※注意!!※
・これは俺の完全な自己満足作品です。本当に暇でまあ他にやることないしな…という方だけ読んでいただければーーーー。
・それとやっぱりというか、かなり話の展開がベタベタしてきました。そんな話が大丈夫な人だけ読んでみると良いかもしれません。
・厨二設定が多数含まれております。
~~~~~~~~
~登場人物紹介~
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
補足:三年前以前の記憶がない。村クエ最終の「モンスターハンター」をついにクリアした。
NAME:リオ
HR:9
主な使用武器:大剣、ランス、ガンス
補足:三年前以前の、記憶を失う前のタロと愛し合っていた。
41
そこはどこかの王宮、目の前には豪華な衣装を纏った初老の男が豪華なイスに座っていた。
またしても音がかすれて聞こえない。
どうやら緊張しているようだ。
横にはリオが片膝をついて頭を垂れている。
かすれる音の中に「国王」という単語がいくつも出てきていた所を見ると、どうやら目の前にいる初老の男はわが国の「国王陛下」のようだ。
何かずっと国王が話しているが、それも程なくして言い終わると、リオがこっちを向いている。
そのリオの顔は驚いたような、それでいて悲痛に満ちた顔をしている。
すると、「過去の自分」が急に立ち上がった。
「俺が…行きます。」
そんな事を言っている。
続けてリオも立ちあがると、
「いえ!!私が行きます…!!」
慌てて立ちあがりそう叫んだ。
その後、リオと「過去の自分」が何やら言い争いを始めた。
何か、不穏な空気が流れている。
そんなシーンが少し続くと、映像が不意に次の場面に移った。
そこは大闘技場だった。
太陽も沈み始めた頃、夜の色合いを濃くしたそんな時間。
丁度、さっきまで自分がラージャンと戦っていた、そんな頃。
「過去の自分」は、そんな大闘技場でリオレウスと戦っている。
「これは…『モンスターハンター』…か…?」
正に先ほどまで自分が戦っていたクエストだった。
レウスを見事なまでにあっさりと倒すと、今度はティガレックスが現れた。
ただ、先ほどの自分と違う事が一つ、観客達が誰もいない。
歓声も何もない、ただ「過去の自分」とモンスターの一騎撃ちがそこには流れていた。
モンスターの咆哮、自分の息遣い。
鎧のかすれる音。
ランスがモンスターを貫く音。
そんな音しか聞こえない。
タロはその中で戦う「過去の自分」に孤独感を見た。
先ほどの自分の「モンスターハンター」と比べて、その映像の盛り上がりの無い淡々とした風景も合わせて、そこに映る「過去の自分」は独り寂しそうな印象を受ける。
しかしそんな印象とは別に、映像に映る「過去の自分」のランス捌きは鮮やかだった。
先ほどのタロのような苦戦もないまま、ラージャンを仕留める姿がそこにあった。
「…誰にも知られることもない、栄誉も名声もない…か。」
その映像を見ていて、タロは呟いた。
その後はラージャン戦の時に見た映像と全く一緒なものが流れ始める。
リオとの約束。
「祖龍」との死闘。
その映像が全て流れると、タロの前から映像そのものが消えた。
タロは先ほどから流れていた映像があった場所をじっと眺めている。
どれ位眺めていただろう。
タロがフッとその暗闇から視線を外して俯くと、ぽつりと呟いた。
「なあ。聞いているなら…。俺は…別に構わないぜ?」
タロはそう呟くと、さらに続ける。
「俺は…お前の『祖龍』との戦いを見て…。」
そこまで呟くと、タロは俯いていた頭を上げた。
「お前とリオの…『約束』を果たしてほしいから。」
すると、どこからともなく「声」が聞こえる。
【気にするな。今はそれを『お前』が『決断』する時じゃない。】
「でも…。」
【俺もお前も。】
【『俺』なのだから。】
「…。」
タロがそんな「声」の言葉に黙っていると、また「声」が喋る。
【俺がしゃしゃり出ると、またお前の頭に響く。ほら…そろそろ起こすぞ。】
そこまで聞くと、タロは不意に暗闇から戻された。
目を覚ましたのだ。
42
目を開けると、そこは見知らぬ天井だった。
タロはその初めて見る天井に、今の自分の状況が理解出来ずに思考が止まる。
しばらくその天井をぼうっと眺めていると、横に人の気配を感じて思わず起き上がった。
起き上がりその人の気配の方を見ると、先ほどまで暗闇でずっと見ていた人物がいる。
その人物と思わず目が合うと、しばしタロはその人物の顔をじっと見つめた。
「お、起きたのね。お早う。」
そこにいたのはリオだった。
タロは今まで「映像」として見ていたリオが目の前にいる状況がまるで読めず、声をかけられても無言でまだリオを見つめている。
「な、何よ…。」
リオはずっと見つめるタロに首を傾げると、ぷいっと視線を逸らした。
どうにもじっと見られた事が恥ずかしいようで、視線を泳がせている。
そんなリオを見て、改めてタロはここがどこか確認するように辺りを見回すと、そこは見知らぬ部屋だった。
造りは豪華で、間違いなく自分の家ではない…というのだけは解る。
「ここは…?」
タロがリオに聞いた。見れども見れども、その部屋に覚えはない。そしてなんで横にリオがいるのかも、まるで理解出来なかった。
「ここは大闘技場の特別控え室よ。あなたは『モンスターハンター』のクエスト終了後に倒れてここに運ばれてきたの。」
そうリオが説明すると、タロはやっと自分がついさっきまであの大闘技場で死闘を繰り広げていた事を思い出した。
「ああ…。そうか。倒れたのか。…でも、なんでここにリオがいるんだ?」
リオに見送りを受けて旅立った事を思い出すと、なんで大闘技場の控え室にリオがいるのか理解できなかった。
「あなた…もう三日丸々寝てたのよ…?昨日まであなたが帰ってこないからネコートさんと村長が心配になって、私に様子を見てきてくれって言われてここまで来たの。」
リオはそう言うとタロを見る。
「三日…。」
リオの言葉に唖然とするタロだったが、確かにあの暗闇の中で見た映像の量を思うと、すごく寝ていたような気もした。
「大丈夫なの?聞いたけど、すごい戦いだったって…。」
リオはそう言うとタロに心配そうな顔を向ける。
その顔を見て改めてタロは自分の体が特にどこも痛くない事を自覚した。
ラージャン戦での「頭の激痛」も、不思議とまるで痛くなくなっている。
「ああ…。大丈夫みたいだ。」
頭を軽く振り、痛みもない事を確認するとタロはそう呟いた。
「そう…。良かった。」
リオもタロが平気そうな顔をしているのを見て、ホッと胸を撫で下ろした。
「…。」
タロはそんなリオの顔をぼうっと眺めている。
先ほどまで映像の中で「過去の自分」と恋愛劇を繰り広げていたヒロインを前にして、何をどのように接していいか解らず、今後の自分の身の振り方を考えていたのだ。
俺は「過去の自分」とリオの関係を知ってしまった。
俺は確かにタロだがどうにも「過去の自分」として振る舞うには、見た映像に実感がない。共感こそしたが。
これはリオに対して「過去の自分」を重ね合わせていけばいいのか、それとも普通に振る舞えば良いのか…。
そんな風にリオの顔をじっと見ながら考えこむタロに、リオが不審な者でも見るかのように怪訝な顔をすると、
「何?どうしたの?」
と、眉を片方釣り上げた。
そんなリオの怪訝な顔にタロは慌てて、
「いやいやいや…。なんでもない。」
と、首を振る。
「?」
リオは首を横に傾げたが特にこれ以上は聞いては来なかった。
タロはリオから視線を外し、先ほどまで見ていた映像を思い出しながらポツリと呟いた。
「なあリオ。三年前の俺と、今の俺って…やっぱりなんか違ってたりする?」
そんなタロの質問にリオはびっくりしたような顔をする。
「どうしたの?なんか思い出したの?」
そう聞きながら思わず顔を近づけてくるリオに今度はタロが目を泳がすと、
「え、ああ…まあ。ちょっと…な。」
と、曖昧に答える。
「ちょっと…。何を…何を思い出したって言うのよ?」
思いのほか顔を近づけてその質問に食いついてくるリオに、タロは思わず、
「ちょっと…!!顔が近いいいいーーー!!」
と、顔を赤らめながら叫ぶ。
そんな一言でまだタロが「昔のタロ」ではないと我に返ると、リオもまた恥ずかしそうに顔を離した。
そんなリオの態度を見てタロは改めて映像の中で「過去の自分」と楽しそうに暮らしていたリオを思い出す。
やはりリオは願っているんだな…。「過去の自分」が「帰ってくる」事を。
「過去の自分」はああ言っていたが。
リオには少しでも伝えてあげよう。
―――そんな遠い未来の話ではなく「あいつ」は「帰ってくる」…と。
―――俺の腹は決まっている。
「あ…いや。とにかく。俺とリオが…まあ、そんな関係だったことは…ちょっと思いだしたんだ。」
そんなタロの一言にリオはまたびっくりしたような顔をする。
そんな顔を見つつ、タロは話を続けた。
「ただ…今はまだ。…『昔の俺』がどんな態度で、どんな考えで、どんな風に生きていたのかまでは思い出せないんだ。ただ、過去に何があったかは…なんとなく思い出した。上手く伝えられないけど…そんな感じなんだ。」
タロがどう言って良いか解らず、言葉を選びながら説明する。
「…。」
そんなタロの言葉にリオは黙り込んだ。
リオが黙り込むのを見るとタロは不安そうな顔になるが、さらに口を開いた。
「今は…今は昔の知っている『俺』じゃないかもしれないけど…必ず。必ず思い出すから。」
そこまで言うとタロはまっすぐにリオを見た。
そんな視線を受けてリオもタロを見つめる。
お互いが何を考えて、何を覚悟して、何を待つのか。
お互いがお互いの視線の意味を感じる。
真実を知ることは出来ずとも、真意を感じる事はできる。
「うん…。でも無理しなくて良いよ。」
そう言ってリオは笑った。
「私はおそらく…『あなたも』見てたから。」
そう言うとリオはタロから視線を外した。
リオがそう言って後ろを向く。
そんな言葉に、今度はタロが驚いた顔をした。
「『あなたも』…か。」
タロは先ほどのリオの言葉をそのまま呟くと、嬉しそうな、でもどこか寂しそうな顔をした。
そんなやりとりの後。
お互いが何を思うのか、しばし無言の時が流れる。
そんな静寂を、リオが破った。
「とにかく大丈夫そうなら早くポッケ村に帰りましょ。ネコートさんと村長が待ってるから。」
そんなリオの言葉でタロもハッと我に返った。
「そうだな…。あの二人…一人と一匹にも心配かけてしまったし。」
そう言ってタロはリオを見た。
リオもまたタロを見る。
「帰ろ。ポッケ村へ。」
43
よく晴れた昼下がりのとある日。
あの大闘技場の死闘から数日が経っていた。
あれからポッケ村に帰ったタロ達は今日、この村にはいない。
いつものようにポッケ村の大マカライトの祭壇の前に一匹と一人がのんびりと日向ぼっこでもしているように、その場にたたずんでいた。
「村長。あの二人は…大丈夫かな。ワシはある意味『モンスターハンター』より不安なのだが。」
そう言うとネコートは村長を見た。
「確かにねえ。リオはその手の事に慣れてるから心配ないけどねえ。」
村長は相変わらずニコニコしながら目の前にある焚き火の火の番をしている。
「そうなのだよ。リオは良い。問題はタロの方だ。あやつ、今日みたいな堅苦しい事に慣れてないからな。…いや、ワシの知る限り…初めてか。」
そう思い出すように言うと、ネコートは妙にそわそわしていた。
「要らぬ恥をかかねば良いけどねえ。」
村長も心なしか心配そうな声色だ。
今日、タロとリオは村にはいない。
タロには先日の『モンスターハンター』の上位装備クリアという偉業を、国王から直接労われる事になったのだ。
つまり今日、タロに対してちょっとした式典が執り行われる。
そしてリオの方はこれもまた国王から「今後」について勅令が下るという事で、王宮の方に呼ばれている。
まあつまりの所、今日は二人ともに王宮に呼ばれているのだ。
リオはともかく、タロの方は記憶を失って以降、この手の行事に参加した事が無い。
さらに言えば、今日は直接国王との面会もある。
失礼がないか、ネコートと村長二人ともに心配しているのだ。
ネコートは妙にそわそわしながら、村長の先ほどの言葉に反応した。
「全くだ。要らぬ恥…タロめ、そんなワシの顔に泥を塗るような失敗をしてみろ。もう一度『モンスターハンター』に送り込んでやる。」
そんな呟きとともに、落着きがないように上半身をやたら動かしてあちこちと視点をさまよわせている。
「まあでも…リオがエスコートしてくれるさね。あんたも少し落ち着きなさいな。」
村長は先ほどから落ち着かないネコートに声をかけた。
「リオのエスコートか…。それはそれで頼もしいが…。それはそれでタロも情けないな。」
村長の言葉をそのまま想像して、ネコートは笑う。どうにも今の二人にはそんなやりとりが容易に想像できたからだ。
「しかし…あのクエストをこなせば何かあの二人に進展があるかと思えば…。タロのヤツめ、一向にリオへの態度が変わらんとは…何をやっとるんだ、あの二人は…。」
村長の発言で先ほどの心配から意識の先が二人の仲の事へと移ったネコートは、そこでも落ち着かないようだ。
どうにもどこまで行ってもネコートにとってあの二人は、心配の種でしかないらしい。
「それでも…あの二人は進んでるさ。ちょっとづつだけどねえ。」
そんなネコートの呟きに、村長は笑いながら答える。
「ふむ…。まあ二人が良しとするなら…良いのかもしれんな…。」
人間の事は猫には解らん、とでも言うようにネコートは言う。
そろそろ、タロの式典の始まる時間だ。
44
「はあああっくしょーーい。」
タロが「噂の元」のお決まりであるクシャミを豪快にかますと、隣にいるリオがタロに思わず注意する。
「ちょっと!!間違っても国王様の前でそんなくしゃみしないでよ!?」
あまりにも遠慮のないくしゃみにリオは少し心配した。
ここは王都にある王宮、謁見の間。
大闘技場にも設置されていたが、そんな大闘技場の比ではい広さを誇る王宮の謁見の間の扉の前に、今二人はいた。
リオは「ハンター」の「正装」として、今はシルバーソルZ一式を着ている。
特に「ハンター」はこんな時の服装は決められていないが、やはり自身のハンターランクやそのハンターとしての称号とでも言うように、ここぞとばかりに「良い鎧」一式を着る。
さて今回の式典の主役タロといえば、フルフルS一式だった。
ただ今回は国王の御前に立つため、頭装備は外してある。
どうにもタロが今持つ鎧では一番妥当な鎧はこれしかなかったのだ。
「あなたそれ普段着じゃない!!」
リオが思わず叫んでいたが、かと言ってこれ以外は下位装備になってしまう。
この前のクエストで使ったギザミS一式はこの前のクエストで血だらけにしてしまい、数日経った今まだタロの自室に陰干し中だ。
二人、特にタロの方は妙にそわそわして辺りをキョロキョロしている。
そろそろ謁見の間に入場という時間になり、タロは急に緊張してきたようだ。
そんな落ち着きのないタロの脇腹をリオは肘でゴツくと、タロはやっとビッと姿勢を正して、扉が開くのを待った。
そして遂に目の前の扉が開く。
目の前にあった両開きの大きな扉がなんの軋みの音も立てず開かれると、タロはその扉の向こう側の風景に圧倒された。
目の前にある中央の絨毯を挟むような形で、数百という兵士達が全員同一の鎧に身を固めて寸分違わず整列していたのだ。
さすがにこの風景はリオも驚いたようだが、それでも背筋を伸ばすと悠然と歩きだす。
それに付いて行くような感じでタロも歩きだすが、数百という兵士達の前に圧倒されると自然とその歩みも恐縮していく。
目線をどこに定めていいか解らず猫背気味に下に俯いて歩こうとしたタロに、リオはそのタロの尻辺りをパシンっと叩くと、やっとタロは背筋を伸ばして歩きだした。
村長の言っていた「リオのエスコート」はやはり優秀だったようだ。
そして二人がそんな兵士の前を歩いて行くと、その前に一人の初老の男が豪華なイスに座っている。
国王ミルザだ。
そしてその傍らに国王の直属部隊隊長のアルトも立っている。
二人はそこまで行くと片膝を付き、頭を垂れた。
「うむ。二人とも面を上げよ。…久しいなリオよ。」
国王はまずリオに話しかけた。
「はい。国王様もご機嫌麗しく。」
そう言ってリオも笑う。
「貴殿には色々世話になっているが…お主にも前々から伝えてあるように、またしても今日はお主に一つ依頼を頼もうと思っておる。」
ミルザはリオを見てそう言った。
「はい。国王様自らの勅命、なんなりとお申し付けくださいませ。喜んでお受けいたしますわ。」
リオは笑顔でそう言うと、国王を見た。
「ははは、まだ何も言い渡しておらんと言うに。…いつもすまんな。」
ミルザはリオの顔を見て微笑むと、今度はタロに顔を向ける。
「さて…タロよ。」
ミルザはタロに話しかけると、タロと目を合わせた。
「はっ。」
タロは恐縮して思わず頭を下げる。
「先日の『モンスターハンター』、見事であった。」
「もったいなきお言葉。…ありがとうございます。」
タロは緊張して中々言葉が出てこなかった。
頭の中でタロは早く終わってほしいと願うばかりだ。
そんな緊張するタロを見て、国王は微笑むと、
「アルト、例のモノを。」
と、傍らにいるアルトを促す。
アルトは手に持っていた一枚の紙を国王に渡すと、すぐに先ほど立っていた位置に戻った。
ミルザはその紙に目を通すと、タロを改めて見た。
「タロよ、表を上げい。」
「はっ。」
言われたタロはそう言って国王を見る。
「貴殿のハンターとしての技術、技量、そして勇気…本当に見事であった。お主にこれを託す。」
そう言うと一枚の紙をタロに差し出した。
恐縮そうにタロはその紙を受け取る。
その紙は国王自らの直筆によるタロの栄誉と栄光、そして偉大な業績を称えた一枚の紙。
最後の一文にこう書かれている。
「勇気の証」と。
タロがそんな国王自らの直筆の紙に恐縮しながら目を通していると、国王がアルトに視線を向ける。
その視線の意図を酌んだアルトは国王に一礼すると、一歩前に出て謁見の間の兵士たちに声を出した。
「構えよ!!!」
そう謁見の間に響き渡るように命令すると、そこにいた数百の兵士達が一斉に腰に装備していた細身の剣を抜く。それを今度は胸の前に剣先が上に来るように構える。
数百の兵士たちの寸分違わぬ一連の流れにタロとリオは圧倒された。
その構えを数百の兵士が取り終えると、国王もこの謁見の間に響き渡る音量で語りだす。
「今より、タロ・ライド、リオ・アズベル両二名に勅命を言い渡す。」
そこまで言うと国王は改めてタロとリオを交互に見た。
「タロはこれより持てる力全てを出し、急いでHRを最高位にまで上げよ!リオ、お主はタロが速やかにHRが最高位に上がるよう補佐に全力を尽くせ!!そして両二名の『ハンター』としての威厳にかけて来たる『災い』に備えよ!」
その国王の勅令に二人は声をあげて答える。
「はっ!!」
そのやり取りを見ていたアルトがまた声を上げる。
「掲げよ!!!」
そう命令すると、数百の兵士達は寸分違わず一斉に剣を上に掲げる。
「この者たちに神のご加護を!!」
アルトがそう叫ぶと、兵士たちが一斉に声を上げる。
オオーーーッ!!!
数百の兵士達の声がこの謁見の間にこだました。
「この者たちに神の祝福を!!」
またアルトが叫ぶ。
オオーーーーッ!!!
「この者たちに武運を!!」
オオオーーーーーーーー!!!
アルトがここまで言うと、兵士達は声をさらに張り上げる。
そしてそのままその掛け声が歓声に変わった。
数百という兵士達が、今度はタロに改めて歓声を上げたのだ。
ここにいる兵士達全員が知っていた。
タロが成し遂げた「モンスターハンター」という死闘を。
改めて兵士達より歓声を受けたタロは謁見の間に響く大音量に圧倒されたが。
やがて、照れくさそうに笑った。
45
とある小さな村で、一つの奇妙な噂が流れた。
その村人の一人が「神」を見たという。
その村の近くには、いつの頃に建てられたのか解らない、一つの古塔が建っている。
誰が、なんの目的で経てたのかは解らないが、その古塔はその村にとって神聖な場所として崇められていた。
そんな古塔に、「神」が出現したというのだ。
村人はその古塔の頂上に見たという。
「白き光と共に落雷を落とした。」場面を。
村人は見たのだ。
「白き龍」を。
いつしか「伝説」となった古の龍。
何千年という時の中で、その目撃例が非常に少ない事から、いつしか人々の間ではおとぎ話として語られるようになった「白き龍」。
『災い』が動き出していた――――。
~愛の物語~第二部 「集会所」編に続く
・これは俺の完全な自己満足作品です。本当に暇でまあ他にやることないしな…という方だけ読んでいただければーーーー。
・それとやっぱりというか、かなり話の展開がベタベタしてきました。そんな話が大丈夫な人だけ読んでみると良いかもしれません。
・厨二設定が多数含まれております。
~~~~~~~~
~登場人物紹介~
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
補足:三年前以前の記憶がない。村クエ最終の「モンスターハンター」をついにクリアした。
NAME:リオ
HR:9
主な使用武器:大剣、ランス、ガンス
補足:三年前以前の、記憶を失う前のタロと愛し合っていた。
41
そこはどこかの王宮、目の前には豪華な衣装を纏った初老の男が豪華なイスに座っていた。
またしても音がかすれて聞こえない。
どうやら緊張しているようだ。
横にはリオが片膝をついて頭を垂れている。
かすれる音の中に「国王」という単語がいくつも出てきていた所を見ると、どうやら目の前にいる初老の男はわが国の「国王陛下」のようだ。
何かずっと国王が話しているが、それも程なくして言い終わると、リオがこっちを向いている。
そのリオの顔は驚いたような、それでいて悲痛に満ちた顔をしている。
すると、「過去の自分」が急に立ち上がった。
「俺が…行きます。」
そんな事を言っている。
続けてリオも立ちあがると、
「いえ!!私が行きます…!!」
慌てて立ちあがりそう叫んだ。
その後、リオと「過去の自分」が何やら言い争いを始めた。
何か、不穏な空気が流れている。
そんなシーンが少し続くと、映像が不意に次の場面に移った。
そこは大闘技場だった。
太陽も沈み始めた頃、夜の色合いを濃くしたそんな時間。
丁度、さっきまで自分がラージャンと戦っていた、そんな頃。
「過去の自分」は、そんな大闘技場でリオレウスと戦っている。
「これは…『モンスターハンター』…か…?」
正に先ほどまで自分が戦っていたクエストだった。
レウスを見事なまでにあっさりと倒すと、今度はティガレックスが現れた。
ただ、先ほどの自分と違う事が一つ、観客達が誰もいない。
歓声も何もない、ただ「過去の自分」とモンスターの一騎撃ちがそこには流れていた。
モンスターの咆哮、自分の息遣い。
鎧のかすれる音。
ランスがモンスターを貫く音。
そんな音しか聞こえない。
タロはその中で戦う「過去の自分」に孤独感を見た。
先ほどの自分の「モンスターハンター」と比べて、その映像の盛り上がりの無い淡々とした風景も合わせて、そこに映る「過去の自分」は独り寂しそうな印象を受ける。
しかしそんな印象とは別に、映像に映る「過去の自分」のランス捌きは鮮やかだった。
先ほどのタロのような苦戦もないまま、ラージャンを仕留める姿がそこにあった。
「…誰にも知られることもない、栄誉も名声もない…か。」
その映像を見ていて、タロは呟いた。
その後はラージャン戦の時に見た映像と全く一緒なものが流れ始める。
リオとの約束。
「祖龍」との死闘。
その映像が全て流れると、タロの前から映像そのものが消えた。
タロは先ほどから流れていた映像があった場所をじっと眺めている。
どれ位眺めていただろう。
タロがフッとその暗闇から視線を外して俯くと、ぽつりと呟いた。
「なあ。聞いているなら…。俺は…別に構わないぜ?」
タロはそう呟くと、さらに続ける。
「俺は…お前の『祖龍』との戦いを見て…。」
そこまで呟くと、タロは俯いていた頭を上げた。
「お前とリオの…『約束』を果たしてほしいから。」
すると、どこからともなく「声」が聞こえる。
【気にするな。今はそれを『お前』が『決断』する時じゃない。】
「でも…。」
【俺もお前も。】
【『俺』なのだから。】
「…。」
タロがそんな「声」の言葉に黙っていると、また「声」が喋る。
【俺がしゃしゃり出ると、またお前の頭に響く。ほら…そろそろ起こすぞ。】
そこまで聞くと、タロは不意に暗闇から戻された。
目を覚ましたのだ。
42
目を開けると、そこは見知らぬ天井だった。
タロはその初めて見る天井に、今の自分の状況が理解出来ずに思考が止まる。
しばらくその天井をぼうっと眺めていると、横に人の気配を感じて思わず起き上がった。
起き上がりその人の気配の方を見ると、先ほどまで暗闇でずっと見ていた人物がいる。
その人物と思わず目が合うと、しばしタロはその人物の顔をじっと見つめた。
「お、起きたのね。お早う。」
そこにいたのはリオだった。
タロは今まで「映像」として見ていたリオが目の前にいる状況がまるで読めず、声をかけられても無言でまだリオを見つめている。
「な、何よ…。」
リオはずっと見つめるタロに首を傾げると、ぷいっと視線を逸らした。
どうにもじっと見られた事が恥ずかしいようで、視線を泳がせている。
そんなリオを見て、改めてタロはここがどこか確認するように辺りを見回すと、そこは見知らぬ部屋だった。
造りは豪華で、間違いなく自分の家ではない…というのだけは解る。
「ここは…?」
タロがリオに聞いた。見れども見れども、その部屋に覚えはない。そしてなんで横にリオがいるのかも、まるで理解出来なかった。
「ここは大闘技場の特別控え室よ。あなたは『モンスターハンター』のクエスト終了後に倒れてここに運ばれてきたの。」
そうリオが説明すると、タロはやっと自分がついさっきまであの大闘技場で死闘を繰り広げていた事を思い出した。
「ああ…。そうか。倒れたのか。…でも、なんでここにリオがいるんだ?」
リオに見送りを受けて旅立った事を思い出すと、なんで大闘技場の控え室にリオがいるのか理解できなかった。
「あなた…もう三日丸々寝てたのよ…?昨日まであなたが帰ってこないからネコートさんと村長が心配になって、私に様子を見てきてくれって言われてここまで来たの。」
リオはそう言うとタロを見る。
「三日…。」
リオの言葉に唖然とするタロだったが、確かにあの暗闇の中で見た映像の量を思うと、すごく寝ていたような気もした。
「大丈夫なの?聞いたけど、すごい戦いだったって…。」
リオはそう言うとタロに心配そうな顔を向ける。
その顔を見て改めてタロは自分の体が特にどこも痛くない事を自覚した。
ラージャン戦での「頭の激痛」も、不思議とまるで痛くなくなっている。
「ああ…。大丈夫みたいだ。」
頭を軽く振り、痛みもない事を確認するとタロはそう呟いた。
「そう…。良かった。」
リオもタロが平気そうな顔をしているのを見て、ホッと胸を撫で下ろした。
「…。」
タロはそんなリオの顔をぼうっと眺めている。
先ほどまで映像の中で「過去の自分」と恋愛劇を繰り広げていたヒロインを前にして、何をどのように接していいか解らず、今後の自分の身の振り方を考えていたのだ。
俺は「過去の自分」とリオの関係を知ってしまった。
俺は確かにタロだがどうにも「過去の自分」として振る舞うには、見た映像に実感がない。共感こそしたが。
これはリオに対して「過去の自分」を重ね合わせていけばいいのか、それとも普通に振る舞えば良いのか…。
そんな風にリオの顔をじっと見ながら考えこむタロに、リオが不審な者でも見るかのように怪訝な顔をすると、
「何?どうしたの?」
と、眉を片方釣り上げた。
そんなリオの怪訝な顔にタロは慌てて、
「いやいやいや…。なんでもない。」
と、首を振る。
「?」
リオは首を横に傾げたが特にこれ以上は聞いては来なかった。
タロはリオから視線を外し、先ほどまで見ていた映像を思い出しながらポツリと呟いた。
「なあリオ。三年前の俺と、今の俺って…やっぱりなんか違ってたりする?」
そんなタロの質問にリオはびっくりしたような顔をする。
「どうしたの?なんか思い出したの?」
そう聞きながら思わず顔を近づけてくるリオに今度はタロが目を泳がすと、
「え、ああ…まあ。ちょっと…な。」
と、曖昧に答える。
「ちょっと…。何を…何を思い出したって言うのよ?」
思いのほか顔を近づけてその質問に食いついてくるリオに、タロは思わず、
「ちょっと…!!顔が近いいいいーーー!!」
と、顔を赤らめながら叫ぶ。
そんな一言でまだタロが「昔のタロ」ではないと我に返ると、リオもまた恥ずかしそうに顔を離した。
そんなリオの態度を見てタロは改めて映像の中で「過去の自分」と楽しそうに暮らしていたリオを思い出す。
やはりリオは願っているんだな…。「過去の自分」が「帰ってくる」事を。
「過去の自分」はああ言っていたが。
リオには少しでも伝えてあげよう。
―――そんな遠い未来の話ではなく「あいつ」は「帰ってくる」…と。
―――俺の腹は決まっている。
「あ…いや。とにかく。俺とリオが…まあ、そんな関係だったことは…ちょっと思いだしたんだ。」
そんなタロの一言にリオはまたびっくりしたような顔をする。
そんな顔を見つつ、タロは話を続けた。
「ただ…今はまだ。…『昔の俺』がどんな態度で、どんな考えで、どんな風に生きていたのかまでは思い出せないんだ。ただ、過去に何があったかは…なんとなく思い出した。上手く伝えられないけど…そんな感じなんだ。」
タロがどう言って良いか解らず、言葉を選びながら説明する。
「…。」
そんなタロの言葉にリオは黙り込んだ。
リオが黙り込むのを見るとタロは不安そうな顔になるが、さらに口を開いた。
「今は…今は昔の知っている『俺』じゃないかもしれないけど…必ず。必ず思い出すから。」
そこまで言うとタロはまっすぐにリオを見た。
そんな視線を受けてリオもタロを見つめる。
お互いが何を考えて、何を覚悟して、何を待つのか。
お互いがお互いの視線の意味を感じる。
真実を知ることは出来ずとも、真意を感じる事はできる。
「うん…。でも無理しなくて良いよ。」
そう言ってリオは笑った。
「私はおそらく…『あなたも』見てたから。」
そう言うとリオはタロから視線を外した。
リオがそう言って後ろを向く。
そんな言葉に、今度はタロが驚いた顔をした。
「『あなたも』…か。」
タロは先ほどのリオの言葉をそのまま呟くと、嬉しそうな、でもどこか寂しそうな顔をした。
そんなやりとりの後。
お互いが何を思うのか、しばし無言の時が流れる。
そんな静寂を、リオが破った。
「とにかく大丈夫そうなら早くポッケ村に帰りましょ。ネコートさんと村長が待ってるから。」
そんなリオの言葉でタロもハッと我に返った。
「そうだな…。あの二人…一人と一匹にも心配かけてしまったし。」
そう言ってタロはリオを見た。
リオもまたタロを見る。
「帰ろ。ポッケ村へ。」
43
よく晴れた昼下がりのとある日。
あの大闘技場の死闘から数日が経っていた。
あれからポッケ村に帰ったタロ達は今日、この村にはいない。
いつものようにポッケ村の大マカライトの祭壇の前に一匹と一人がのんびりと日向ぼっこでもしているように、その場にたたずんでいた。
「村長。あの二人は…大丈夫かな。ワシはある意味『モンスターハンター』より不安なのだが。」
そう言うとネコートは村長を見た。
「確かにねえ。リオはその手の事に慣れてるから心配ないけどねえ。」
村長は相変わらずニコニコしながら目の前にある焚き火の火の番をしている。
「そうなのだよ。リオは良い。問題はタロの方だ。あやつ、今日みたいな堅苦しい事に慣れてないからな。…いや、ワシの知る限り…初めてか。」
そう思い出すように言うと、ネコートは妙にそわそわしていた。
「要らぬ恥をかかねば良いけどねえ。」
村長も心なしか心配そうな声色だ。
今日、タロとリオは村にはいない。
タロには先日の『モンスターハンター』の上位装備クリアという偉業を、国王から直接労われる事になったのだ。
つまり今日、タロに対してちょっとした式典が執り行われる。
そしてリオの方はこれもまた国王から「今後」について勅令が下るという事で、王宮の方に呼ばれている。
まあつまりの所、今日は二人ともに王宮に呼ばれているのだ。
リオはともかく、タロの方は記憶を失って以降、この手の行事に参加した事が無い。
さらに言えば、今日は直接国王との面会もある。
失礼がないか、ネコートと村長二人ともに心配しているのだ。
ネコートは妙にそわそわしながら、村長の先ほどの言葉に反応した。
「全くだ。要らぬ恥…タロめ、そんなワシの顔に泥を塗るような失敗をしてみろ。もう一度『モンスターハンター』に送り込んでやる。」
そんな呟きとともに、落着きがないように上半身をやたら動かしてあちこちと視点をさまよわせている。
「まあでも…リオがエスコートしてくれるさね。あんたも少し落ち着きなさいな。」
村長は先ほどから落ち着かないネコートに声をかけた。
「リオのエスコートか…。それはそれで頼もしいが…。それはそれでタロも情けないな。」
村長の言葉をそのまま想像して、ネコートは笑う。どうにも今の二人にはそんなやりとりが容易に想像できたからだ。
「しかし…あのクエストをこなせば何かあの二人に進展があるかと思えば…。タロのヤツめ、一向にリオへの態度が変わらんとは…何をやっとるんだ、あの二人は…。」
村長の発言で先ほどの心配から意識の先が二人の仲の事へと移ったネコートは、そこでも落ち着かないようだ。
どうにもどこまで行ってもネコートにとってあの二人は、心配の種でしかないらしい。
「それでも…あの二人は進んでるさ。ちょっとづつだけどねえ。」
そんなネコートの呟きに、村長は笑いながら答える。
「ふむ…。まあ二人が良しとするなら…良いのかもしれんな…。」
人間の事は猫には解らん、とでも言うようにネコートは言う。
そろそろ、タロの式典の始まる時間だ。
44
「はあああっくしょーーい。」
タロが「噂の元」のお決まりであるクシャミを豪快にかますと、隣にいるリオがタロに思わず注意する。
「ちょっと!!間違っても国王様の前でそんなくしゃみしないでよ!?」
あまりにも遠慮のないくしゃみにリオは少し心配した。
ここは王都にある王宮、謁見の間。
大闘技場にも設置されていたが、そんな大闘技場の比ではい広さを誇る王宮の謁見の間の扉の前に、今二人はいた。
リオは「ハンター」の「正装」として、今はシルバーソルZ一式を着ている。
特に「ハンター」はこんな時の服装は決められていないが、やはり自身のハンターランクやそのハンターとしての称号とでも言うように、ここぞとばかりに「良い鎧」一式を着る。
さて今回の式典の主役タロといえば、フルフルS一式だった。
ただ今回は国王の御前に立つため、頭装備は外してある。
どうにもタロが今持つ鎧では一番妥当な鎧はこれしかなかったのだ。
「あなたそれ普段着じゃない!!」
リオが思わず叫んでいたが、かと言ってこれ以外は下位装備になってしまう。
この前のクエストで使ったギザミS一式はこの前のクエストで血だらけにしてしまい、数日経った今まだタロの自室に陰干し中だ。
二人、特にタロの方は妙にそわそわして辺りをキョロキョロしている。
そろそろ謁見の間に入場という時間になり、タロは急に緊張してきたようだ。
そんな落ち着きのないタロの脇腹をリオは肘でゴツくと、タロはやっとビッと姿勢を正して、扉が開くのを待った。
そして遂に目の前の扉が開く。
目の前にあった両開きの大きな扉がなんの軋みの音も立てず開かれると、タロはその扉の向こう側の風景に圧倒された。
目の前にある中央の絨毯を挟むような形で、数百という兵士達が全員同一の鎧に身を固めて寸分違わず整列していたのだ。
さすがにこの風景はリオも驚いたようだが、それでも背筋を伸ばすと悠然と歩きだす。
それに付いて行くような感じでタロも歩きだすが、数百という兵士達の前に圧倒されると自然とその歩みも恐縮していく。
目線をどこに定めていいか解らず猫背気味に下に俯いて歩こうとしたタロに、リオはそのタロの尻辺りをパシンっと叩くと、やっとタロは背筋を伸ばして歩きだした。
村長の言っていた「リオのエスコート」はやはり優秀だったようだ。
そして二人がそんな兵士の前を歩いて行くと、その前に一人の初老の男が豪華なイスに座っている。
国王ミルザだ。
そしてその傍らに国王の直属部隊隊長のアルトも立っている。
二人はそこまで行くと片膝を付き、頭を垂れた。
「うむ。二人とも面を上げよ。…久しいなリオよ。」
国王はまずリオに話しかけた。
「はい。国王様もご機嫌麗しく。」
そう言ってリオも笑う。
「貴殿には色々世話になっているが…お主にも前々から伝えてあるように、またしても今日はお主に一つ依頼を頼もうと思っておる。」
ミルザはリオを見てそう言った。
「はい。国王様自らの勅命、なんなりとお申し付けくださいませ。喜んでお受けいたしますわ。」
リオは笑顔でそう言うと、国王を見た。
「ははは、まだ何も言い渡しておらんと言うに。…いつもすまんな。」
ミルザはリオの顔を見て微笑むと、今度はタロに顔を向ける。
「さて…タロよ。」
ミルザはタロに話しかけると、タロと目を合わせた。
「はっ。」
タロは恐縮して思わず頭を下げる。
「先日の『モンスターハンター』、見事であった。」
「もったいなきお言葉。…ありがとうございます。」
タロは緊張して中々言葉が出てこなかった。
頭の中でタロは早く終わってほしいと願うばかりだ。
そんな緊張するタロを見て、国王は微笑むと、
「アルト、例のモノを。」
と、傍らにいるアルトを促す。
アルトは手に持っていた一枚の紙を国王に渡すと、すぐに先ほど立っていた位置に戻った。
ミルザはその紙に目を通すと、タロを改めて見た。
「タロよ、表を上げい。」
「はっ。」
言われたタロはそう言って国王を見る。
「貴殿のハンターとしての技術、技量、そして勇気…本当に見事であった。お主にこれを託す。」
そう言うと一枚の紙をタロに差し出した。
恐縮そうにタロはその紙を受け取る。
その紙は国王自らの直筆によるタロの栄誉と栄光、そして偉大な業績を称えた一枚の紙。
最後の一文にこう書かれている。
「勇気の証」と。
タロがそんな国王自らの直筆の紙に恐縮しながら目を通していると、国王がアルトに視線を向ける。
その視線の意図を酌んだアルトは国王に一礼すると、一歩前に出て謁見の間の兵士たちに声を出した。
「構えよ!!!」
そう謁見の間に響き渡るように命令すると、そこにいた数百の兵士達が一斉に腰に装備していた細身の剣を抜く。それを今度は胸の前に剣先が上に来るように構える。
数百の兵士たちの寸分違わぬ一連の流れにタロとリオは圧倒された。
その構えを数百の兵士が取り終えると、国王もこの謁見の間に響き渡る音量で語りだす。
「今より、タロ・ライド、リオ・アズベル両二名に勅命を言い渡す。」
そこまで言うと国王は改めてタロとリオを交互に見た。
「タロはこれより持てる力全てを出し、急いでHRを最高位にまで上げよ!リオ、お主はタロが速やかにHRが最高位に上がるよう補佐に全力を尽くせ!!そして両二名の『ハンター』としての威厳にかけて来たる『災い』に備えよ!」
その国王の勅令に二人は声をあげて答える。
「はっ!!」
そのやり取りを見ていたアルトがまた声を上げる。
「掲げよ!!!」
そう命令すると、数百の兵士達は寸分違わず一斉に剣を上に掲げる。
「この者たちに神のご加護を!!」
アルトがそう叫ぶと、兵士たちが一斉に声を上げる。
オオーーーッ!!!
数百の兵士達の声がこの謁見の間にこだました。
「この者たちに神の祝福を!!」
またアルトが叫ぶ。
オオーーーーッ!!!
「この者たちに武運を!!」
オオオーーーーーーーー!!!
アルトがここまで言うと、兵士達は声をさらに張り上げる。
そしてそのままその掛け声が歓声に変わった。
数百という兵士達が、今度はタロに改めて歓声を上げたのだ。
ここにいる兵士達全員が知っていた。
タロが成し遂げた「モンスターハンター」という死闘を。
改めて兵士達より歓声を受けたタロは謁見の間に響く大音量に圧倒されたが。
やがて、照れくさそうに笑った。
45
とある小さな村で、一つの奇妙な噂が流れた。
その村人の一人が「神」を見たという。
その村の近くには、いつの頃に建てられたのか解らない、一つの古塔が建っている。
誰が、なんの目的で経てたのかは解らないが、その古塔はその村にとって神聖な場所として崇められていた。
そんな古塔に、「神」が出現したというのだ。
村人はその古塔の頂上に見たという。
「白き光と共に落雷を落とした。」場面を。
村人は見たのだ。
「白き龍」を。
いつしか「伝説」となった古の龍。
何千年という時の中で、その目撃例が非常に少ない事から、いつしか人々の間ではおとぎ話として語られるようになった「白き龍」。
『災い』が動き出していた――――。
~愛の物語~第二部 「集会所」編に続く