※注意!!※
・これは完全なる俺の自己満足作品です。本当に暇で暇で仕方がなく読んでやっても良いんだぜ?と思う方だけ読んでいただければーーーーーああ。
・設定に多数の厨二設定が含まれております。
・モンスターハンターの公式設定をかなり無視しております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
備考:三年前以前の記憶が無い。これから村クエ最終の「モンスターハンター」に挑もうとしている。
~タロ・MH編ステータス~
武器:ヒドゥンスティンガー
頭:ギザミSヘルム
胴:ギザミSメイル
腕:ギザミSアーム
腰:ギザミSフォールド
脚:ギザミSグリーヴ
発動スキル
攻撃力UP【中】
砥石使用高速化
切れ味レベル+1
~オトモアイルー・カク~
初代旦那さん:タロ
オトモLV:18
攻撃力:306
防御力:155
なつき度:☆☆☆☆☆
毛並み:黒メラ
性格:武器一筋
攻撃系統:切断
攻撃傾向:武器のみ
オトモスキル
回復笛の術
真・回復笛の術
ぶんどり術
19
タロと轟竜の死闘を謁見の間のバルコニーから見ていた国王ミルザは、最後の轟竜の咆哮を聞くと同時にタロに向かって拍手を送っていた。
「上位装備でここまで完璧にあの二匹を討伐するとは…いやはやさすがだな。」
ミルザはそう呟くと、嬉しそうな顔で手を叩き続ける。
国王の傍らで同じくこの死闘を見ていたアルトも、タロの戦い方に感動していた。
「全くです。完全にモンスターの動きを把握し、より効率の高い攻撃、より堅実な防御を選択をしておりました。…なるほど、これがあの『タロ』ですか…。」
国王直属の部隊長を務めるアルトでも、タロの戦い方には感心させられる要素が多々あった。
「ネコートの伝書によると、あれだけ身事な狩猟をしていても未だ『記憶』が戻っていないとの事だそうだ。三年前の『件』といい、末恐ろしいものよ。」
タロを見る視線を外さずミルザはそう言う。そんなタロは今、この大闘技場のど真ん中で観客から大歓声を受けていた。
歓声を受けているタロを見る国王の顔は、本当に嬉しそうだ。
タロを嬉しそうに見つめる国王の顔を見て、アルトが口を開いた。
「国王はタロがお好きなようでございますな。そんな国王のお顔、久しく見ておりませんでした。」
国王の嬉しそうな顔に、アルトもつられる様に微笑む。
国王はアルトの方に振り向くと、
「まあ三年前の『件』に関しては心を痛めておったからな…。ワシは三年前、タロが消息不明になる前日に彼と話をしたがとても気持ちの良い青年であったよ。またこうして、このクエストを受ける彼の勇士を見れるとは思わなんだ。」
と、目を細めながら呟いた。
「私は存じませんでしたが…やはりタロも三年前、この『儀式』を受けていたのですか?」
国王のそんな言葉に、アルトはふと疑問を感じる。
アルトは三年前にタロが「モンスターハンター」を受けていたことは初耳だった。
「そうだ。三年前、リオがこの闘技場で『勇者』として大歓声を浴びた後、来賓も貴族も、つまりはワシを含め各国の『王』達を除いたすべての者が帰った後に…な。」
国王のそんな言葉に、アルトは目を見開く。
「各国の『王』達…。では、あの三年前の『儀式』の後に行われた、各国の『王』達の主要会議というのは…。」
「そうだ。あの時、タロの『儀式』が行われたのだよ。」
アルトの問いに、ミルザは頷いた。
アルトはさらに驚愕した顔をすると、
「そこまで極秘裏に行われた『件』というのは…。やはりお聞きしてはいけない事なのでしょうか。」
と、思わずミルザに聞いた。
「いや…お主にも近く、三年前の『件』を話す時がくる。三年前の『件』は古龍観察所の方で『災い』を民衆に知られるより前に発見できたから良かっ たが…。今回の起こる『災い』、すでに多数の民衆に知られている。いずれ、大きな『厄』としてこの国も大騒ぎになることだろう。」
そう言うと、ミルザの顔が曇る。今後来るであろう『災い』を思うと、ミルザの顔は憂いの影を落としていた。
「『災い』…か。」
そんな国王の顔を見たアルトが呟く。国王の不安そうな顔を見て、アルトはこれから起こる『災い』というものがどれほどのものか想像もできない事に恐怖した。
「しかし…今度はこの『儀式』をみなの前でこうして行う…この現実を誰が予想したであろう。三年前の『儀式』では歓声なんてなかった。名声も栄誉 も。それがどうだ、今日彼は、その三年前の鬱憤でも晴らすかのように、この表舞台に立っている。ワシはそんな運命が嬉しくて仕方ない。」
国王は視線をタロに合わせると、先ほどとは一転、嬉しそうに言う。国王の言葉はさらに続く。
「三年前、タロとリオの二人にワシはある選択をせまったのだ。一つは名声と栄誉、そして『生の可能性』。そしてもう一つは…名声も栄誉もない、ただただ『死の可能性』だ。」
そこまで語ると、ミルザは一息ついた。
「それは…崩竜の進行と例の『件』…という事でございますか?」
アルトはそんな王の言葉に、そう尋ねると、
「そうだ。ワシはその時、タロとリオが愛し合っていたことを知っていた。そんな二人に、ワシはそんな残酷な選択を押しつけたのだ。誰しも選びたい のは前者であろうよ。当たり前のことだ。だが、あの時の二人は…二人ともに後者を選びおった。お互いがお互いを想い合うというのは、死をも恐れぬというの か。」
当時の事を思い出すように国王は語る。
「結局、その選択では前者をリオ、後者をタロが選んだ。いや、タロがこの選択を押し切ったのだ。タロの心意気、それはもう気持ち良いものであった…。本当にあの時は、すまぬ事をしたと思っておるよ…。」
そこまで語るとミルザは大闘技場に立つタロを見た。
生きていてくれただけでもワシは心浮かばれたというのに…記憶を失い、それでも前に進むこの男にワシは何をしてやれるというのか。
「そんな事があったのですか…。」
話をずっと聞いていたアルトも、大闘技場に立つ男を見た。
傍から見てる分にはそんな苦労をしたとも思えないその青年は、今また計り知れない苦労を背負い込もうとしている。
それが本人の願う事であろうとなかろうと。
これからまたこの男は、難題に立ち向かおうとしている。
漆黒の怪物、迅竜にどのように立ち向かっていくのか。
ティガの亡骸を荷車に載せた兵士たちが、この大闘技場から出て行く。
そろそろ始まるようだ。
今、上位装備で大闘技場に立つタロという男。
アルトはまだ話をしたこともないこの男に「がんばれ」と、心の中でエールを送った。
20
大闘技場からティガの亡骸が運ばれて行くと、観客達は言葉を少なくして次のモンスターを待っていた。
闘技場全体のざわつきも一気に音量が下がる。
そんな観客達の雰囲気で、タロもそろそろ次のモンスターが現れるんだな…と悟った。
大闘技場の入口にある檻に、自然と目が行く。
タロは強走薬Gを取り出すと、本日三本目をぐいっと飲み干した。
タロの傍らにいたカクが、強走薬Gを飲み干すタロを見上げてすまなそうに声をかけてきた。
「旦那さん、さっきは本当にごめんなさいだニャ。今度こそがんばるニャ!」
そう言ってカクはぶんぶんと手に持つ武器を振りまわすしぐさを取る。
そんなカクを見てタロは笑いながらカクの頭を撫でた。
「謝ることなんてないさ。閃光玉をミスったのは俺のせいだ。お前は全然悪くないよ。むしろよくティガを引きつけてくれたと感謝しているんだ。ありがとな、カク。」
そんな旦那さんの言葉にカクは顔を輝かせると、腕を振り上げて、
「ボク、次もがんばるニャ!!今度こそ、ボクが仕留めるニャ!!」
と、嬉しそうに言った。
そんなカクを見て、タロも嬉しそうに笑う。
ナルガ戦、閃光こそなくなったがまだ勝算が無いわけではない。
体の震えを誤魔化すように、タロはそんな事を頭に強く思う。
負けると思った時点で、俺は終わりだ。
とにかく、今は目の前の事に集中しよう。
この戦い、「集中力」を切らしたら…俺は死ぬ。
そう思うとタロは目を閉じる。
何も考えるな。
とにかく目の前のモノに対処するんだ。
しばらくして、今日三度目の檻が開いた。
大闘技場内に歓声が沸く。
漆黒の怪物、迅竜が大闘技場に現れた。
タロは目を開けると、目の前に出てきた迅竜にいきなり駆けだしていく。
ティガ戦とは打って変わり、今度はナルガの正面に回り込むと一気にナルガの頭に向かって背中に担いでいた槍を突き出した。
大闘技場の歓声がさらに大歓声へと変わる。
タロの第三戦が始まった。
いきなり頭付近に鋭い槍が飛んできた迅竜ナルガクルガは、その槍の切っ先とは反対方向にその身を翻す。
その大きな巨体に似合わず、ナルガの動きは俊敏だ。
翻した体はすでにタロの方を向いている。
ナルガも、自分の敵が「誰か」把握したようだ。
タロとナルガの視線が合う。タロはナルガと視線が合うと、右手の盾を構えガードモーションをとった。
そんなガードモーションのタロに、ナルガは構わず飛びかかる。
ナルガは両の前脚にある鋭い刃物のような翼を振りかざして、タロに向かって襲いかかった。
元々ガードモーションをとっていたタロはその翼のブレードを盾で受けると、ガードバックした体制から槍を突き出す。
いわゆる「ガード突き」を手前のナルガの届きそうな位置に繰り出すと、そのままバックステップしてナルガと距離をとった。
ナルガがまたタロに振り向く。
タロは振り向いたナルガと視線が合うとそのナルガの目を見つめたまま、またガードモーションをとった。
そんなガードモーションを中々崩さないタロに、ナルガは容赦なく尻尾を振り出す。
右側から飛んでくるナルガのしっぽに対しても、タロはガードモーションを崩す事無くその尻尾を盾で受けた。
ガッ!!
思いのほか、その尻尾の攻撃が重かったようで、タロはその攻撃をガードしたまま後ろに持って行かれる。
タロは懸命に脚に力を入れて踏ん張るが、その体は大きく後ろに滑って行った。
ガードしたタロの右腕がミシミシと音を立てる。
…っ!!
タロは右腕の痛みに顔を歪ませると、たまらず一旦ガード体制を解除する。
今日受けた攻撃の中で一番強烈な衝撃だった。
ナルガがまたタロに振り向くと、今度は飛びかかりの構えを見せる。
タロはそんなナルガを見て、またしてもガードモーションをとった。
盾の隙間からナルガを見つめるタロは、そんなガードモーションをとったまま、微動だにしない。
またしてもタロはその飛びかかりをガードすると、ガード突きを入れてステップで距離を調節、そして何を考えているのか、またガードモーションをとった。
オトモのカクはそんなガードを解かないタロを見て、たまらずナルガに走って行く。
ナルガがカクの方に振り向いた所で、タロはやっとガードを解いた。
21
そんなタロのガード一辺倒な戦いがしばらくの間続くと、さすがに観客がざわつき始めた。
「おい…やっぱりあいつ、ティガ戦での閃光切れで手の内を完全に無くしたんじゃないか…?」
不安そうな声色で観客の誰かが呟く。
「ああ…。さっきからガードばっかりで、攻撃してもあんな力の入ってない一突きじゃナルガは倒せないぜ…。」
先ほどからガード突きばかりのタロを見ていた観客の一人が呟いた。
「さっきから直撃こそないが、あのガード…あれはあれで大分体力を削られているんじゃないか…。」
「おいおい…これは…ここまで…なのか…?」
「おい!!手を出せ!!このままだと削り殺されるぞ!!」
ガードばかりのタロに、観客は不安そうに声を出していた。
ここまでの戦いで、すっかりタロに夢中になっていた観客達が手の出ないタロを心配する。
せっかく上位装備でレウス、ティガを越えてきたというのに。
最高のエンターテイメントを見せてくれたタロに、観客達はこのまま死んでいこうとしている上位装備の男を惜しんでいるようだ。
もっとこの男の雄姿を見たい、この男の勝つ姿が見たい。
そんな欲求も合わせて、観客達はタロを応援した。
だがしかし、そんな観客達の応援もタロの耳には届いてないのか、相変わらずタロはガード一辺倒な戦いを余儀なくされている。
じわりじわりとタロの体力が削られていくのは、観客席から見ている人々にも明らかだ。
観客達にはいたたまれない時間だけが、刻々と過ぎて行った。
そんなタロの戦いを謁見の間のバルコニーで見ていたミルザは、思わずアルトに聞く。
「これは…やはりタロは手が出ないのかね…?」
国王ミルザも心配そうにタロを見つめる。
「三年前のタロは…ナルガでは苦戦しなかったが…。」
アルトの返事を待たずに呟く王をチラリと見ると、アルトが口を開いた。
「国王、三年前のタロの装備は、覚えていらっしゃるでしょうか?」
ミルザはアルトの質問の真意が解らず、首を傾げる。
「スキル…か。三年前は…確か回避に特化した鎧を着ておったな。あまり今回のような攻撃力に特化した鎧では無かったのは確かだ。」
「ありがとうございます。なるほど…な。」
首を傾げながらも答えるミルザの答えに頭を下げると、アルトはそのままもう一度タロの戦いを見つめた。
相変わらずガードばかりのタロをアルトはずっと観察する。
しばらくずっとタロの戦いを見ていたアルトだったが、ある事に気がついたようだった。
「これは…もしや…。」
そんな呟きをするアルトに、ミルザはたまらず聞く。
「何か気がついたのかね?」
心配そうな顔でタロの戦いを見ていた国王が、そんな呟きにアルトの方に振り向く。
普段は見せないミルザの動揺に、アルトは少し驚いた。
国王は本当にタロを心配なされていらっしゃる。タロめ…死んだら直属部隊隊長の名に懸けて、お前を許さんぞ…!!
アルトはそう思うと、ミルザの方に振り向く。
「いえ…これはあくまでも推測なのですが。タロは…ガードで何かを見極めているのではないかと。」
ミルザを見ながら答えるアルトは、そう言うと目線を大闘技場に移す。
「ご覧下さい。これから私が言う箇所に注目していただけますか?」
アルトはそう言って国王に視線の先を促すと、ミルザもそれに従いタロの戦いを見つめた。
「おそらく…タロは回避性能を外してナルガと戦う事に慣れてないのではないでしょうか。」
「だからガードを崩せないと…?」
国王は首を傾げたまま聞く。アルトの言いたい事がまだ理解できていないようだ。
「いえ、おそらくタロは…。」
キーーーンッ!!
アルトがそこまで言った所で、耳をつんざくような音とともに、今までざわついていた大闘技場から歓声が沸いた。
何かを説明しようとしていたアルトだったが、今まで防戦一方だったタロに変化が訪れたのを見て思わず口を噤んだ。
ナルガが大闘技場の隅で倒れこんで喘いでいる。
「音爆弾ですね。」
アルトが今の状況を説明した。
倒れこんだナルガにタロは一気に詰め寄ると頭に向かってランスを突きつける。
ここにきて初めて、タロの攻勢だ。
観客達も待ち望んでいたその光景に大歓声を上げた。
「おお!そうか!その手があったか!!タロはこれを待っていたのだな!?」
ミルザは嬉しそうにタロの攻勢を眺めている。
「行け!!そのまま一気に攻めろーーー!!」
観客達もここぞとばかりに声を上げた。
タロは倒れこんでいるナルガに次々と上段突きを頭に入れていく。
だが、そんな攻勢も長くは続かない。
倒れていたナルガは起き上がると、サッとその場から翻して、タロに向かって咆哮を上げた。
ナルガが怒りに顔を赤く染める。
そんなナルガに観客達の歓声はすぐにどよめきに変わった。
「もう体制を整えやがった!!しかも怒りかよ…!!」
「またアイツはガードで耐えなきゃいけないのか!?」
そんな悲痛にも聞こえる観客達の声が聞こえる。
ミルザもそんな観衆達の声に顔を曇らせた。
「これでは…タロもきついな…。」
ミルザが、溜息をついてそう呟く。
だがアルトはタロの戦いを凝視しながら、一つの確信を得た。
やはり先ほどのガードタイミング…。
私が見ている限り三回連続ともに同じタイミングだった。
そしてここで音爆弾か…!!
「いえ…国王。今の音爆弾は…タロ自身の『勝名乗り』ですよ…!」
と、アルトが思わず興奮気味に叫ぶ。
「勝名乗りとな…!?」
そんなアルトの言葉に国王はタロの方を向く。
今までナルガの振り向きにガードモーションをとっていたタロが、打って変ってその振り向きにランスを突きつけた。
22
タロは今までナルガの振り向きに対してガードで様子を見ていたが、あの音爆弾を境にして一転、攻撃に出た。
そんなタロの行動に観客達は思わず悲鳴を上げる。
「自棄を起こすなーー!!」
「我慢してればまた好機は来るぞーーー!!」
タロがナルガの振り向きに対して考え無しに突きに行ったように見えた観客達は、思わず声を上げる。
どうにもそのタイミングでは次のナルガの攻撃をガード出来ないからだ。
案の定ナルガはその突きに対して身を翻して反転、一気にタロの元へ飛びかかった。
闘技場の観客達は「あっ!!」と声を上げる。
誰もがそのナルガの飛びかかりを食らうと思った。
吹っ飛ばされるタロを想像していた観客達は次の瞬間、信じられないものを見た。
タロがその飛びかかりに対してタイミングを合わせるようにステップして避けたのだ。
タロはナルガの着地に合わせてさらに攻撃を加えて行く。
観客達は一体何が起こったのか、理解できずにざわついている。
そして二度目のナルガの振り向きにもタロはその攻撃の手を休めず、ランスを突きつけた。
ナルガは今度は尻尾を横に振る。
タロはその動作を見ると今度はくるりとナルガに背中を向けると、ヒラッとバックステップで避けた。
そしてまた振り向き直して頭にランスを突きつける。
先ほどまでガード一辺倒だったタロが、あの音爆弾を境にほとんどガード体制を取らず、ドンドン攻撃していった。
観客達は我が目を疑うかのように、攻撃の手を休めないタロを見る。
そして次のナルガの攻撃を、またしてもタロがステップで避けるのを見て、そこでやっと観客達は「大歓声」を上げた。
歓声の中、観客達はどういう事なのか解ってないかのように声を出す。
「一体何が起こったんだ!?なんでいきなりアイツは攻撃を避け始めた!?」
「できるんじゃないか!!!ハラハラさせやがって!!!」
タロの攻勢に観客達の歓声は止まらない。
しかし、なぜいきなりナルガの攻撃を避けられるようになったのかまるで解らなかった。
そんなタロの攻勢を、観客の他に首を傾げる者がもう一人。
国王のミルザだ。
「どういう事だ!?アルトの言った通り、本当にあの音爆弾から一転したぞ!?」
嬉しそうな顔でミルザが言う。
アルトもそんなタロの攻勢に、ホッとしながら口を開いた。
「タロの最初のガードですが、あれはおそらくナルガの攻撃タイミングを計っていたのかと思います。」
「攻撃タイミングとな?」
ミルザはタロの攻勢から目を離さずに聞く。
「ええ、ナルガの攻撃はあれだけの速さを持ちます。一見避けるのが難しいようですが、その速さ故に攻撃が抜けていくのも早い。ステップでもタイミングを合わせる事ができれば、回避に特化してなくてもその攻撃を避ける事ができます。」
アルトもまた、タロの戦いから目を離さずに答えた。
大闘技場のナルガが、いつの間にか本日三回目の怒り状態に入っていた。
「それをガードしてずっと見ていた…というのかね?」
国王は声を弾ませて聞いてくる。タロに勝つ可能性が出てきた事が嬉しいようだ。
「ただガードしていた訳ではありません。タロはガードする度にその攻撃を徐々に引きつけてガードをしていました。これは攻撃が盾に当たる瞬間を見 極めていたのでしょう。それを前半何回も繰り返し、体に覚え込ませた。そしてある程度繰り返して見極めたと確信、音爆弾で勢いをつけそのまま反撃に転じた のではないかと…。」
アルトは説明しながらもタロの戦いからは目を離さなかった。
大闘技場のナルガが、頭を破壊され大きくのけ反った。
そんなのけ反りとともに、大闘技場は大歓声で大きく揺れる。
「なんと…そんな事をしていたのか…タロは。そんな事、ハンターなら出来るというのだろうか。」
驚きを隠せないといった顔でミルザが呟いた。
「いえ…そんな大それたこと、並のハンターではできないでしょう。これは本当に『タロ』だからこそ…だと思います。」
アルトも自分でそう説明していたが、実際に信じられなかった。だが、目の前でそれをやってのける男がいる。
一体…どこをどうすればそんな芸当が身につくというのだ…。あながち…ミスト様直属部隊にも勝るという国王のお言葉…間違ってないのかもしれんな…。
アルトはそう思うと闘技場で戦うタロを見つめる。
「やはり…背負うモノが大きい男は違うな…。」
アルトはそう呟くと、タロを見ながら微笑む。
大闘技場のナルガが今日4回目の怒り状態に入った。
23
タロは実際の所、ナルガのタイミングを完璧に把握していた。
これは今手に持っている槍、ヒドゥンスティンガーを使っているという事からも解るように、タロにとってティガ同様にナルガは苦手ではない証だ。
苦手ではないという事は、つまりその攻守における見極めが出来ているという事。
ただ、対ナルガ戦において「回避性能」を付けず、閃光玉無しの戦いをした事がなかった。
故にタロは回避性能によってうやむやにしていた微妙なタイミングを前半のガードでキチンと体に覚えさせていたのだ。
ナルガが最後の咆哮とでも言うように、4回目の怒り状態に入るのを確認したタロは、ここで改めて右手の盾を掴み直す。
勝ちに急いだら負ける…!!
あくまでも冷静さを失わないようにタロは心の中で呟く。
そんなタロの姿勢は正しかったようで、ナルガは咆哮をした直後に体を震わせながら状態を起こす。
尻尾を縦に大きく振り上げた。
またしても闘技場の観客達が「あっ!!」という声を上げる。
タロはその状態を確認すると同時に横に体を左に向けてバックステップをする。
ナルガの尻尾が縦に弧を描いて地面をえぐるが、そこにナルガの獲物はいない。
タロは尻尾の衝撃が収まるのを確認すると、改めて横から突きを入れた。
観客達もナルガがもうすでに虫の息だというのが解ったようだ。
大歓声を上げながら、観客達は待った。
タロの一突き一突きに歓声が沸いた。
誰もが願っていた。この上位装備の男の勝利を。
歓声がこの男を勝利に導くのであれば、声を枯らすのもいとわない。
前半の劣勢を覆し、この男がここまで来たことに興奮する観客達の願いは一つ。
そんな願いが神にでも届いたかのように、ついに迅竜ナルガクルガが崩れ落ちた。
勝ちを確信していた歓声が、勝ちが実現した事により「大歓声」となる。
大闘技場が今日三回目の「大歓声」に轟いた。
遂にこの上位装備の男は最後まで来た。
この最難関クエストのラストに。
このクエストが始まる前、ここの観客達は誰もが想像もしていなかっただろう。
ここの観衆にとっては、ガルダの「前座」以外の何者でもないこの上位装備の男。
レウスに食い殺されるはずの男。
しかし蓋を開けてみると、いつの間にかレウスが墜ち、ティガが息絶え、ナルガが崩れ落ちた。
ここまできたら観客達の願いは一つ。
上位装備でこの最難関クエストを成し遂げる「勇者」の誕生に立ち会う事。
大闘技場の歓声はそんな願いも載せて今日一番の「大歓声」となり、観客達はタロのナルガへの勝利に喜んだ。
MH編7に続く
・これは完全なる俺の自己満足作品です。本当に暇で暇で仕方がなく読んでやっても良いんだぜ?と思う方だけ読んでいただければーーーーーああ。
・設定に多数の厨二設定が含まれております。
・モンスターハンターの公式設定をかなり無視しております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
備考:三年前以前の記憶が無い。これから村クエ最終の「モンスターハンター」に挑もうとしている。
~タロ・MH編ステータス~
武器:ヒドゥンスティンガー
頭:ギザミSヘルム
胴:ギザミSメイル
腕:ギザミSアーム
腰:ギザミSフォールド
脚:ギザミSグリーヴ
発動スキル
攻撃力UP【中】
砥石使用高速化
切れ味レベル+1
~オトモアイルー・カク~
初代旦那さん:タロ
オトモLV:18
攻撃力:306
防御力:155
なつき度:☆☆☆☆☆
毛並み:黒メラ
性格:武器一筋
攻撃系統:切断
攻撃傾向:武器のみ
オトモスキル
回復笛の術
真・回復笛の術
ぶんどり術
19
タロと轟竜の死闘を謁見の間のバルコニーから見ていた国王ミルザは、最後の轟竜の咆哮を聞くと同時にタロに向かって拍手を送っていた。
「上位装備でここまで完璧にあの二匹を討伐するとは…いやはやさすがだな。」
ミルザはそう呟くと、嬉しそうな顔で手を叩き続ける。
国王の傍らで同じくこの死闘を見ていたアルトも、タロの戦い方に感動していた。
「全くです。完全にモンスターの動きを把握し、より効率の高い攻撃、より堅実な防御を選択をしておりました。…なるほど、これがあの『タロ』ですか…。」
国王直属の部隊長を務めるアルトでも、タロの戦い方には感心させられる要素が多々あった。
「ネコートの伝書によると、あれだけ身事な狩猟をしていても未だ『記憶』が戻っていないとの事だそうだ。三年前の『件』といい、末恐ろしいものよ。」
タロを見る視線を外さずミルザはそう言う。そんなタロは今、この大闘技場のど真ん中で観客から大歓声を受けていた。
歓声を受けているタロを見る国王の顔は、本当に嬉しそうだ。
タロを嬉しそうに見つめる国王の顔を見て、アルトが口を開いた。
「国王はタロがお好きなようでございますな。そんな国王のお顔、久しく見ておりませんでした。」
国王の嬉しそうな顔に、アルトもつられる様に微笑む。
国王はアルトの方に振り向くと、
「まあ三年前の『件』に関しては心を痛めておったからな…。ワシは三年前、タロが消息不明になる前日に彼と話をしたがとても気持ちの良い青年であったよ。またこうして、このクエストを受ける彼の勇士を見れるとは思わなんだ。」
と、目を細めながら呟いた。
「私は存じませんでしたが…やはりタロも三年前、この『儀式』を受けていたのですか?」
国王のそんな言葉に、アルトはふと疑問を感じる。
アルトは三年前にタロが「モンスターハンター」を受けていたことは初耳だった。
「そうだ。三年前、リオがこの闘技場で『勇者』として大歓声を浴びた後、来賓も貴族も、つまりはワシを含め各国の『王』達を除いたすべての者が帰った後に…な。」
国王のそんな言葉に、アルトは目を見開く。
「各国の『王』達…。では、あの三年前の『儀式』の後に行われた、各国の『王』達の主要会議というのは…。」
「そうだ。あの時、タロの『儀式』が行われたのだよ。」
アルトの問いに、ミルザは頷いた。
アルトはさらに驚愕した顔をすると、
「そこまで極秘裏に行われた『件』というのは…。やはりお聞きしてはいけない事なのでしょうか。」
と、思わずミルザに聞いた。
「いや…お主にも近く、三年前の『件』を話す時がくる。三年前の『件』は古龍観察所の方で『災い』を民衆に知られるより前に発見できたから良かっ たが…。今回の起こる『災い』、すでに多数の民衆に知られている。いずれ、大きな『厄』としてこの国も大騒ぎになることだろう。」
そう言うと、ミルザの顔が曇る。今後来るであろう『災い』を思うと、ミルザの顔は憂いの影を落としていた。
「『災い』…か。」
そんな国王の顔を見たアルトが呟く。国王の不安そうな顔を見て、アルトはこれから起こる『災い』というものがどれほどのものか想像もできない事に恐怖した。
「しかし…今度はこの『儀式』をみなの前でこうして行う…この現実を誰が予想したであろう。三年前の『儀式』では歓声なんてなかった。名声も栄誉 も。それがどうだ、今日彼は、その三年前の鬱憤でも晴らすかのように、この表舞台に立っている。ワシはそんな運命が嬉しくて仕方ない。」
国王は視線をタロに合わせると、先ほどとは一転、嬉しそうに言う。国王の言葉はさらに続く。
「三年前、タロとリオの二人にワシはある選択をせまったのだ。一つは名声と栄誉、そして『生の可能性』。そしてもう一つは…名声も栄誉もない、ただただ『死の可能性』だ。」
そこまで語ると、ミルザは一息ついた。
「それは…崩竜の進行と例の『件』…という事でございますか?」
アルトはそんな王の言葉に、そう尋ねると、
「そうだ。ワシはその時、タロとリオが愛し合っていたことを知っていた。そんな二人に、ワシはそんな残酷な選択を押しつけたのだ。誰しも選びたい のは前者であろうよ。当たり前のことだ。だが、あの時の二人は…二人ともに後者を選びおった。お互いがお互いを想い合うというのは、死をも恐れぬというの か。」
当時の事を思い出すように国王は語る。
「結局、その選択では前者をリオ、後者をタロが選んだ。いや、タロがこの選択を押し切ったのだ。タロの心意気、それはもう気持ち良いものであった…。本当にあの時は、すまぬ事をしたと思っておるよ…。」
そこまで語るとミルザは大闘技場に立つタロを見た。
生きていてくれただけでもワシは心浮かばれたというのに…記憶を失い、それでも前に進むこの男にワシは何をしてやれるというのか。
「そんな事があったのですか…。」
話をずっと聞いていたアルトも、大闘技場に立つ男を見た。
傍から見てる分にはそんな苦労をしたとも思えないその青年は、今また計り知れない苦労を背負い込もうとしている。
それが本人の願う事であろうとなかろうと。
これからまたこの男は、難題に立ち向かおうとしている。
漆黒の怪物、迅竜にどのように立ち向かっていくのか。
ティガの亡骸を荷車に載せた兵士たちが、この大闘技場から出て行く。
そろそろ始まるようだ。
今、上位装備で大闘技場に立つタロという男。
アルトはまだ話をしたこともないこの男に「がんばれ」と、心の中でエールを送った。
20
大闘技場からティガの亡骸が運ばれて行くと、観客達は言葉を少なくして次のモンスターを待っていた。
闘技場全体のざわつきも一気に音量が下がる。
そんな観客達の雰囲気で、タロもそろそろ次のモンスターが現れるんだな…と悟った。
大闘技場の入口にある檻に、自然と目が行く。
タロは強走薬Gを取り出すと、本日三本目をぐいっと飲み干した。
タロの傍らにいたカクが、強走薬Gを飲み干すタロを見上げてすまなそうに声をかけてきた。
「旦那さん、さっきは本当にごめんなさいだニャ。今度こそがんばるニャ!」
そう言ってカクはぶんぶんと手に持つ武器を振りまわすしぐさを取る。
そんなカクを見てタロは笑いながらカクの頭を撫でた。
「謝ることなんてないさ。閃光玉をミスったのは俺のせいだ。お前は全然悪くないよ。むしろよくティガを引きつけてくれたと感謝しているんだ。ありがとな、カク。」
そんな旦那さんの言葉にカクは顔を輝かせると、腕を振り上げて、
「ボク、次もがんばるニャ!!今度こそ、ボクが仕留めるニャ!!」
と、嬉しそうに言った。
そんなカクを見て、タロも嬉しそうに笑う。
ナルガ戦、閃光こそなくなったがまだ勝算が無いわけではない。
体の震えを誤魔化すように、タロはそんな事を頭に強く思う。
負けると思った時点で、俺は終わりだ。
とにかく、今は目の前の事に集中しよう。
この戦い、「集中力」を切らしたら…俺は死ぬ。
そう思うとタロは目を閉じる。
何も考えるな。
とにかく目の前のモノに対処するんだ。
しばらくして、今日三度目の檻が開いた。
大闘技場内に歓声が沸く。
漆黒の怪物、迅竜が大闘技場に現れた。
タロは目を開けると、目の前に出てきた迅竜にいきなり駆けだしていく。
ティガ戦とは打って変わり、今度はナルガの正面に回り込むと一気にナルガの頭に向かって背中に担いでいた槍を突き出した。
大闘技場の歓声がさらに大歓声へと変わる。
タロの第三戦が始まった。
いきなり頭付近に鋭い槍が飛んできた迅竜ナルガクルガは、その槍の切っ先とは反対方向にその身を翻す。
その大きな巨体に似合わず、ナルガの動きは俊敏だ。
翻した体はすでにタロの方を向いている。
ナルガも、自分の敵が「誰か」把握したようだ。
タロとナルガの視線が合う。タロはナルガと視線が合うと、右手の盾を構えガードモーションをとった。
そんなガードモーションのタロに、ナルガは構わず飛びかかる。
ナルガは両の前脚にある鋭い刃物のような翼を振りかざして、タロに向かって襲いかかった。
元々ガードモーションをとっていたタロはその翼のブレードを盾で受けると、ガードバックした体制から槍を突き出す。
いわゆる「ガード突き」を手前のナルガの届きそうな位置に繰り出すと、そのままバックステップしてナルガと距離をとった。
ナルガがまたタロに振り向く。
タロは振り向いたナルガと視線が合うとそのナルガの目を見つめたまま、またガードモーションをとった。
そんなガードモーションを中々崩さないタロに、ナルガは容赦なく尻尾を振り出す。
右側から飛んでくるナルガのしっぽに対しても、タロはガードモーションを崩す事無くその尻尾を盾で受けた。
ガッ!!
思いのほか、その尻尾の攻撃が重かったようで、タロはその攻撃をガードしたまま後ろに持って行かれる。
タロは懸命に脚に力を入れて踏ん張るが、その体は大きく後ろに滑って行った。
ガードしたタロの右腕がミシミシと音を立てる。
…っ!!
タロは右腕の痛みに顔を歪ませると、たまらず一旦ガード体制を解除する。
今日受けた攻撃の中で一番強烈な衝撃だった。
ナルガがまたタロに振り向くと、今度は飛びかかりの構えを見せる。
タロはそんなナルガを見て、またしてもガードモーションをとった。
盾の隙間からナルガを見つめるタロは、そんなガードモーションをとったまま、微動だにしない。
またしてもタロはその飛びかかりをガードすると、ガード突きを入れてステップで距離を調節、そして何を考えているのか、またガードモーションをとった。
オトモのカクはそんなガードを解かないタロを見て、たまらずナルガに走って行く。
ナルガがカクの方に振り向いた所で、タロはやっとガードを解いた。
21
そんなタロのガード一辺倒な戦いがしばらくの間続くと、さすがに観客がざわつき始めた。
「おい…やっぱりあいつ、ティガ戦での閃光切れで手の内を完全に無くしたんじゃないか…?」
不安そうな声色で観客の誰かが呟く。
「ああ…。さっきからガードばっかりで、攻撃してもあんな力の入ってない一突きじゃナルガは倒せないぜ…。」
先ほどからガード突きばかりのタロを見ていた観客の一人が呟いた。
「さっきから直撃こそないが、あのガード…あれはあれで大分体力を削られているんじゃないか…。」
「おいおい…これは…ここまで…なのか…?」
「おい!!手を出せ!!このままだと削り殺されるぞ!!」
ガードばかりのタロに、観客は不安そうに声を出していた。
ここまでの戦いで、すっかりタロに夢中になっていた観客達が手の出ないタロを心配する。
せっかく上位装備でレウス、ティガを越えてきたというのに。
最高のエンターテイメントを見せてくれたタロに、観客達はこのまま死んでいこうとしている上位装備の男を惜しんでいるようだ。
もっとこの男の雄姿を見たい、この男の勝つ姿が見たい。
そんな欲求も合わせて、観客達はタロを応援した。
だがしかし、そんな観客達の応援もタロの耳には届いてないのか、相変わらずタロはガード一辺倒な戦いを余儀なくされている。
じわりじわりとタロの体力が削られていくのは、観客席から見ている人々にも明らかだ。
観客達にはいたたまれない時間だけが、刻々と過ぎて行った。
そんなタロの戦いを謁見の間のバルコニーで見ていたミルザは、思わずアルトに聞く。
「これは…やはりタロは手が出ないのかね…?」
国王ミルザも心配そうにタロを見つめる。
「三年前のタロは…ナルガでは苦戦しなかったが…。」
アルトの返事を待たずに呟く王をチラリと見ると、アルトが口を開いた。
「国王、三年前のタロの装備は、覚えていらっしゃるでしょうか?」
ミルザはアルトの質問の真意が解らず、首を傾げる。
「スキル…か。三年前は…確か回避に特化した鎧を着ておったな。あまり今回のような攻撃力に特化した鎧では無かったのは確かだ。」
「ありがとうございます。なるほど…な。」
首を傾げながらも答えるミルザの答えに頭を下げると、アルトはそのままもう一度タロの戦いを見つめた。
相変わらずガードばかりのタロをアルトはずっと観察する。
しばらくずっとタロの戦いを見ていたアルトだったが、ある事に気がついたようだった。
「これは…もしや…。」
そんな呟きをするアルトに、ミルザはたまらず聞く。
「何か気がついたのかね?」
心配そうな顔でタロの戦いを見ていた国王が、そんな呟きにアルトの方に振り向く。
普段は見せないミルザの動揺に、アルトは少し驚いた。
国王は本当にタロを心配なされていらっしゃる。タロめ…死んだら直属部隊隊長の名に懸けて、お前を許さんぞ…!!
アルトはそう思うと、ミルザの方に振り向く。
「いえ…これはあくまでも推測なのですが。タロは…ガードで何かを見極めているのではないかと。」
ミルザを見ながら答えるアルトは、そう言うと目線を大闘技場に移す。
「ご覧下さい。これから私が言う箇所に注目していただけますか?」
アルトはそう言って国王に視線の先を促すと、ミルザもそれに従いタロの戦いを見つめた。
「おそらく…タロは回避性能を外してナルガと戦う事に慣れてないのではないでしょうか。」
「だからガードを崩せないと…?」
国王は首を傾げたまま聞く。アルトの言いたい事がまだ理解できていないようだ。
「いえ、おそらくタロは…。」
キーーーンッ!!
アルトがそこまで言った所で、耳をつんざくような音とともに、今までざわついていた大闘技場から歓声が沸いた。
何かを説明しようとしていたアルトだったが、今まで防戦一方だったタロに変化が訪れたのを見て思わず口を噤んだ。
ナルガが大闘技場の隅で倒れこんで喘いでいる。
「音爆弾ですね。」
アルトが今の状況を説明した。
倒れこんだナルガにタロは一気に詰め寄ると頭に向かってランスを突きつける。
ここにきて初めて、タロの攻勢だ。
観客達も待ち望んでいたその光景に大歓声を上げた。
「おお!そうか!その手があったか!!タロはこれを待っていたのだな!?」
ミルザは嬉しそうにタロの攻勢を眺めている。
「行け!!そのまま一気に攻めろーーー!!」
観客達もここぞとばかりに声を上げた。
タロは倒れこんでいるナルガに次々と上段突きを頭に入れていく。
だが、そんな攻勢も長くは続かない。
倒れていたナルガは起き上がると、サッとその場から翻して、タロに向かって咆哮を上げた。
ナルガが怒りに顔を赤く染める。
そんなナルガに観客達の歓声はすぐにどよめきに変わった。
「もう体制を整えやがった!!しかも怒りかよ…!!」
「またアイツはガードで耐えなきゃいけないのか!?」
そんな悲痛にも聞こえる観客達の声が聞こえる。
ミルザもそんな観衆達の声に顔を曇らせた。
「これでは…タロもきついな…。」
ミルザが、溜息をついてそう呟く。
だがアルトはタロの戦いを凝視しながら、一つの確信を得た。
やはり先ほどのガードタイミング…。
私が見ている限り三回連続ともに同じタイミングだった。
そしてここで音爆弾か…!!
「いえ…国王。今の音爆弾は…タロ自身の『勝名乗り』ですよ…!」
と、アルトが思わず興奮気味に叫ぶ。
「勝名乗りとな…!?」
そんなアルトの言葉に国王はタロの方を向く。
今までナルガの振り向きにガードモーションをとっていたタロが、打って変ってその振り向きにランスを突きつけた。
22
タロは今までナルガの振り向きに対してガードで様子を見ていたが、あの音爆弾を境にして一転、攻撃に出た。
そんなタロの行動に観客達は思わず悲鳴を上げる。
「自棄を起こすなーー!!」
「我慢してればまた好機は来るぞーーー!!」
タロがナルガの振り向きに対して考え無しに突きに行ったように見えた観客達は、思わず声を上げる。
どうにもそのタイミングでは次のナルガの攻撃をガード出来ないからだ。
案の定ナルガはその突きに対して身を翻して反転、一気にタロの元へ飛びかかった。
闘技場の観客達は「あっ!!」と声を上げる。
誰もがそのナルガの飛びかかりを食らうと思った。
吹っ飛ばされるタロを想像していた観客達は次の瞬間、信じられないものを見た。
タロがその飛びかかりに対してタイミングを合わせるようにステップして避けたのだ。
タロはナルガの着地に合わせてさらに攻撃を加えて行く。
観客達は一体何が起こったのか、理解できずにざわついている。
そして二度目のナルガの振り向きにもタロはその攻撃の手を休めず、ランスを突きつけた。
ナルガは今度は尻尾を横に振る。
タロはその動作を見ると今度はくるりとナルガに背中を向けると、ヒラッとバックステップで避けた。
そしてまた振り向き直して頭にランスを突きつける。
先ほどまでガード一辺倒だったタロが、あの音爆弾を境にほとんどガード体制を取らず、ドンドン攻撃していった。
観客達は我が目を疑うかのように、攻撃の手を休めないタロを見る。
そして次のナルガの攻撃を、またしてもタロがステップで避けるのを見て、そこでやっと観客達は「大歓声」を上げた。
歓声の中、観客達はどういう事なのか解ってないかのように声を出す。
「一体何が起こったんだ!?なんでいきなりアイツは攻撃を避け始めた!?」
「できるんじゃないか!!!ハラハラさせやがって!!!」
タロの攻勢に観客達の歓声は止まらない。
しかし、なぜいきなりナルガの攻撃を避けられるようになったのかまるで解らなかった。
そんなタロの攻勢を、観客の他に首を傾げる者がもう一人。
国王のミルザだ。
「どういう事だ!?アルトの言った通り、本当にあの音爆弾から一転したぞ!?」
嬉しそうな顔でミルザが言う。
アルトもそんなタロの攻勢に、ホッとしながら口を開いた。
「タロの最初のガードですが、あれはおそらくナルガの攻撃タイミングを計っていたのかと思います。」
「攻撃タイミングとな?」
ミルザはタロの攻勢から目を離さずに聞く。
「ええ、ナルガの攻撃はあれだけの速さを持ちます。一見避けるのが難しいようですが、その速さ故に攻撃が抜けていくのも早い。ステップでもタイミングを合わせる事ができれば、回避に特化してなくてもその攻撃を避ける事ができます。」
アルトもまた、タロの戦いから目を離さずに答えた。
大闘技場のナルガが、いつの間にか本日三回目の怒り状態に入っていた。
「それをガードしてずっと見ていた…というのかね?」
国王は声を弾ませて聞いてくる。タロに勝つ可能性が出てきた事が嬉しいようだ。
「ただガードしていた訳ではありません。タロはガードする度にその攻撃を徐々に引きつけてガードをしていました。これは攻撃が盾に当たる瞬間を見 極めていたのでしょう。それを前半何回も繰り返し、体に覚え込ませた。そしてある程度繰り返して見極めたと確信、音爆弾で勢いをつけそのまま反撃に転じた のではないかと…。」
アルトは説明しながらもタロの戦いからは目を離さなかった。
大闘技場のナルガが、頭を破壊され大きくのけ反った。
そんなのけ反りとともに、大闘技場は大歓声で大きく揺れる。
「なんと…そんな事をしていたのか…タロは。そんな事、ハンターなら出来るというのだろうか。」
驚きを隠せないといった顔でミルザが呟いた。
「いえ…そんな大それたこと、並のハンターではできないでしょう。これは本当に『タロ』だからこそ…だと思います。」
アルトも自分でそう説明していたが、実際に信じられなかった。だが、目の前でそれをやってのける男がいる。
一体…どこをどうすればそんな芸当が身につくというのだ…。あながち…ミスト様直属部隊にも勝るという国王のお言葉…間違ってないのかもしれんな…。
アルトはそう思うと闘技場で戦うタロを見つめる。
「やはり…背負うモノが大きい男は違うな…。」
アルトはそう呟くと、タロを見ながら微笑む。
大闘技場のナルガが今日4回目の怒り状態に入った。
23
タロは実際の所、ナルガのタイミングを完璧に把握していた。
これは今手に持っている槍、ヒドゥンスティンガーを使っているという事からも解るように、タロにとってティガ同様にナルガは苦手ではない証だ。
苦手ではないという事は、つまりその攻守における見極めが出来ているという事。
ただ、対ナルガ戦において「回避性能」を付けず、閃光玉無しの戦いをした事がなかった。
故にタロは回避性能によってうやむやにしていた微妙なタイミングを前半のガードでキチンと体に覚えさせていたのだ。
ナルガが最後の咆哮とでも言うように、4回目の怒り状態に入るのを確認したタロは、ここで改めて右手の盾を掴み直す。
勝ちに急いだら負ける…!!
あくまでも冷静さを失わないようにタロは心の中で呟く。
そんなタロの姿勢は正しかったようで、ナルガは咆哮をした直後に体を震わせながら状態を起こす。
尻尾を縦に大きく振り上げた。
またしても闘技場の観客達が「あっ!!」という声を上げる。
タロはその状態を確認すると同時に横に体を左に向けてバックステップをする。
ナルガの尻尾が縦に弧を描いて地面をえぐるが、そこにナルガの獲物はいない。
タロは尻尾の衝撃が収まるのを確認すると、改めて横から突きを入れた。
観客達もナルガがもうすでに虫の息だというのが解ったようだ。
大歓声を上げながら、観客達は待った。
タロの一突き一突きに歓声が沸いた。
誰もが願っていた。この上位装備の男の勝利を。
歓声がこの男を勝利に導くのであれば、声を枯らすのもいとわない。
前半の劣勢を覆し、この男がここまで来たことに興奮する観客達の願いは一つ。
そんな願いが神にでも届いたかのように、ついに迅竜ナルガクルガが崩れ落ちた。
勝ちを確信していた歓声が、勝ちが実現した事により「大歓声」となる。
大闘技場が今日三回目の「大歓声」に轟いた。
遂にこの上位装備の男は最後まで来た。
この最難関クエストのラストに。
このクエストが始まる前、ここの観客達は誰もが想像もしていなかっただろう。
ここの観衆にとっては、ガルダの「前座」以外の何者でもないこの上位装備の男。
レウスに食い殺されるはずの男。
しかし蓋を開けてみると、いつの間にかレウスが墜ち、ティガが息絶え、ナルガが崩れ落ちた。
ここまできたら観客達の願いは一つ。
上位装備でこの最難関クエストを成し遂げる「勇者」の誕生に立ち会う事。
大闘技場の歓声はそんな願いも載せて今日一番の「大歓声」となり、観客達はタロのナルガへの勝利に喜んだ。
MH編7に続く