※注意!!※
・これは俺の完全な自己満足作品です。本当に暇でまあ他にやることないしな…という方だけ読んでいただければーーーー。
・それとやっぱりというか、かなり話の展開がベタベタしてきました。そんな話が大丈夫な人だけ読んでみると良いかもしれません。
・厨二設定が多数含まれております。


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~登場人物紹介~

NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス

小説モンスターハンター ~愛の物語~


補足:三年前以前の記憶がない。村クエ最終の「モンスターハンター」をついにクリアした。

NAME:リオ
HR:9
主な使用武器:大剣、ランス、ガンス

小説モンスターハンター ~愛の物語~


補足:三年前以前の、記憶を失う前のタロと愛し合っていた。


~タロ・MH編ステータス~

武器:ヒドゥンスティンガー
頭:ギザミSヘルム
胴:ギザミSメイル
腕:ギザミSアーム
腰:ギザミSフォールド
脚:ギザミSグリーヴ

発動スキル
攻撃力UP【中】
砥石使用高速化
切れ味レベル+1


~オトモアイルー・カク~

初代旦那さん:タロ
オトモLV:18
攻撃力:306
防御力:155
なつき度:☆☆☆☆☆
毛並み:黒メラ
性格:武器一筋
攻撃系統:切断
攻撃傾向:武器のみ

オトモスキル
回復笛の術
真・回復笛の術
ぶんどり術



36

その場にいた観客達は一瞬何が起こったのか解らなかった。
ラージャンの吐きだしたビームの大きさに気を取られ、タロから視線を外していたのだ。
大闘技場の全員がそのビームが急に途絶えた所で、言葉を失った。
闘技場全員が一斉にビームの途切れたラージャンを見る。

ラージャンはかすかな咆哮とともに腕を上げると、そこに倒れ込んだ。

闘技場全体が静まり返る。
全員が動かなくなったラージャンを凝視していた。

誰も声を出す事が出来ない。
タロが勝ったという「勝利の歓声」を出そうとするも、闘技場の誰一人として「ラージャンが沈んだ」という確信を持てる者がいなかった。

それ程までに壮絶な戦いだったのだ。

しかし、そんな静寂を打ち破った者が一人いた。
「タローーーー!!!!良くやった!!!!」
そんな叫び声とともに、二つの拍手が闘技場の「謁見の間」のバルコニーから聞こえる。
観客全員が思わずその方向をむいた。
叫んだのはアルトだ。国王直属部隊隊長と国王ミルザが、これでもかと言わんばかりの惜しみない拍手をしている。
「おい…国王様と…アルト隊長じゃないか…。」
観客の誰かが呟いた。

そこで観客全員が「終わった」のだと確信した。

「終わった…。…やった…。」
「…勝った…。アイツ…勝ちやがった…!!!」
「勝ったあああああーーーーーーーーーー!!!!」

観客の誰かが叫んだ。

わああああああああああああああああああああーーーーーーーーーー!!!!

それを合図と言わんばかりに、一斉に「大歓声」とともに観客全員が立ち上がった。
大闘技場が遂に今日4回目の、最後の「大歓声」に轟いたのだ。

もちろん言うまでもない、本日最高の音量による「大歓声」だ。

闘技場全員が待ち望んだタロの勝利。
前人未到の「上位装備」での「勇者」の誕生。
大闘技場が大きく揺れる。
観客達はタロの生還と無事も合わせて願っていただけに、これ以上戦うことはないという安堵から、上げる歓声に惜しみがない。
当然、この大歓声は今日一番のモノだった。

小説モンスターハンター ~愛の物語~


「終わった…のか…?」
タロはこの歓声を聞きながら、そんな呟きをもらした。
オトモのカクはタロの所に走ってくると、タロに抱きつく。
「旦那さん!!旦那さん!!旦那さーーーーん!!!」
半べそを掻きながら飛び込んでくるカクをタロは思わず抱きとめようとするが、体の全身の痛みで、胸に飛び込んでくるカクを落っことした。
「あぎゃっ!!!」
そんな叫びと共にカクは地面に落ちるが、それでも気にせずカクはタロの方に向くと、目に涙を一杯溜めていた。
「旦那さん死ぬかと思ったニャ!!本当に死んじゃうかと思ったニャーーーーー!!!」
タロの顔を見ると、今まで我慢していたとでもいうように突然泣き出す。
タロはそんなオトモのカクの頭に手を置くと、
「死ぬものか。…約束、したしな。」
そう言ってほほ笑む。
「?」
タロの呟きの意味が解らなかったカクは首を傾げるが、それも一瞬の事で今度はタロの脚にしがみ付くとニャーニャー泣きだした。

タロはそんなカクに笑うと、改めて大闘技場を見回す。
今まで気が付かなかった大闘技場の歓声がタロの耳に入ってくる。
タロはそんな声援に目をつぶり、改めてこのクエストをこなしたのだと実感した。


そしてそのまま。

もう限界だといわんばかりに。

タロはゆっくりと大闘技場に倒れ込んだ。


観客達全員が闘技場で倒れるタロに目を向ける。
そのまま動かないタロに、大闘技場内の観客達は悲鳴を上げた。
先ほどの大歓声とは一変、その場に騒然とした空気が流れる。

すぐに闘技場に数人の兵士が入ってきた。
その兵士達がタロに対して色々と触ったり声をかけたりすると、ゆっくりとタロは手を上げた。
タロの手を上げる姿を確認した兵士と観客達はホッと安堵の息を付くと、兵士たちはそのままタロを担架に乗せると大闘技場の入口に運ぶ。

観客達はタロが闘技場から退場するのだと解ると、改めて大きな拍手とともに大歓声をもってタロを見送った。

長きに渡る「上位装備」でのタロの「モンスターハンター」も幕を閉じる。
タロが担架で運ばれていった後も、大闘技場の歓声はいつまでも鳴り止まなかった。


ここに、一つの「勇者」が生まれる。
「タロ・ライド」という男の名が、世に知れ渡った瞬間だった――――。

小説モンスターハンター ~愛の物語~



37

大闘技場の門番として警護をしていたアズとグスタは、最後の大歓声を聞いた瞬間、お互いが目を合わせた。

「おい…!!これって…!!!!」
アズがその大歓声を聞きながら、自然と顔がほころぶ。
「ああ…。ああ…!!やりやがった…!!!アイツ、やりやがった…っ!!!」
そんなアズの顔に釣られる様に、グスタの顔も笑顔になる。

丁度二人がタロの勝利に確信したその時に、大闘技場から一人の兵士が走ってきた。
「おい!!今大闘技場ですごい事をやってのけた奴がいるぞ…!!!」
タロの偉業を話したくて仕方がない兵士が、門番でその場から離れられないアズとグスタに報告にきたのだ。
「やったんだろ!?あのタロってヤツが!!!ずっと『聞いてた』ぜ!!!」
グスタが嬉しくて仕方がないと言った顔で言う。
「え!?何で知ってんだよ!?…そうだ!!しかも上位装備でだってよ!!」
そんな兵士の驚き交じりの報告に、改めてアズとグスタはタロの勝利を知ると、
「いやああああっほーーーい!!!!」
という叫びと共に抱き合った。

アズとグスタはずっと「聞いていた」のだ。大闘技場の「歓声」を。
一つ「歓声」が起こればタロはモンスターを攻撃し、一つ「大歓声」を上げればタロはモンスターを討伐したのだろう。
ずっと耳を立てて、大闘技場の雰囲気を読んでいた。
そして、ずっとタロを応援していたのだ。

半日に渡る死闘、見ていなくてもその壮絶さは伝わり、アズもグスタもタロの行く末を見守っていた。
いつしか、心から応援するアズとグスタがいた。

二人は改めて大闘技場を見る。
その大闘技場に向かってアズが叫んだ。
「タローーーーー!!おめでとう!!!!」


今まだ大闘技場の大歓声は鳴りやまない。


38

この大歓声の中たった一人、笑顔では無い者がいた。
主賓室バルコニーで観戦していた男。
笑顔所かその形相は憎しみに満ちている、とでもいったようなそんな顔の男。

ガルダだ。

ガルダは大闘技場に倒れていたタロをずっと凝視していたが、担架に担がれこの大闘技場を後にするのを見送るようにタロが闘技場から姿を消すのを見届けると、急に席を立った。

「次はガルダ様の番でございますね。ご武運を。」
ガルダの護衛役として傍らにいた兵士が席を立つガルダにそう声をかけると、ガルダはその兵士に向かって突然殴りつけた。
「貴様は…この『大歓声』の後に、あの闘技場に立つ勇気があるのか…?」
そう吐き捨てるように言うと、主賓室バルコニーから出て行く。
殴られた兵士もまた、呆然とした顔で、
「確かに…な…。」
そんな呟きをもらしていた。


くそっ…!!
くそっ…!!!

ガルダは先ほどのタロの戦いを思い出しながら主賓室を通り抜け、廊下に出る。

なんだというのだ。あの「タロ」という男。

リオと同じ「動き」をした。

そして。

何よりもリオと同じように「恐怖」に立ち向かった。
最後のラージャン戦、なぜあそこまで立ち上がれた。
なぜ前に出れた。
傍から見ててももうボロボロだった。
一体何があそこまであの「タロ」と言う男を立たせるのか。

ラージャンに走って行く背中に、三年前の崩竜に向かって走って行くリオと同じ「背中」があった。

他の観客があの戦いに歓喜したように、ガルダもまた不覚にもタロの戦いに「感動」してしまったのだ。
「くそ…っ!!くそ…っ!!」
ガルダはさっきから舌打ちしかしない。
これから「死んでもらおうとしている男」に、全身から震え上がるほどの感動を感じてしまった事に。
そしてガルダもまた「ハンター」という立場で、あの「戦い」に全身に湧きあがるほどの鳥肌が立ってしまった事に。

自分がやれる事が「悔しさ」に打ちひしがれることしか見つからない。

改めて自分の「小ささ」を自覚してしまったのだ。
頭の中でどんなに言い訳しても、自分の今に「道理」が立たない。
今までは「王族」という立場が、その「道理」そのものだった。
何をしても「王族」という免罪符があった。
しかし、ガルダもまたリオに憧れ「ハンター」となっていた今。
あの「戦い」の中に、自分の踏み入れられる「言い訳」なんて無い事を痛感してしまった。

自分がこの闘技場でやろうとしていたことに「恥」を感じてしまったのだ。
どんなにその「恥」に言い訳しても、心に残るのは「自分の器の小ささ」だ。

今のガルダの瞳には、もはやタロの戦いの中で見せた「狂気の濁り」はない。
「王族」というプライドが濁らせた「狂気」という色は、もう消え失せていた。

そして今、ガルダの瞳にあるのは「ハンター」という立場が輝かせる「闘志」の色。

「俺も…まだまだ…という事か…。見ていろ…タロ!!!!」
そう叫ぶと、ガルダは廊下の壁に自らの拳を叩きつける。

そこには己の全てをかけて「リオ」を、そして「ハンター」としての「プライド」を取り戻そうとする一人の男の背中があった。

ガルダは静かに、この廊下を歩いて行く。


大闘技場の大歓声は今まだ鳴り止まない。


39

謁見の間のバルコニーから見ていた国王ミルザは、ただただ感動していた。
今まだミルザはその拍手を止めない。
隣で見ていたアルトもまた、タロという男の雄姿に拍手を止めなかった。
「実に素晴らしい戦いでございました。」
アルトはすでに誰もいない闘技場から視線を外さないままそう呟く。
「ああ。本当にな。よくぞ最後は立ち上がった。」
ミルザもまた、もはや誰もいない大闘技場から視線を外すことなく呟いた。
そんなミルザの瞳は、微かに潤んでいる。
「この戦いは…もう誰も文句はなかろう。後は『災い』に備えて、タロには急いでHRを上げてもらわなければな…。」
拍手の手を止めて、続けてミルザはそう呟いた。
「勇者として…さらなる『戦い』に挑んでもらうために…でございますか…。」
アルトもその拍手の手を止めると、そう言ってミルザを見る。
ここまで満身創痍で戦った男に、さらなる「試練」を課す、そんな現実にアルトの顔が曇った。
決して国王を責める訳ではないが、アルトはそんなタロに同情する。
「ワシもな…辛いのだよ。だが、これからの『災い』にタロは必要なのだ…。」
アルトの言葉に国王もまた、タロの行く末に顔を曇らした。

アルトは思う。
この国の騎士団はこの世界のどこの国にも劣らない精鋭集団だと自負する。
しかしそんな集団も、一つ相手を人間からモンスターに変えるだけで「烏合の衆」と変わる。
皮肉なモノだ。
国を守るための集団も、それが「人間」にしか通用しないとは。
そしてその「モンスター」に通用するのが、そんな「一人の人間」でしかないとは。

「我々はタロに…何かしてやれる事はないのでしょうか?」
改めてアルトはそう思いミルザに問うと、ミルザはアルトに目を向ける。
「出来るものならば、三年前にやっているさ。我々の大軍がタロを助けるのならば、今回の『災い』に出撃命令も出そう。だがお主も知っておろう。モンスターに大軍を以てなすは愚策と。せいぜい出来たとしてタロの『邪魔』だけだろうよ。」
そこまで言うとミルザは溜息をついた。
「それに…我が軍はタロにとっては『邪魔』以外の何物でもなかろうが…最後の『砦』でもあるのだ。タロが失敗した時のな…。」
「おっしゃる通りでございます…。」
国王の憂いに、アルトは頷くことしかできなかった。
一人で止められるというのであれば、それに越したことはない。失敗したとして「犠牲は一人」なのだから。
タロを気に入ってるからこそ、「国王」としてタロに何かしてやりたいと思うだろう。
しかしその反面、「国王」だからこそ国のために非情にならなければならない。
アルトは改めて国王が自身の立場のしがらみに嘆いているのだと悟った。

「…少しでもタロの未来に、神のご加護と祝福があらん事を祈るばかりですな…。」
アルトはそう呟くことしかできなかった。
「本当にな…。」
ミルザもまた、アルトの言葉に頷くしかなかい。

二人がそう語り、今後のタロの行く末を案じていると、一人の兵士がバルコニーに入ってきた。
「失礼致します!!国王陛下にお伝えしたいことがありまして、お目通りをお許したく願います。」
その兵士はそういうとバルコニーの二人に片膝をついて頭を垂れる。
「申してみよ。」
国王の傍らに立っていたアルトがその兵士に向かって続きを促した。
「はっ。実は次に大闘技場にてクエストを予定しておりましたガルダ様が、このクエストを辞退したいと申されまして…。」
そんな兵士の言葉にアルトとミルザは目を合わせる。
「そうか…。解った。」
国王がそう呟くと、アルトが、
「承知したと、ガルダ様にお伝えしてくれ。」
と言って兵士に退くように合図する。
「失礼いたしました!!」
兵士は緊張したように、そう言うと足早にバルコニーから姿を消した。

兵士が出て行くのをミルザは確認すると、ふうっという溜息とともに微笑む。
「辞退とは…これはあやつも成長している…という事と見て良いのかな。」
そんな呟きをするミルザの顔は穏やかだ。
「少し前の…少なからず三年前のガルダ様なら出来ない選択でありましょう。」
アルトの顔も微笑んでいる。
「今日のタロの戦い、これを見てもこの大闘技場に立てるのであれば、それは相当の愚か者かタロ以上の勇者であろうよ。」
ミルザはそう言うと、声を出して笑う。
「私もそんなガルダ様の成長が嬉しく思います。崩竜の時は『退く』事すらできませんでしたからな。」
アルトは三年前の、崩竜を見て腰を抜かしたガルダを思い出して笑いながら言った。
その事をアルトから聞いていたミルザもさらに笑いながら、
「うむ。あやつも遂に、お主に担がれなくても歩いて下山できるようになったのだ。」
と、頷く。

そして二人は声を合わせて笑った。

「今日は良いものを見せてもらった。」
そう呟き国王ミルザは席を立つと、謁見の間のバルコニーから退出する。


ようやく、大闘技場の歓声がゆっくりと収まって行った。


40

タロはまた暗闇の中にいた。
ラージャン戦で吹き飛ばされた時にいた、その暗闇の中だ。

そして先ほどから目の前に流れる映像を見ている。
それは「過去の自分」の記憶。
大闘技場でラージャンを倒しそのまま倒れたタロはその後、ずっとこの暗闇の中で目の前に流れる「過去の自分」の記憶を見ていた。

流れる映像は途切れ途切れで、さらには場面場面の前後が繋がってなかったりとちぐはぐだ。
どうやら「過去の自分」が持つ記憶、印象に深い場面や心に残ったもの、よく覚えているものなどが古い記憶の方から映し出されているようだった。

最初はとにかくリオの事ばかりだった。
集会所で出会った、大剣を担いだレウスX装備の少女。
おそらくこれが、タロとリオの最初の出会いのシーンなのだろうか。
タロが…いや「過去の自分」が、その少女を見ると積極的に話しかけているのが解る。

そんなシーンにタロは半ば呆れたように笑っている。
「お前…一目惚れかよ。」
ははっと笑いながらタロはその映像を見続けた。
タロとリオが初めてクエストに行ったシーン。
二人でリオレウスやディアブロスを倒したシーン。

リオが「過去の自分」に驚いたように拍手をするシーン。
「お前のランス捌きに驚いたのか。ははっやるなあ。」

リオが恥ずかしそうにランスを担いできたシーン。
「ああ、ここでリオは初めてランスを担いだのか。お前の影響だったんだな。」

リオを庇って「過去の自分」が怪我をしたのを、泣きそうな顔で見てるリオのシーン。
「おお!お前やるじゃないか!庇うなんて格好良いな。」

そんな色々なシーンをタロはずっと見続けていた。
これが…お前とリオの歴史なんだな…。
そんな事を想いながら、タロは映像に夢中だった。
そこにいる二人がどんな気持ちで、どんなやりとりをしていたのかよく解った。

「しかし…お前は本当にリオにベタ惚れだったんだなあ。見てるこっちが恥ずかしくなるぜ。」
タロは映像を見ながら顔を赤らめる。
どうにも「過去の自分」はリオに夢中だったようだ。
そんな過去の自分にリオは最初こそ迷惑そうな顔をしていたが、それもシーンが時間軸として新しいものになるにつれ、楽しそうな顔をしてくる。
そんなリオの変化に、タロも嬉しそうだ。
映像に映る…いや「過去の自分」の主観視点だから決して映りはしないが、映像の中で動く「過去の自分」は本当にリオに一生懸命だった。
そんな一途さに、次第にタロは「過去の自分」と共感していく。
だが決して、タロはこの映像に「自分の過去」という実感が湧かなかった。
映像を見ていても、これが「思い出」という認識には決してならなかった。

その後も映像が流れる。
「過去の自分」が意を決して告白するシーンでは、見ていたタロ自身も手をぐっと握りしめ「がんばれ!!お前!!」と応援した。
どうにも「過去の自分」は緊張していたようだ。映像がぶれている。焦点がリオに合っていない。
「過去の自分」は何かを叫ぶと目を閉じたようだ。映像が真っ暗になる。
その映像からは、「過去の自分」の心臓の音だけが良く聞こえた。
先ほどから映像は鮮明なのだが、音の方がよく聞こえない。
これは「過去の自分」の、音に対する記憶が曖昧なのだろう。
先ほどから「過去の自分」でも覚えていないモノには音が途切れていた。

つまり、「過去の自分」は緊張のあまり自分の「告白した言葉」を覚えていないようだ。
「お前は…。」
そんな呟きとともにタロは「過去の自分」に呆れたが、その次のリオの言葉を緊張して待っていた。
「ま、まあ…。私も、あなたがいつもの変なドジで死なれたら堪らないしね。良いわよ…一緒にいてあげても。」
映像の中のリオがそっぽを向いてそんな事を言う。
「?」
タロは自分が期待していた言葉とは違う台詞が出てきたリオを見て、「過去の自分」が何を言ったのか気になった。
すると「過去の自分」がまた何か言っている。
またしても聞こえない。
「どれだけ緊張してるんだよ!!お前は!!!」
タロが思わず叫んだ。
「だから!!あなたも本当に鈍感というか!!良いって言ってるでしょ!?」
映像を見ていたタロと同じ様に、「過去の自分」にリオも叫んだ。なんのことだか解らなかったが、そんなリオの顔は真っ赤だった。

「おっしゃああああーーーー!!!!」
「過去の自分」の叫び声が聞こえる。
そこまで来て、やっとタロも「過去の自分」とリオがお互いの想いを確認したんだと悟った。
「ははっお前も不器用だったんだな。」
タロはそう呟いて笑うと、また映像を見続ける。

その映像を境に、リオと「過去の自分」は幸せそうだった。
二人で狩りをし、二人がアイルーと一緒にご飯を作り、そして思わず見ていたタロが顔を真っ赤にするようなシーンまで合わせてずっと流れた。

タロはそれをずっと嬉しそうに見ている。
二人は幸せそうだった。
時には喧嘩もしていたけど。
なごやかな雰囲気の映像がしばらく続いていた。

そして、場面は急展開を迎える。


MH編11に続く