力を入れる。
彼女の「明日」を、手に入れるために。



終始無言の家路も、アズの家が見えた所でミリアは口を開いた。


「ねえ『ご主人様』。私…『ハンター』になりたい。」


そんなミリアの一言に、アズは驚いてミリアの方に向く。
「何…言ってるんだ…?そんなの駄目に決まってるだろう!?」
アズは最初、ミリアが何を言ってるのか解らなかった。
ついさっき、自分の「死の宣告」を受けたばかりだと言うのに。

ミリアはアズの方に向いた。
ミリアの瞳が、アズの瞳を捉える。
「私、ずっと思ってたの。もっと…あなたの役に立ちたいって。」

ミリアもまた、今日の診断で「覚悟」を決めた。
私は…この人の役に立ちたい。


そして、ハンターになれば…この人と『対等』になれる。


「どの道、私に『時間』が無いのなら…。私は、少しでもあなたと『対等』になりたい。」

「ミリア…。」
そんなミリアの言葉に、アズは目を見開いた。
この言葉で、アズはなぜミリアがずっと『従者』の態度を崩さなかったのか理解したのだ。

「お願い、ご主人様。…いえ、アズ。私は…あなたの後ろではなく、横を『歩きたい』。」
ミリアの、確固たる意思がその表情から伝わる。

「『対等』だからこそ…私は『あなたを求める』事ができるから。」

アズは悟った。
自分のプロポーズを断られた訳を。
病気の事もあったが、おそらく彼女はそれだけではなく、そんな自身の立場にも苦しんでいたのだ。


ミリアの今の立場ではアズを愛しても、「自らの力」で手に入れることはできない。

『従者』は『主人』に従うのが使命。

それを従順に貫いた、その『従者』が初めて…『主人』に言う我儘だった。


「ミリア…。」
アズは何も言えない。
ミリアが自分を求めてくれる事…しかしそれには自身の「命の炎」を強く燃やさなければいけない事。


ミリアに残された時間は後わずか。
二人で力を合わせれば、間に合うのだろうか。

それは一つの「賭け」だった。


だがしかし、アズ一人で戦うよりは「先」が見えるかもしれない。


アズとミリアの、「集会所」を駆け抜ける戦いが始まった――――。



集会所編8に続く